11 忘れてた
ああ、しまった、やらかした!
フォト婚前に指輪を贈ればよかった!
しかも、フォト婚時に俺が渡してない指輪をふつーにしてた。
なんか特徴的な指輪だなって思ってたら、ミユちゃんの好きな乙女ゲームのキャライメージの指輪で、しかもゲームのブライダルイベント内でつけてたやつで、つまりミユさん、他の男の指輪つけてた!!(自分で買ってるやつだろうが)
───まぁ、そもそも俺が契約結婚とはいえ、結婚オッケーして貰えて舞い上がって大切なものを渡すの忘れてたのがいけないとは思うが。
『すみません! フォト婚前に指輪を渡すべきでした! 買うので指輪サイズ教えてください!』
そして、謝って指輪のサイズをLimeで聞く俺。
『契約結婚なんですから、お気になさらず!』
(にっこり笑う猫ちゃんのスタンプつきでそう返された)
『でも、あの時してたのゲームのコラボリングでしたよね!?』
(ここで、バレたか!と言うセリフ付きの猫ちゃんのスタンプ)
『せっかくなので。いや、主役はドレスなので、小さくしか見えないだろうし、なんかあればよかろうと』
(そして、てへぺろの猫スタンプが来た)
『でも、親御さんが……』
『あー、親かぁ。でも契約結婚でそんなお金使ってもらうの申し訳ないので、偽物の千円くらいのてきとーなやつでいいですよ。フリマアプリにあります』
『そんな! いくらなんでも千円は』
(そして青ざめる犬のスタンプを送る俺)
『素人目にはダイヤモンドもジルコニアも分かりませんし』
『と、とりあえずサイズを教えてください』
(ここで手を合わせるネコのスタンプを送る俺)
『7号です』
『ありがとうございます!』
『ほんとに安物でいいですからね!』
──そして、可愛らしい猫がバイバイしてるスタンプが送られてきた。
とりあえず、他のギルドの女性にギルドチャットで相談してみよう。
ちなみに人妻さんである。
『は? 好きな女性に渡す指輪? 私は本物のダイヤじゃ無くていいから、とにかく大きくてキラキラしたのが欲しくって、モアサナイトを買ってもらったよー』
『モアサナイト? キュービック ジルコニアではなく?』
『そそ、モアサナイトは本物のダイヤに劣らない輝きと言われてるの。ジルコニアもモアサナイトも人工的に作られたものであるとこは同じだけどジルコニアよりは高いけど変色しにくいし、輝きが強い』
『へぇ』
『ジルコニアくらいは知ってるんだ?』
『高校時代の知り合いがキラキラしてる石つきヘアゴムつけてて綺麗だねって言ったら、これはジルコニアのやつーって教えてくれた』
『えーもしや元カノー?』
『まぁ、ええ、はい』
『とにかく、指輪にあんまお金かけたくないならモアサナイトおすすめ』
『はい。お金は……新婚旅行に使った方が喜ばれるみたいで』
聖地巡礼だから。
『旅行は二人共通思い出になるしね!』
『そうですね』
そして俺はネットでモアサナイトのリングを検索した。
本物のダイヤだと契約結婚なのに重い!って思われそうだけど、これくらいならいいだろう。
……最高品質、そして、5カラットはでかすぎ、やりすぎか?あんまりでかいと偽物感出そうだし。でかくても2カラットくらいが無難か。
──いや、待てよ、確か婚約指輪の方が石がでかくて結婚指輪は日常生活で邪魔にならないシンプルなやつが主流……だったような。
俺は結婚指輪とは聞かずに好きな人に贈る指輪と聞いてしまってたな! あの人妻さんに!
とにかく、結婚指輪は石がでかすぎないものを贈っておくか。モアサナイトのリングが最高品質と書いてあるやつでもかなり安いからゴールドのリングも贈るか。
ゴールドの方が高くなる説……ま、いっか。
後日、土曜の夜に約束をとりつけ、居酒屋で会うことになった。
せめてレストランにしようと思ったけど、ミユちゃんが居酒屋がいいと言うので。
まぁ、仕切りのあるとこだし、いいか。
いや、待てよ、別に居酒屋の中で渡さずとも、帰りの車の中とかでも。
契約結婚の指輪で演出に凝るのも変だ。
でも、たとえ契約結婚でも、本物に勝る輝きのある石ってのは、なんかロマンある気がして気にいったので、2種類のリングを渡すことにした。
金色の指輪は金運アップするというしな。




