4ー4
「とにかく、一緒にレモンティの滝まで付いてきてもらう。アイシアという女のことを知っているのはおまえだからな」
「いいわよ。それより、ジェイク様のことはどうするの? 国民に報告したら、暴動が起こるんじゃない?」
「そんなこと、おまえが心配することじゃない」
あら、とダリアは蠱惑的に笑った。
「心配にんかしていないわ。ただ、楽しいだけ」
「ふん。不謹慎な。悪いがおまえにも魔力制御装置をかけさせてもらう。なにかあったら困るからな」
「いいわよ」
そう言って、ダリアひ両手を差し出した。ジョシュアはダリアの両手に魔力制御装置をはめた。鍵付きの魔力制御装置を付けたダリアからは、魔力がほとんど感じ取れなかった。
「それじゃ、森へ向かう」
なんとなく湿っぽい雰囲気になったあたしたちは、それぞれに思いを抱いて占いの館から外に出た。
外はいつの間にか薄雲をまとい、湿度が多かった。
「あら、雨が振りそうね」
「だったらなんだ?」
ここまでジョシュアはダリアに振り回されている。
形勢を逆転するためには、アイシアという人を見つけるしかない。
あたしたちは、レモンティの滝へとつづく道を歩き始めた。
この館に着く前にお昼を食べておいてよかったと思う。
そのくらいの緊張感がある。
いよいよ最強の魔女との対面だからだ。
滝の近くまで行くと、ダリアは進入禁止の柵を乗り越えた。
その先には確かに人影があった。
「アイシア。獲物を捕まえてきたわよ」
どこまでも好戦的なダリアは、わざとジョシュアを怒らせようとしているようにしか思えない。
「おまえがアイシア・ブラックか?」
ジョシュアはショートカットの似合う女性に声をかけた。
「ええ。わたしがアイシアよ」
その時、みんなの魔力測定器が異音を発した。あきらかに魔力が標準以上になっていることがわかる。
「悪いが魔力制御装置を付けさせてもらう」
「へぇ? 名乗らないんだ?」
それは、いつかのあたしとジョシュアの会話みたいで少しだけ恥ずかしかった。
「俺はジョシュア・ロイヤルミルクティだ。これでいいのか? アイシア」
「ええ。でもみんな、もっとこっちに来てくれない?」
「これ以上は足場がぬかるんでいるから危険だ。おまえがこっちに来い」
命令するなんて、とアイシアは鼻を鳴らした。
「別にいいわよ。わたしはここでずっと待ってるから」
アイシアがそう言った瞬間、なにか彼女の両手から協力な風のようなものが吹いてきた。
そしてその風は……。
「きやぁ〜っ!!」
「ユイニャン!?」
ユイニャンを滝壺へと落としてしまったのだった。
つづく




