18 ミユサイド
~ ミユサイド ~
最近私は契約結婚なるものを、してしまった。
私は男というものをまだ信じきれないから、普通の結婚をしたいと思ってなかった。
お相手の里中友次君には度々申し訳ない気もしてるけども、彼の提示してきた契約結婚の条件があまりにも私に都合が良かった。
私が男を信じきれないのは、大学生の時につき合っていた男が浮気をしてたから。
しかも私の友達とだ。ありえないと思った。
2人がベッド・インしてたのを目撃したのだ。絶望しかない。
よりにもよって私の友達に手を出すなんて。
二重の裏切りである。
だから私は二次元に傾倒した。
二次元の乙女ゲームの男なら、一途だし、私を決して裏切らないから、オタク活動にのめり込んだ。
とはいえ、私は好きな二次元作品はひとつではなく、多い。心の拠り所は多い方が楽しく生きられる。
ひとつのゲームだけを好きでいたら、サービス終了の時に抜け殻になってしまうから。
昔からフィクションでも物語というものは、私をワクワクさせてくれた。生きる活力である。
そして私の結婚相手の里中友次君はとても良い人で爽やかで背が高く、いい筋肉のついたイケメンで、さぞかしもてるだろうに、何故こんなオタク女と偽装結婚したがるのか、意味不明である。
(だってHも契約条件にないのだ)
でも、彼は両親を海外旅行中の事故で亡くしたらしいから、心から大切な人をもう二度と失いたくない。傷つきたくない。とかいう理由からなら、分からなくもない。
お兄さんにもずっと1人身でいると心配されてるし、孤独死回避と思えば、お互いにメリットはあるのだけど……。
しかし、ユウジ君はビビりのくせにホラー映画を見たいというめんどくさい私のお願いもきいてくれるし、新婚旅行も私の好きな作品の聖地を選んでくれる神っぷり!
とても優しい。私にはもったいないくらいの人だ。
自動販売機の中味入れ替えの仕事を今はしてるけど、アパートのオーナーで家賃収入まである優良物件なのに世の女性はなにをしてたのか。
私がアスクタやぬいぐるみと食事風景やいい感じの背景で一緒に撮っても、いい歳してなにやってんだこいつって、キモがらずにいてくれるし。
水族館ではガチャにも付き合ってくれた。
一緒にいてとても楽しい。
そして今は契約結婚なのに新婚旅行で聖地にいるし、アンのコスプレ撮影のできる店に来てる。
私が着るのはアンのデフォルト服とも言える、帽子と緑のワンピースに白いエプロンがついてる可愛いカントリーコーデだ。
「え? このエプロンドレス男も着れるの? でも俺は筋肉があってサイズ的に無理だと思う。バリィ!とかいって張り裂けたら大変だからミユちゃんだけ着るといいよ」
「そう?」
少し残念だけど、確かに彼はムキムキの筋肉がある。
「何ならベストと帽子とネクタイなら自前のを持ってきたからア〇じゃないけどギルバー〇の方なら寄せられる」
ギルバー〇は赤毛をからかったせいで、ア〇を怒らせ、長く片思いしていたキャラで、しかしマリ〇の目の病気以降、自分が決まってた職場(アボンリーの教師)をア〇に譲って完全和解し、将来的には医者になって結婚する相手である。
「えっ!? ネクタイとベストと帽子マジで? うれしー!」
「うん、こんなこともあろうかと」
用意がいい!! お母様が赤毛のア〇のファンで彼もそのおかげでDVDで見てたらしい! 神!
そしてお互い、赤毛のア〇のコーデを着た。
彼は茶髪だし、元々着ていた白いシャツに茶色のズボン。それにネクタイと帽子とカーキのベストを追加したら、一気にそれっぽくなっている。
「わあ! ギルバー〇っぽい!」
「ミユちゃんも似合ってる、赤毛のおさげも可愛いよ」
「えへへ、照れる」
お店の人もギルバー〇コスっぽくなったユウジ君を見て、「パーフェクト!」と言ってた。
カメラでコス撮影し、満喫してから、我々はまた元の服に戻る。
彼は堅苦しいネクタイと帽子を外しただけであるが。(それらはリュックの中にしまった)
あこがれのプリンスエドワード島に来れたし、景色も良くて食事も美味しくてとても嬉しい!
そして日が暮れた。
「私もやっぱりレストランでロブスターガッツリ食べようかな」
「いいと思うよ、俺はじゃがいもの料理も気になってる」
「いいね」
よし、これからディナーとしゃれこむぞ!




