7ー1
瀕死のリンレイを担ぎながら滝壺へ着くと、リンレイはすぐにひざますき、祈り始めた。
今の彼女なら、ジョシュアもジェインさんも見えるという。
王室御用達の栄養ドリンクも効いたのかもしれない。
さっきまで感じつづけていた微動な地響きが、不思議と感じられなくなってきた。
「わたくしはこれからもここで祈りを捧げます。国王陛下、お願いですからもう生贄を捧げるのだけは辞めてください」
リンレイのおかげで生きていられるあたしたち。
なんというか、とてももどかしいのだけれど、あたしでも力になれることってないのかな?
そのことをリンレイに告げると。
「できれば一日一食でいいので食事を運んではくれませんか?」
「承知した。それはわが国から調達しよう」
リンレイの望みは国王陛下が叶えてしまった。
じゃああたしは?
あたしはどうすればいい?
「みなさんは、どうか笑って普通に暮らしてください。そしていつかわたくしのことをわすれたとしても、恨む気持ちはありません」
リンレイ、あなたもっとわがままを言ってもいいんだよ?
そこで、リンレイとユイニャンの性格が似ていることに気がついた。
「わかったわ。あたし、これからも変わらずに生きていくよ」
だけど、リンレイの望みを叶えるためには。
あたしはこれまで通りの生活をすればいいのだとわかった。
さぁて。レモンティの小屋に戻ったら、またクルマの修理をがんばろうっと。
……なのにさぁ。心の中でなにかが引っかかっているんだよ。
あたしはなにげにジョシュアを見た。
ジョシュアはめずらしく笑顔でいる。
ふいにあたしと目が合って、どっちからともなく目をそらした。
意識してる?
そんなわけないじゃん。
だってジョシュアは王子様だよ。
第二王子のジェイク様が亡くなってしまった今、次期王様候補は彼しかいない。
彼しか……。
それに、ジョシュアはロザリア様のことが好きだし。
「ミカリン」
突然ジョシュアに声をかけられた。
「な、なに?」
「その。よく戦ったな。レンチで」
褒められた!?
鬼のジョシュアがこのあたしを?
「素振りの先生がスパルタだったものですから」
皮肉めいてそう返したら笑われた。
でも、悪い気はしない。
どうして?
ジョシュアがあたしに優しいなんて。
滝壺を出る間際、リンレイがあたしに耳打ちする。
「自分の気持ちに素直になりなさいね。そうすれば、きっとしあわせになれるわ」
そんなこと言われたって。
あたしはなにも返すことができないまま、ロイヤルミルクティ城へとみんなでワープして帰ってきてしまったのだった。
つづく




