26. ゼクト
ゴーレムは瞬く間にジークに迫ってくる。
「こいつ、隙を全く見せねぇ…!!」
(使うか…特殊魔法!)
「『緑裂瞬突』!」
尖り鋭い木の葉や枝が次々にゴーレムに突き刺さる。
それでも、ゴーレムは一瞬だけ動かなくなっただけで、すぐに動き出す。
「もぅ、なんなんだよっこいつ!」
「先生、これ強く作りすぎたんじゃねぇの??」
ジークがゼクトの方を見る。
ゼクトのゴーレムは、すでに膝をついて、やられていた。
(えぐっ…!)
(俺も頑張らなくっちゃな!)
「『然壊幹翠』!!!」
たくさんの巨大な木の根をムチのようにゴーレムを叩きにかかる。
と思いきや、この木の根はゴーレムの両足に巻き付いた。
『ゴオォ!』
ゴーレムは体制を崩して屈んでしまう。
すると、手にも太く大きい木の根が巻き付く。
「俺のこの魔法は木の根で攻撃するだけじゃねぇ。」
ジークは基本攻撃魔法を繰り出そうとする。
その場で身動きを取れなくなったゴーレムは無理やり立ち上がり、暴れだす。
「早くしないと!!」
『ドオオォォォオンッ!!!』
ゴーレムの胸。つまり心臓部分を撃ち抜いた。
『ピッ』「ジーク、4分14秒!」
「ふぇ〜、まぁ最善は尽くせたなっ!」
「あっ、」
ジークよりも先にゼクトがフィールドを出ていた。
ジークは声をかける。
「ぉ、おい!」
「ん?ぁあ!ジーク!試験、無事終わったみたいやな!」
「それはこっちのセリフ。おまえ、強くないか?」
「なんで?」
「いや、俺の後の出席番号がゼクトなのは一応わかってたけど、こんな強いイメージはなかったからさ。」
「ゼクト、基本攻撃魔法でゴーレムの片腕落としてたし!」
「まぁな。最近、いつもより練習量増やしててん!」
「そういや、話の途中やったな。で、どう思う?フローラのこと。」
「ぇえ?俺はそんな疑いは持ちたくない。あれはフローラの実力だ。」
「誰もあれはフローラの力ちゃうなんて言うてへんわ。」
「あいつ、裏で魔法について調べてるやろ。」
「ん?ぁ、確かにしてるな。それと何が関係あるんだ?」
「多分、魔法の起源を調べとるんや。僕も昔、よう調べとった。」
「でも、あんなに魔法の起源の追求に執着するやつは、そうおらん。」
「きっと、なんかあるんやろ。」
「なんか?」
そうして、ゼクトとジークのフローラルや魔法の起源について語り続けた。
そう話に夢中になっている間に、全員の魔法実技の試験が終了した。
フローラルとマヨーナがジークの元へやってくる。
「大変だったけど、お互いお疲れ様。」
「どうだった?私たちの頑張り!結構頑張れたと思うけど!」
ジークは困った顔をする。
「ぁー、うん。すごく良かった…!」
マヨーナは「怪しい!」と言う。
「本当に見てた??」
「見てませんでした。すんません。」
「もぉ!別に良いけど、」
フローラルは聞く。
「まぁ良いけど、何してたの?」
「えーと、なんかゼクトっていう人と話してたんだぁ…。」
ジークは少し汗をかく。
「どうしたの?別に悪いことじゃないのに。」
「え?いや、そうだけど…。」
レーラが遠くからやってくる。
「はい、これにて魔法実技の試験を終了する。みんなお疲れ様!」
「もう帰ってよし!」
「ま、いっか。帰ろ!」
「お、おう!」
「で、実技何分だったんだ?」
「私は、4分21秒!ジークとほぼ変わらん!」
「ふっふーん!私、2分28秒!」
「フローラは早すぎだろ!!」
(『魔法解析』は結局使わなかったけどね…。)
そうして、3人で歩いてカバンを取りに教室に帰っていった。
それを遠くからゼクトは見ていた。
そして何かを企んでいるかのように、ボソッと笑顔で呟く。
「よろしくな。ジークっ。」




