04. 『雷撃一掃』
ダンジョンの入り口を潜り抜けていった先には、何通りにも別れる道があった。
「さぁ、どの道にする?」
ちょっとノリノリのフローラル。
フローラルは冒険が大好きなのだ。
「んー、じゃああっちから行こう!」
マヨーナは左から2番目の道を指した。
さっきの不安感は薄れたようだ。
選んだ道を進んだ先には広い繁茂した空間が広がっていた。
「超広い部屋に来たね…。」
「緑がすごい…!繁茂してる。」
「ん、待てよ。なにか強力な魔力が感じられる。」
目に見える小さな光った魔素が漂っている。
「「それを辿った先には…。」」
人の何倍にも及ぶ大きさのー。
俗に言うライオンのようなー。
灰色の肌をしたダークな獣だ。
「ぁあ、そうか、この魔獣から出る強力な魔素がこの空間を繁茂させたのか。」
フローラルはいつも冷静だ。
「で、出たあぁぁぁぁー!」
マヨーナはビックリして、慌てている。そりゃそうだ。
そこには、他の生徒たちも居たがみんな苦戦していた。
「『ベスティエ』という魔獣だよ。こいつの弱点はおそらく…。」
『ウルルル……ガルル、ガオッ!』
ベスティエという魔獣はとても鋭い爪で2人を切り裂こうとする。
魔獣の額には宝石のようなものが埋め込まれていた。
「あれだ。」
フローラルはその宝石を指した。
「遠距離魔法であいつの額を撃ち抜くんだ!」
「でも、あんなに凶暴で速いのに、撃ち抜けないよ!」
「あと、筋肉痛なんだから!!」
マヨーナはベスティエの攻撃を避けるのに精一杯だ。
フローラルは攻撃を避けながら考え込む。
(こいつの額を撃ち抜くのは超簡単。)
(でも、あれを撃ち抜けるのはとても鍛えられた人ごく僅かだけ。)
(ここで撃ち抜けば、マヨーナも、もちろん他の生徒も驚くこと間違い無いない。)
(そして、絶対に目立ちたく無い…。)
「あ、そうだ。」なにか思いついた様子。
「空気よ、輝けっ。」
そうすると、この辺り一帯は光り、みんなの視界は真っ白になった。
「うおっ!」「なっ…」
「魔獣はロックオンした。1秒だけでもみんな視界を奪えば、こっちのものだ。」
「『雷撃一掃』。」
一直線に魔獣ベスティエに雷のような光線が向かっていく。
ベスティエに直撃した瞬間大きな爆発が起きた…!
『ドオオォォォオンッ!』
「なっ…なんだ!…って、あれ?」「一体、なにが起きたんだ?」
「魔獣が、やられているぞ!」「いつの間に…。」「誰がやったんだ…?」
魔獣ベスティエは灰になって消えていく。
「はぁ、はぁ、もう何が何だか…。」
疲れ果てた様子のマヨーナ。
「ふぅ…良かった。」
「マヨーナ。怪我はない?」
フローラルはまだまだ余裕そうだ。
「うん。大丈夫だよ。それにしても、誰がベスティエをやったの?」
「さ、さあ、分からない。誰だろうね。」
動揺はなんとか隠せたようだ。
「と、とりあえず、先に進んでいこう!先着25人までらしいからねっ。」
「そうなの!?疲れたけど、急がなくちゃ…。」
フローラルはボソッとキツそうな顔をして呟く。
「ぅ、あんな魔法使うべきじゃなかった。筋肉痛が…。」
2人をはじめ、他の生徒30人ほどが先へと進んでいくのであった。
「そういえば、フローラ〜。」
「なあに?」
「フローラは、魔法好き?」
「もちろん。大好きだよ。マヨーナは?」
「も、もちろん好きだけど。なんか私、向いてないのかなって…」
マヨーナは暗い顔をしている。
「そうかな?私はそうは思わない。」
「え?なんで?」
「魔法が好き。それだけでもう、やる気は十分だ。」
「あとは、努力の積み重ねだ。積み重ねできた分は必ず結果につながる。」
「今の時代は結果だけじゃダメだ。その結果を出すまでの過程も重要視される。」
「だから、得意不得意の才能だけでは魔法は決まらないから。安心して。」
マヨーナはいつもの明るさを取り戻した。
「ぁ、ありがとフローラ!なんかやる気が湧いてきた!」
フローラルはなんだか、嬉しそうだった。
「よぉうしっ!じゃあ、このダンジョン攻略したら、魔法のトレーニング100セット!」
「ぇ、えぇ!?100セットってどれくらいなの…?」
「ぇーと、最初は、遠距離魔法のエイム練習、全回復の呪文の速読の練習と暗記…、基本魔法全般の基本から応用までで1セット?」
マヨーナは慌てて断る。
「いやいやいや!無理無理無理むりぃー!!!!」
前にもこのくだり、見たことあるような…。
この先フローラルとマヨーナは無事、今回のダンジョンのクリア条件の魔導書保管庫から魔導書を持ち帰ることはできるのか!




