09 入籍と女性の準備
ミユさんに契約結婚を持ちかけ、OKを貰い、ミユさんのご両親への挨拶も済んだ。
俺は海外にいる兄に結婚する事になったと通話とメッセージを送れるアプリのLimeで報告した。
『兄貴、俺、取引先の会社で出会った女性と結婚することになったよ、結婚式はやらなくて、フォト婚だけだけど』
『おお、そうか、おめでとう!』
『ありがとう』
『どんな人だ?』
……当たり障りのない感じにしとくか。わざわざここでオタク仲間ですとか言わずともな。
『美人なOL』
『ほほーやるじゃないか』
ここで俺は『ははは』と笑う犬のスタンプを送った。
『御祝儀をお前の口座に振り込んでおくよ』
『えー! 悪いなーでもありがとう』
という、メッセージのやりとりをした。
実はこの結婚は愛ではなく契約なので、御祝儀を貰うのは心苦しいが、断るとなんでだ?と思われるだろうから受け取ることにした。
それから俺とミユさんは平日の木曜日に有給をとってゼ〇シィの付録の婚姻届を二人で書いたものを市役所に出しに行った。
役所の人がおめでとうございますと言ってくれた。
「「ありがとうございます」」
実は契約結婚なんだが親御さんが心配するといけないので、本当のことも言えない。
孫もきっと……期待されてるけど……ごめんなさい……。
──しかし、脳内でぐるぐる考えこんで鬱鬱としてても仕方ない。
自分が決めたことだ。楽しいことを考えよう。
「ミユさん、この後、どうします? 昼飯とか」
「すみません、ブライダルフォト用にエステに行ってきます、もう予約入れてあるんです」
「え? 何もしなくても綺麗なのに?」
別にいいけど。
「いいんですよ、マッサージもうけれますし」
「あー! なるほど! マッサージ気持ちいいですよね! じゃあ今からその店まで車で送りますよ」
「ありがとうございます」
フォト婚だけでも一生ものだし、ベストを尽くすもんなんだな。
俺はこのままでいいのだろうか?
──ま、いいか。
そして、ミユさんの予約したサロンに車で到着。
「じゃあ、また!」
「はい、お気をつけて」
そしてエステの店に行くミユさんの背中を見送り、俺はスーパーへ向かった。
なんとなく、寿司が食いたくなったからだ。
別に回転寿司に行っても良かったけど、牛肉とか牛乳とかほかの物も買いたかったから、結局自分で選んだ寿司を買えるスーパーにした。
(ハマチ、タコ、エビ、マグロ、イクラ……)
ほんっとに好きなネタだけ詰め込めるのは正直ありがたい。このスーパーは神だと脳内で称える。
あ、そうだ、ビールも買おう……。
カートに必要な物をどんどん詰め込んでいく。
そして会計を終え、車に乗りこみ帰路につく。
それから昼に自宅のアパートの1階でビールとパック寿司を食べてから、フォト婚用のドレスのサンプルをタブレットで眺めようと思いついた。
フォト婚をネット内で検索すると、二箇所行ってみた人の書き込みがあった。
式場撮影は高く、ブライダルサロンは衣装は多いけど衣装によって値段が違う。
衣装にこだわりたい人にはおすすめで、写真スタジオは衣装が少ないけど安い。
とのこと。
「……」
ブライダルエステでは背中の開いたドレスを着るために背中の毛を剃っただの、色々と女性は大変だなと思った。
ミユさんは綺麗だから、どんな衣装でも似合うだろう。
結局のところ、きっと本人がドレスを決めるだろうが、隣で映る俺も眺めるだけなら構わないだろうと、あれこれ見て想像して楽しんだ。
いっぱいあると悩むだろうなぁ。
三時ごろにフォト婚のことをゲーム内のギルドで主婦の人に話したら、結婚式関連の仕事をしていた人がいて、本当に楽しかったらしい。
綺麗なドレスで着飾らせて、お姫様ごっこしてるみたいで……何より幸せの手伝いだから、楽しかったと。
確かに着せ替えとか飾りたてるのが好きな人にはガチでいいだろうな。




