5ー5
ジェイク様の死を、ジュリア王妃はすぐには受け入れられず、泣き腫らしている。
まだお小さいシャノン様にもそれが伝わったようで、不安そうに瞳を麗していた。
そんな王妃様とシャノン様を優しく見守るリリーさんのことを、ジェインさんも見守っていた。
「あの子は最初からイレギュラーな存在だった。だけど、ちゃんと自分の子供として育てたつもりだったのに」
落ち着いてきた頃、王妃様はそうこぼしていた。
「シャノン、ジェイクにイジワルばっかりしていたのに。もっと優しくしてあげればよかった」
「シャノン、その気持ちだけで充分よ」
王妃様はそんなシャノン様を抱きしめてまた泣いた。今度はシャノン様もわんわんと声を上げて泣いた。
「あやつらの行方はわからぬのか?」
国王陛下は三人の捜索を急がせたけれど、残念ながらユイニャンの身体に埋め込まれているマイクロチップは破壊されていた。
アイシアとダリヤも同じだから、どこに潜伏しているのかわからなかった。
「あ。もしかして?」
あたしは一縷の希望を抱いて記憶を紐解いた。
「なにかわかったのか? ミカリン」
すぐにジョシュアに問いかけられて、落ち着くために紅茶を飲んだ。
「あたし、始まりの魔女に会ったの。レモンティの滝壺で」
「なんだと?」
これには国王陛下がすぐに反応を示した。
「彼女はまだ生きているというのか?」
「ジェインさんとジョシュア……様には見えなかったみたいだけど、あたしとユイニャンにはちゃんと見えてました。たしか名前はリンレイ」
「リンレイ。始まりの魔女、生贄制度。間違いない。彼女だ。遠い昔、叔父上が話して聞かせてくれたことがある。しかしどうして彼女はまだ生きていられるのだ?」
「あの滝に魔力を捨てに来る魔女がいるおかげだそうです。滝壺から無理に出ようとしなければ、それでいきていられると。あと、リンレイが滝壺から離れてしまったら、島が動く? とか、そんなことを言っていたような?」
たしかにそうだ、と国王陛下は声を荒げる。
「くらげ島は生きた島だ。島を安寧に導くために、力のある魔女を生贄に捧げていた過去があった。リンレイはいまだにその役割を果たしてくれているというのか?」
そしてそれを、ユイニャンも一緒に聞いた。
もし魔王がユイニャンの記憶を覗けば、リンレイが殺されてしまうかもしれない。
「レモンティの滝へいそごう。ミカリン、そなたも来てくれるか?」
「はいっ!!」
「僭越ながらわたくしも同行してもよろしいでしょうか?」
リリーさんが名乗り出たけれど、陛下は辞めた方がいいと両断した。
代わりに。
「魔力の拘束を解くというだけならここでかまいませんよ、リリーさん」
ジェインさんはそう言うと優しくリリーさんの頬を両手で支えて口づけをした。
きゃぁ〜!! なにこれ? どうして? あたしたち、なにを見せられているの!?
「これで、魔力の拘束が解けました。ありがとうリリーさん」
リリーさんは瞳を潤ませてお気をつけてと言った。
そうしてあたしたちは、レモンティの滝へとワープするのだった。
つづく




