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「僕は昔から、人の魔力を横取りするような体質で。だからさっきも一瞬だけどユイニャンの魔力を奪ったんだ。そうしないと高い魔力制御装置を買わされたり、魔女狩り実行委員会に監視されることになるからね」
なるほど。だいたいわかってきたぞ。それであんな風になったんだ。
そして今も、魔力が暴走しそうになっているユイニャンの魔力を、エリオット様が奪っている。
とてもお茶なんか飲んでる場合じゃなかったんだ。
「今日、ここにおうかがいしたのは、ユイニャンとその話をするためだったんだよ」
そう言って、エリオット様は真っ赤な薔薇の花を一輪、空間魔法から取り出してユイニャンに手渡した。
「ごめんね、ミカリン。秘密にするつもりはなかったんだけど、どうしても言い出せなかったの」
「う〜む。どうせなら、エリオット様から聞くよりも、ユイニャン本人から聞きたかったかな。でもそれほど深刻ってことなのはわかった。うん。怒ってないよ。大丈夫」
あたしの答えに、エリオット様とユイニャンが同時に安堵のため息をついた。
「そんなことぐらいで、親友を嫌いになるわけないじゃん」
ねって言ったら、ユイニャンの目から涙がこぼれた。
「それで、まさかとは思いますけど、エリオット様の用事って、それだけじゃないですよね?」
「それだけじゃダメだったかい?」
いや。むしろエリオット様グッジョブでしたけれども。
「あたしからは、ユイニャンのことをそこまで信じてくれたことが逆にうれしいくらいです」
二人の謎めいた馴れ初めも、ちゃっかり聞いちゃったし。
「あたし、他になにかできることある?」
ユイニャンは力なく首を左右に振った。
「それじゃ、僕からお願いしてもいいかな?」
「なんでしょう? エリオット様」
エリオット様の視線がガレージへと向かう。
「ミカリンが買ったという中古車の整備が終わったら、ぜひみんなでドライブしたいな」
本当はユイニャンと二人っきりでドライブしたいだろうに。なんだろう、あたしの方が恥ずかしくなってきちゃったよ。
「いいですよ。丁度さっき整備が終わったところなんで、これからドライブとかどうですか?」
なにより、ドライブがユイニャンの気晴らしになるんじゃないかと思った。
「本当にいいのかい? だったかこれからドライブしよう」
「了解です」
なにを隠そう、先日クルマの免許をとったばかりなのだ。
どっちにしても、ユイニャンに元気を出してもらいたくて、必死に整備をしていたってわけ。
中古のオープンカーだけど、ボディは情熱の赤だし、一応自動操縦付きだから、野盗に襲われても安心。
って、野盗が出ませんようにっ!!
つづく




