6ー3
ジョゼフ国王陛下はなんの躊躇もなく、ユイニャンへ魔剣の先を向ける。
「公平に戦おうではないか、魔王よ」
「だがこの女の体は脆弱でなぁ。傷つけたらくらげ島を滅ぼしかねないのだよ」
両手を挙げてお手上げのポーズをする魔王は、さっき繭の時に国王陛下から奪った剣を握りしめて立ち上がった。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
魔王が国王陛下に飛びかかり、ガキンと魔王と国王陛下の剣が交わる音がした。
「目を覚ましてくれ、ユイニャンっ!!」
エリオット様は、周囲を取り囲む魔獣を斬り捨てながら、ユイニャンへと呼びかける。
「ユイニャン! あたしだよ。親友のミカリンだよ。魔王なんかの言いなりにならないで……」
そこで、大切なことに気がついた。
リンレイの気配を感じたのだ。
リンレイは枷を付けられた状態で、玉座の後ろに隠れるようにしゃがんでいた。
その顔色はひどく青ざめて、消耗している。
「リンレイ!! 返事をして! なにをされたの? あたしたちはどうすればいいの?」
またしても地面が大きく波打った。
地震……? にしては癖のある動きだった。
「くらげ島の消滅が俺の目的だとしたらどうする? 王様」
「そうはさせん、と答えてやろう」
「でももう、ソレは目覚めているかもしれんぞ?」
ふふと笑う魔王が憎らしくてたまらない。
あたしも魔獣をレンチでぶっ叩きながら、冗談じゃないと口にした。
「そんなことになったら、みんな死ぬかもしれないのよ!?」
「安寧は人を堕落させると同様、消滅という刺激を求める。弱い人間は死ぬだろうが、俺たち魔族は生き抜くだろうな」
悔しいか、と魔王があざ笑った。
「残念ながら人類は、魔族ほど頑丈に出来てはおらん。だが、希望が人を強くさせるものだ。そなたにはわからんだろうがな」
「ファレスはいい女だったぞ。アイシアとダリアも同様にな」
違う。魔王がしたことは、彼女たちに不安を押し付けて、そこに偽の希望を見せただけだ。
それが、島を滅ぼすなんてあっちゃいけない。
あたしは咆哮をあげて襲い来る魔族をレンチでぶっ叩くことをためらわなかった。
「島が滅亡すれば、魔力は消える。島の外に出れば魔力はなくなるという嘘を、あの女たちは信じたけどな」
ひどい。魔女狩りも残酷だけど、それ以上に魔女に嘘の希望をあたえたなんて。
それじゃあ、彼女たちがかわいそうだわ。
「ミカリン、エリオット。傷は治癒させるから本気を出してもよいか?」
国王陛下は苦々しく言葉を吐き出した。
この後におよんでダメだなんてとても言えなかった。
つづく




