5ー1
エリオット様の近くに着地したあたしたちは、二人の魔女に魔力除去装置がついているのを発見した。
魔力除去装置は魔力制御装置よりも強力で、まるっきり魔力が使えない状態にまでしてしまうもので、あたしでも見るのは初めてだった。
「貴様っ!! ユイニャンが無事だったからよかったもののっ!!」
エリオット様はアイシアさんの胸ぐらをつかんだけれど、すぐに離した。
「ふん。レモンティの王子様はレディに乱暴を働くところだったわね」
アイシアはかまわず憎まれ口を叩く。
「それより、先を急ごう。ジェイクが心配だ」
「わたしたちのことはどうするの?」
ダリアがトゲのある言葉で追いすがる。
「知らん。おまえたちはもう魔法が使えないんだ。勝手にしろ」
ジョシュアに突き放されて、二人は肩をすくめた。
「ねぇ、この装置をわたしたちが壊すかもしれないとか、考えたことないの?」
それでもなお、アイシアは言い募る。
「それは父王が手がけた作だ。素人が壊せるシロモノてはない」
なんなら他人が手を触れることすらできんとジョシュアがつけ足した。
それならば、とユイニャンが手を出す。
「あたしにもその装置をつけてください」
「だがユイニャン」
「エリオット様。あたしは魔力なんて望んでないのです。できることなら手放してしまいたい。ですから」
「わかった。すぐに着けよう」
こうしてユイニャンは魔力を除去してしまった。
イメージとしては、静電気を少しずつ逃がしているような状態、とでもいえる。
「わたしたちもお城に行きたいんだけど?」
ダリアは悪びれもせずおねだりする。
「断る。これ以上なにかされたらたまらんからなっ」
ジョシュアはずぐにびしっと断った。そりゃそうだよ。ユイニャンを滝壺に突き落としておいて、どの口が言うのよ。
「でもわたし、この腕輪を取れば最強の魔女だよ? わたしのことが必要になると思うけどな?」
「口説い。魔力を除去された状態でなにができるんだ」
「ジェイク様を救うお手伝いならできるかも?」
「その手には乗らん。どうせ直前で厄介なマネをするのだろう? それくらいわからん俺ではない」
「じゃあ、本当にわたしたち自由なの? 最強の魔女を見つけてこいって言われなかった?」
アイシアはそれでも食い下がる。
「連れて来いとは言われてない」
「ちっ。湿気た王子様だこと。その程度の魔力じゃ、ジェイク様を止められないわよ?」
ダリアは脅迫まがいのことまで言い出した。
「なにしろ魔王の魂を宿した者だからね。黒魔術のファレスがしたこと、教えてあげようと思ったのに」
これ以上なにを知っているのよ? 早くお城に戻りたいのに。
「だから、道々話して聞かせてあげようっていうのに」
ダリアはとにかく強きだった。
つづく




