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「それでは計測いたします。わたくしとプラグ男爵の手を握ってください」
魔女狩り実行委員会のコーダー夫人がユイニャンに言うと、今度はツバを飲み込んだユイニャンが、二人と手をつないだ。
しばらく機械音が鳴ってから。
「……計測結果、正常範囲内。計測結果、正常範囲内」
「わたくしの方も正常範囲内でした。ご協力ありがとうございます。よろしければあなたの名前をおうかがいしてもよろしいですか?」
「ユイニャン・セイロンです」
「ありがとうございます。それでは、失礼いたしました」
言うだけ言って、コーダー夫人はプラグ男爵を引き連れて去って行った。
なんだか無駄に緊張したから喉乾いた。
「ユイニャン、お茶淹れてくれる? ああ、エリオット様。はじめまして。ミカリン・アールグレイです」
「そう。きみがミカリン。エリオット・レモンティです。実はきみに隠し事をしているので、まずはその話からしてもいいかな?」
エリオット様は王子様らしからぬフランクな印象を受けた。
「かまいませんよ。ね、ユイニャン」
「あ、ああ……」
ところがユイニャンはガレージ内で一歩も動くこともできず、腰が抜けてしまった。
「どうした? ユイニャン」
「ミカリン、あたし――」
「うん? どうした?」
「あたし、魔女なのっ」
ほう。うん。そうみたいだね。そんな切羽詰まった顔しなくてもいいじゃん。魔力も正常範囲内だったんだし。
ユイニャンがどうしてそこまで真剣な顔をしているのかわからないけれど、とりあえず椅子に座らせることにした。
「もしかしてユイニャン、体調が悪い? だから計測を拒んだ的な?」
「ミカリン。あたし。魔女なの。もしかしたら、言い伝えの魔女かもしれないの」
は? なに言ってるの? この子は。
「やっぱ、熱とかあるんじゃない?」
「そうじゃないの。あたし……」
言いよどむユイニャンの身体から、静電気みたいにパチパチとはぜる音がした。
「ユイニャン?」
「ミカリン。ユイニャンは、魔力をコントロールできないんだ。安定した魔力がないため、魔法を使わず、レモンティの滝に魔力を捨てに行くくらいなんだ」
魔力を捨てるですって? なんでまた、もったいない。
「僕たちはレモンティの滝で知り合った。ユイニャンが今にも滝に飛び込みそうに見えて、止めに入ったんだ」
それが、出会いだったと聞かされると、なんだかこれまでとは毛色の違う印象を持つことになる。
「でも、違うんだ。ユイニャンは感情が高ぶったり、体調不良の時などは、魔力をいくら捨てても増殖するんだ」
「魔力制御装置は?」
「一応は。でも、先日、壊れてしまって。またエリオット様にあたらしいのをもらったの」
それでも、今回は正常範囲内だった。その秘密を、エリオット様があかしてくれた。
つづく




