4ー1
レモンティ国のはずれまで歩いている途中で、三回ほど盗賊に襲われた。
最初は躊躇していたあたしも、相手が悪いのだとわかったから遠慮なくレンチを振るった。
「今のたち筋、わすれるなよ」
途中、何度かジョシュアに褒められて、複雑な気持ちになる。
彼はどうしていつも褒めるか皮肉を言うかのどちらかなのだろうと考えた。
結論として、彼が口下手で不器用なのだということがわかってきた。
そりゃ呼び捨てにしてくれと言われはしたけれど、やはりジョシュアはロイヤルミルクティ国の王子様なのだし、つっけんどんなのは仕方ない。
知れば知るほどジョシュアのことが気になる。
どうして彼は、あたしにだけお稽古をしてくれるのだろうと思っても、ユイニャンはまず戦力にならないし、エリオット様のたち筋は完璧だし、ジェインさんもなんだかんだで敵を倒していることを知ってしまった。
だからって別に、ジョシュアがあたしに好意を持っているわけじゃないってことぐらいはわかっている。
わかってるよ、ちゃんと。
だけどさ。こう皮肉言われた後に褒められるとさ、心の奥がくすぐったくなるんだよね。
こういうのって、なんなんだろう?
「みなさん、浄化魔法をかけますので、並んでください」
戦闘が終われば、すぐにジェインさんが浄化魔法をかけてくれる。心強いけど、なんだかきりがない。
「ねぇジョシュア。これだけ盗賊の襲撃に遭うってことは、島の治安が悪いってことなんじゃない?」
魔女狩りが始まる以前は、ここまで盗賊が出ていなかった気がする。
盗賊は盗めそうなものはもちろん、魔女を見つけると闇で売りに出すという。
そうなったのは、魔女狩りが関係している。魔女狩りが始まってから、魔女の闇取引がさかんに行われることになったのだ。
特に、ユイニャンのように魔力が安定していない魔女を使って島を滅ぼそうと目論む者までいる。
彼らは各国の王族世襲制度に批判的だ。それよりも選挙で政治家をたてる方がいいと本気で思っているらしい。
あたしからしたら、そんな不安定な政治なんて、小さな島ではなくてもいいと思っている。
王族制度のおかげで、ここまて島が統一されているからだ。
とはいえ、島で一番権力を握っているのはロイヤルミルクティ国だけど、その分努力して国民のために色々してくれているということだろう。
「今は混乱している最中だな。だが、父王がこのままとはいかないだろう。なにか策を練っていると思うのだが、今のところ謎だな」
ジョシュアでもわからないことがあるんだから、あたしがわからなくても当然か。
つづく




