19 ミユサイド2
先日、最高に楽しい新婚旅行を終えて、無事、何事もなく日本の家に戻って来た私達。
SNSに日本に帰還!と、書き込むと、早速Limeでオタク友達から連絡がきた。
『みゆち、プリンスエドワード島に行ったんだよね? 写真よろー』
『OK』
そして、オタク仲間に新婚旅行の写真を何枚か送って見せた後の事、オタクらしい欲望丸出しの依頼が舞い込んだのだ。
「え? 俺にイベントでコスプレ売り子して欲しいって?」
「うん、知り合いに新婚旅行の写真を見せたら、ぜひお願い出来ませんか!?って、そのユウジ君の筋肉と爽やかルックスがいたく高評価でしてぇー」
「俺は構わないよ、でも衣装は」
「あちらがミシン使えるし、用意してくれるそうだけど、恥ずかしければ断ってくれていいよ」
「恥ずかしいのは多分大丈夫、でも俺はでかいですよ」
「あちらがたくましいキャラが好きだと分かってるので、サイズ測って送れば大丈夫だよ」
「そっか」
私は頷いて、カバンからメジャーを取り出した。
「シャツの上からでもいいから、測らせてもらうね?」
「どうぞ」
彼はカカシのように立って腕を広げた。
「ありがとう、失礼しまーす」
まず、メジャーで胸囲を測る。……うん、おっぱいでっか!!
よく鍛えられております。
これがえろ漫画なら、チクビをメジャーで弄られてしまうところだ。
まあ、やらんけど。
「ミユちゃん、顔が赤いよ?」
!! バレた!? はれんちな事を考えていたのを!?
「あ、すみません、オッパ、いえ、胸筋立派だなぁと」
「あははは、触ってもいいよ」
彼は朗らかに笑い、そして誘惑する。
いいのか?そんな事を軽々しく言っても!?
「えーーガチで言ってる?」
「うん、筋肉に興味があるんだよね?」
無邪気な笑顔でそんなことを言うとは!
な、なんというサービス精神!! しかし、いいのか! なにもしてないのにそんなご褒美イベントがあっても!?
「あ、あります! でも、ちょっと心の準備が!」
「いるの?」
いるとも!! なんか改めて揉むのも、照れるな! 揉みたいけど! 千載一遇のチャンスだけれども!
「こ、ここでそんな幸運を使うと明日の新イベのガチャ運が無くなる可能性がある!」
ヘタレなのでテキトーな言い訳を使ったが、それっぽくはあるだろう。
「あ、新ガチャかー」
我ながらオタクとしてもっともらしい言い訳だ。
でも明日お気に入りの乙女ゲームの新ガチャ来るのは本当のこと。
「そ、そうなのよ、残念ながら、パイ揉みイベントはまた今度」
「パイ揉みイベントって……ぷっ、あはは!」
そ、そうだ!
「私が何かで落ち込んでる時に大丈夫? おっぱい揉む? って訊いてみて!その時にもしかしたらお願いするかも!!」
名案とばかりにそんな事をほざいてみた。
せっかく伝説のセリフを聞くチャンスだし!
普通男女逆だけど!
「あはは、分かったよ」
そして私はスマホにユウジ君のサイズをメモってからそれを衣装を作る友達に送った。
「サイズ送れた?」
「うん」
「そーいやいつのイベント?」
「冬の祭典」
「わりと近いな、間に合うの?」
今は既に秋がそろそろおわる頃だから。
「かなり早いよ、彼女は被服の専門学校出てるし」
「そっか」
それでも万が一、間に合わないようなら春のイベントもあるし、そちらにも行けるなら無駄にはならない。
規模は夏や冬ほどでかくはないけど。
そしてピコンと、通知音が鳴ったのでスマホを確認すると、
「あ、友達が今、ユウジ君が着る服の資料送ってきたよ」
Hベルトつきのやつだ! 早速彼にも見せた。
「ハーネス付きの衣装じゃん!」
肌色率が高く、Hベルトと民族衣装を組み合わせたような服だ。毛皮のマントもついてる。異世界ファンタジーの草原の戦士風とでも言えばいいのか。
「そうだね! 大丈夫そ?」
「うん」
「マントついてるけど露出多くて寒くないかな!?」
「会場内だから平気では?」
「寒かったらなんか着てね!」
「うん」
ユウジ君はなんでもないことのように微笑んでくれる。冬にこんな肌色面積の多いコスプレをさせられるのに、心が広いな!




