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ある晴れた昼下がり。
あたしミカリン・アールグレイはは親友のユイニャン・セイロンと一緒に中古車の整備をしながらおしゃべりに花を咲かせていた。
「それでさぁ、最近どうなの? 恋の方は」
あたしは先週からお付き合いを始めたユイニャンをここぞとばかりにからかった。
だって、ユイニャンのお相手って、レモンティ王国の王子様、エリオット・レモンティ第一王子なんだよ!?
「か、からかわないでください、ミカリン」
「ぐははははは。これを聞かずしてなにを聞く?」
なにって、とユイニャンが頬を染める。初々しい奴じゃのう。
あたしはお気に入りのレンチを手ぬぐいで拭きながら、そろそろおやつの時間かな、なんて、軽く考えていた。
ユイニャンが淹れてくれる紅茶と、彼女の手作りお菓子は絶品なんだから。
ユイニャンをかまいながら笑っていると。
玄関の方からチャイムが聞こえてきた。
「誰だろう? ちょっと見てくるね」
あたしはユイニャンに言い置いて、油まみれのまま玄関へと向かった。
中古の平屋ガレージ付きをお父さんに買ってもらって早一ヶ月。なんたって将来は一人前の整備士になるためにがんばってるあたしに、誕生日プレゼントだった。
「はぁ〜い。となた?」
玄関を開けると、ぷぴぷぷぴ、というかわいらしい電子音が聞こえてくる。
「魔女狩り実行委員会でぇ〜っすっ」
……するとこの機械人形を作ったのは、ロイヤルミルクティ国の第一王子ジョシュア様というわけか。
「はい?」
「魔力測定にご協力ください」
「はぁ〜い」
どうぞ、とばかりに両手を差し出す。
一方は女性型の機械人形に、もう一方は真ん丸いフォルムのおじさん型機械人形に。
「……測定結果、正常範囲内。測定結果、正常範囲内」
「わたくしの方も正常範囲内です。これをクリアーしたあなたのお名前をおうかがいします」
うわ。機械人形相手に名乗るのか、恥ずかしいな。
「ミカリン・アールグレイです。歳は十五歳。特技は――」
「そこまでで結構ざます。わたくしの名前はコーダー夫人。こっちは相棒のプラグ男爵。以後、お見知りおきを」
すごいな。機械人形なのに、ちゃんとあいさつしてくれるなんて。
「……ピッ。ピピ」
プラグ男爵が手をつないだままのコーダー夫人を仰ぎ見る。のっぽのコーダー夫人は、あらそうと言ってあたしに顔を向けた。
「奥にもう一人、いらっしゃいます?」
「ああ、友達が。でも、彼女は魔女じゃないので」
「それを決めるのはわたくしでございまぁす」
独特なイントネーションのコーダー夫人は、滑らかな足取りで家の中に侵入してきた。
って、え? ユイニャンって魔女じゃなかったよね?
つづく




