20 同じ家に
俺達は新婚旅行から戻って来た。
カナダ旅行はめちゃくちゃ楽しくて景色も綺麗で最高で幸せだった。
嬉しそうな彼女を見れたのがほんとに幸せだった。
あの聖地は別に治安も悪くなくてほんとに良かった。
俺の両親はミユちゃんには事故で亡くなったと言ってるけど、実際のところは強盗殺人の被害にあったのだが、死因が重すぎるので正直に言えなかった。
海外旅行好きだとこんな風な事件に見舞われる可能性があるから生前にアパートくれたりしてたんだ、うちの両親は。
分かっていても……旅が好きだったんだろう。
そして、俺は……体を鍛え始めたのだ。
何かあった時、大切な人を……自分の手で守れるように。
◆◆◆
新婚旅行から帰ってくるとミユちゃんのオタ友からコスプレで売り子の席に座るという依頼が舞い込んだ。
謝礼も出るらしいし、ミユさんも喜ぶならいいかな?と、いったところである。
そしてミユちゃんがメジャーで俺のスリーサイズを測った。これはコスプレ衣装のためだ。
「バスト112cm、ウエスト72cm、ヒップ 95cm。大変素晴らしいですね」
「あはは、ありがとう」
流石にちょっと照れる。腹筋割れてて良かった。
ぷにゃってたら見せられなかった。
「ちな、体脂肪率はいかほどなん? 答えたくなかったら言わなくていいよ」
ミユちゃんが興味深いといった視線を向けてくる。
「こないだ調べたら10%くらいだったよ」
「しゅごい、かなり絞られてる」
とりあえず衣装が上がってくるまでは、俺には暇がある。
そして仕事を終えたある冬の日の夜のこと。
ミユちゃんが作ってくれた美味しい塩サバと大根おろしと白飯と味噌汁で晩ご飯を食べていた。
(大根おろしは俺が擂り下ろした)
こんな幸せあっていいのか? 契約結婚ありがとう!
塩サバはふっくらしてて脂ものってて美味しいし、大根おろしのピリッとした辛さも相まってゴキゲンの晩飯だったわけだが、そんな中、ミユさんからのお誘い。
「え? カップル限定のアフヌン?」
「そう、夫婦(偽装)でも多分いけるので」
「それは確かに」
「行くと記念品が貰えてー、その記念品マグが夜空の流星モチーフで可愛くってー」
「はい、いいよ、その記念品が欲しいんだね」
「えへへ、そうです」
そして、日曜日、カップル限定アフタヌーンティー的なカフェに二人で来た。
とてもオシャレな雰囲気のカフェだ。
俺1人だとしり込みして入れなかったろう。
天井からは沢山のお花が吊るされている。
しばらくして、注文のスイーツ達が届いた。ケーキタワーみたいなやつ(名称知らん)が圧巻!!
写真も撮る。これは映えってやつだ。
「この、スイーツの皿のタワーみたいなの、下と上、どちらから食べるものなんですかね?」
「5段のケーキスタンドだけども、城や塔と見立てるなら、やはり下から攻めるのが定石では?」
「ペガサスナイトや竜騎兵みたいなのならワンチャン上から行ける」
などと、俺がしょーもないことをほざくと、
「じゃあ君は上から行くといい、私は下から攻め入る」
と、返してくれた。ナイスリターン。スルーされたら泣くとこだった。(心の中で)
「お、オス!」
そして二人して甘い時間を過ごした。
色んな種類のケーキがあった。リアルで甘い。ケーキ無双。
シャンパンジュレ? よく分からんが、ジュレの層が透明感のある綺麗な赤色で宝石みたいな見た目で美しい。
味は瑞々しく爽やかだった。
タルトやムースやシュークリーム、ミルフィーユ、スコーン、いろいろあったが、ピスタチオクリームのやつが美味かった。
そして、なんとか食べ終え、ミユちゃんはきっちり記念品をゲットして、ホクホクしてた。
かわいらしい。ベリーキュート!!
そして記念品マグを大切そうにトートバッグにしまって俺の車で帰る。──同じ家に。
……幸せだ。ただ、それだけのことが。
ガチで結婚して良かった。




