5ー3
それくらい言われなくともわかっていたさとジョゼフ国王陛下は言った。
そして。
「ジェイクの高熱の原因を知っているのか?」
「ふふっ」
不謹慎にもダリヤは笑みを浮かべる。
「さすがの国王陛下でも知らないことがあるんですね。ちょっと驚きました」
「この世は知らないことだらけだよ。それで? そなたらがここに来たのも原因の一つなのだろう?」
さすがは陛下。理解があるわね、と今度はアイシアが言った。
ここまで陛下の美しすぎる顔に笑みは微塵も感じない。
怖い。初めて陛下を怖く感じた。
「この占い師の言うことには」
と、ついにジョシュアが口を開いた。
「ジェイクは女体化しているとか。しかも、最強の魔女になるとまで言っております」
「それは本当か?」
陛下の動き一つで衛兵がアイシアとダリアを拘束した。
「ちょっと。わたしたちの条件を聞かないつもり?」
「一応聞いてはおこう」
「この島から出して。そうすれば魔力も自然となくなるわ」
「やれるものならやっておるわ」
そうして二人の魔女は、牢屋へと移送されてしまった。
「情報量が多すぎたようだな。とりあえずジェイクの部屋へ急ごう。ジェイン。転移を頼む」
だけどさっきのような感覚にはならない。
「申し訳ありません、陛下。すごい魔力で反発されてワープできません」
「ならばいそごう」
国王陛下の後につづいて、あたしたちは足を速めた。
「開けるぞ」
だけどドアは鍵がかかっているみたいで開かない。
陛下が魔力でドアを消し去ると、そこには大きな繭が部屋中を満たしていた。
「ケリーさんっ!!」
ジェインさんが部屋の隅で意識を失っている侍女を助け起こすと、彼女はあわあわと口を動かした。
「陛下、ジェイク様が、繭の中に!!」
しかもすごい魔力を感じる。魔力測定器も異音を鳴らしている。
「孵化しているというのか? ジェイクは魔王の子。今ならばまだ間に合う」
陛下が剣を抜いた時だった。繭の一部が触手のように伸びて、陛下の剣をつかんだ。
「ほう。初めての反抗期か? そなたは最初から浮上の子だったな。ジュリアがいなければ、そなたはとっくに処分されていた存在だったものを」
陛下は剣を手放すと、背中に刺しておいた魔剣の柄を握った。黄金色に輝く剣が、繭の持つ剣とぶつかる。
どちらもあたり負けしていない。
「ほう? ならばこれでどうだ?」
陛下は腰からブーメランを抜いて投げつけた。鋭い刃がきらめくそれは、真っすぐに繭を斬りつけてゆく。
もうどうなるのか、あたしにもわからないよっ。
つづく




