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プラグ男爵とコーダー夫人の後をついて行くと、ガレージの奥ですくたまっているユイニャンに目が移る。
「ユイニャン、なんかの間違いで魔女狩り実行委員会があなたの魔力を測定したいんですって。いいわよね?」
だって、ユイニャンは魔力なんてないじゃん。
魔法だって、あたしたちみたいに使っているところを見たことがないし、なによりセイロン家はみんな一般人だし。
だけど、ガレージの奥でがたがた震えてるユイニャンは青白い顔をしてあたしを見ている。
うん? ユイニャンって魔女だったっけ?
「魔女狩り実行委員会でぇ〜っすっ!! 魔力測定にご協力ください」
コーダー夫人のにぎやかな声に、ユイニャンは震える声で嫌です、と答えた。
なんでだっ。
仮に魔女だとしてもさぁ、魔力制御装置買わされるだけだって。高いけど。
「ピッ、ピー、ピピ」
「そうですわね。プラグ男爵。あなた、そうあなたです。魔力測定にご協力ください。さもなければ業務妨害として逮捕することがゆるされております」
え? そんなことがゆるされてたの?
あたし程度の魔力じゃ、そんなの知らないよって感じなんだけど、ユイニャンはどうなんだろう?
緊張の瞬間、ガレージのチャイムが派手に鳴り響いた。
「僕です、エリオットです。ほちらにユイニャンがいませんか?」
あ〜、なんと間の悪い王子様。ユイニャンはいるけど、今、手が離せません。
「あがります」
勝手知ったるって、エリオット様が家に来るのって本当に初めてなんだけど。
来るってわかっていたら掃除させとけばよかった。ユイニャンに。
「おじゃまします。コーダー夫人? それにプラグ男爵まで。まさか、魔女狩り実行委員会?」
エリオット様の声にあたしは全力で首を縦に振った。
「あ〜。あのさ、プラグ男爵にコーダー夫人。ユイニャンは測定しても数値が出ないんだ。それでもやる?」
「はい。そのようにプログラムされております」
あたしはこの不思議な機械人形たちを前にジョシュア第一王子の人格を疑った。
いくら最強の魔力を持つ魔女を探し出さなければならないからといって、嫌がるユイニャンを無理に測定するのはいかがなものか。
「平気だよ、ユイニャン。おいで」
エリオット様は、足場の悪いガレージへ足を運んでユイニャンの手を取った。
その時、なにかの魔法を使ったのが見えたけれど。なに? まさか、エリオット様までユイニャンのことを疑っているの?
つづく
※以降は一日一話更新予定です。よろしくお願いします。




