5ー2
「ならついて来い。だが、妙なマネをしたら命はないと思えよ?」
「やったぁ!! 言ってみるもんね、アイシア」
「本当だよね、ダリア」
二人の魔女は手を取り合ってよろこんでいる。
本当に彼女たちを連れて行くつもり?
信用できないんだけど。
でも、おたしたちが身につけている魔力測定器は異音を発していない。
「それで? ファレスという奴のことは少しだけ覚えている。あいつが一体なにをしたと言うのだ?」
ジョシュアは答えを待ちきれないとばかりに二人をせかす。
「せかして話を聞いたらあたしたちをまいてしまおうって腹づもりなんだろうけど、そうはいかないわよ?」
一方のアイシアもしつこく食い下がる。
「わかったから、話をしてくれ」
「そっちのお兄さんはワープできるんでしょ? だったら今すぐワープさせてよ?」
ダリアはジェインさんを見るなりそう怒鳴った。
「話が先だ」
「ワープが先でしょうよ?」
アイシアはなおも食い下がる。
「じゃあ言うけど。ファレスは黒魔術を駆使して魔王とまぐわったの。そして、その腹に宿ったのがジェイク様ってわけ」
「待て。なせそれが母上の腹に宿った?」
「つまり、禁を犯したついでに自分のお腹の中の子供を王妃様のお腹にワープさせたの。だから間違いなく赤ん坊の段階で処分しなければならない者だったってわけ」
「そんな隙をあたえるような母上ではない」
断固として否定したジョシュアだけど、額に冷や汗が浮かんでいる。
「だから。少しずつ寝食していったの。それなら確実に王妃様に魔王の子供を生ませることができるから」
なんてことだ、とジョシュアは頭を抱えた。
「今と同じことを王に言えるか?」
「もちろんよ」
ダリアは目を細めて微笑んだ。
「ならばワープすることにする。ジェイン、たのむ」
「了解しました」
あたしたちの今いる場所がぼんやりとかすんでゆく。
足元も上も下もわからない湾曲した空間を得て、あたしたちはロイヤルミルクティのお城の中にいた。
「ずいぶん早い帰りだな、ジョシュア」
そこはお城の中でも中心地にあたる大広間だった。
玉座にはジョゼフ国王陛下が座り、あたしたちを見下ろしている。
「アイシアというこの女が最強の魔女でした。それと、ジェイクの件ですが……」
言いにくそうにしているジョシュアによい、と陛下はゆるしをあたえた。
「あれは魔王の子なのだろう?」
どうやら陛下はすべてを知っているようだった。
つづく




