5ー4
国王陛下の金色に光る魔剣は、繭を少しずつ斬り刻んでゆく。
一方、繭の方も陛下から奪った剣でめくらめっぽうに斬りつけてくる。
今ではジョシュアやエリオット様、それにジェインさんまで攻撃に加わっている。
それでも繭は、攻撃することをやめない。
自由な手のようにやたらに攻撃してくる。
と、そこでいきなりユイニャンが悲鳴をあげた。
「ユイニャン!?」
危ないからと下がらせておいたのが仇になって、ユイニャンは繭の触手に身体を縛られて引き寄せられている。
「ユイニャンっ。おのれ、離せっ!!」
エリオット様はユイニャンを助け出そうと前に出たものの、廊下まで繭に弾かれてしまった。
あたしの水魔法もさすがに効かないし、ジョシュアの火炎魔法ですら刃が立たない。
そのうちにユイニャンはどんどんと繭の一部に取り込まれてしまっていく。
「ユイニャン!! 離しなさいよ、こらっ!!」
あたしが怒鳴ったところでなにも変わらない。
そして、ユイニャンの両腕にはめられている魔力除去装置が金属音を立てて粉々に砕け散ってしまった。
「ユイニャンっ!!」
そしてユイニャンは、繭によって完全に姿が見えなくなってしまった。
「ユイニャン!! ユイニャン!!!」
エリオット様の熱い叫びも届かない。
「おのれ、民間人を離せ、ジェイク」
「ジェイクは返してあげるよ。その代わりに、この女は俺様の器にさせてもらう」
繭がパッと消えたと思ったら、ジェイク様がどさりと焼け焦げた絨毯の上に落ちた。
そしてユイニャンは……。
「ユイニャン!?」
「そうか。この女の名はユイニャンと言うのか? ならば攻撃できまい?」
ユイニャンの口からまったく知らない男の人の声がする。目は金色に光り、髪は赤く燃えていた。
「さらばだ、国王陛下。地下牢の魔女二人は連れて行く。この島は崩壊することになる。さらばだ」
ユイニャンに取り憑いた魔王は、空中に浮いたまましゅっっと消えてしまった。
しばらくすると、国王陛下の無線が鳴った。
『陛下、牢の二人が何者かによって連行されてしまいました。その際、魔力除去装置は完全に破壊されてしまいました』
これは……。
「くそうっ!!」
ユイニャンの身体を奪われて、エリオット様は壁を叩いた。
国王陛下はジェイク様の側まで行くと、残念そうに首を左右に振った。
「事切れている」
そのジェイク様の身体は、少しずつ塵のように形をなくして崩れ去ってしまった。
つづく




