4ー3
「俺の知る者となると、城の中の人間ということになる。だが、不浄な存在? ……まさかっ!?」
ジョシュアがなにかに気づいたみたいに怖い顔になった。
「どういうことだ? おまえはなにを知っている!?」
「おそらく、国が隠蔽していることのすべてを知っているかもしれないわね?」
はははと笑うダリアは、美しい唇をゆがめた。
「この人たちに知られたくないでしょう? ジョシュア様。だって、あのことを知っているのは、ロイヤルミルクティ国内でもごくわずかな者だけだものね。王妃様もおかしいわよね。そんな存在認めなければよかったのに」
「母上の悪口を言うなっ」
「だって、魔王の魂を身体に宿したのよ? 普通だったらそこで堕胎を選ぶでしょう?」
「慈悲深いだけだ。そのくらいでその減らず口を閉じてもらおう」
「どういうことなんだ? ジョシュア。僕も知らないことがあるというのか?」
エリオット様はゆずらないとばかりにジョシュアに言い寄る。
「これにはわけがあるんだ。俺もつい最近知ったばかりなのだが。あれが女になるだと?」
「そういうこと。現在ジェイク様は原因不明の熱病に罹患しているでしょう? その熱がさめた時、ジェイク様は女性の身体を手に入れる。これは、長い時間をかけた魔女ファレスの呪いでもあるのよ?」
ファレスって誰!?
「そう。みんなはなにも知らないのよ。ロイヤルミルクティ国に住む住人でさえもね。王妃ジュリアは魔女ファレスのせいで不義の子を宿した。それは魔王の魂の一部だったの。生まれたその子を浄化したけれど、そう。やはり魔力が残っていたせいでこんなことになってしまった。その子の名はジェイク」
ジェイク? とエリオット様がジョシュアを見やった。
「ダリアの言う通りだ。当時まだ幼かった俺が真実を聞かされたのはつい最近。だから、あいつが赤ん坊の頃からジェイクが苦手だったのかと納得がいった。知らぬ間に恐怖心を感じていたんだな。でも、ジェイクが女になるなんて、そんな……」
生まれる前から過酷な運命を背負わされたジェイク様。さらに最強の魔女になる可能性があるだなんて。
とても悲しくて苦しい現実を、国民はどう受け取るのだろう?
「だから俺は黒魔術が嫌いなんだよ」
吐き出すようにジョシュアが言った。
事情にくわしくないあたしでも、苦い気持ちを隠すことはできなかった。
つづく




