25. 強すぎる
「いっちょ、頑張りますかぁ!」
ジークは軽く準備体操をして待機していた。
「そんな呑気で、試験いけんの?」
隣のフィールドの前にいる。
おそらく、ジークの次の出席番号の人だろう。
「ぅえ?」
ジークが振り向くとそれはまた、個性的な人だった。
「君、最近よくフローラと話してるよな。」
「ぁあ?まぁそうだな。」
「フローラさぁ、なんか怪しいと思わへん?」
「え?なんでだ?」
「君、そこまで馬鹿ちゃうやろ?考えてみぃ。」
「中2で、あの魔法技術。」
「あれは、普通やない。」
関西弁で話すこの男の子は笑っていた。
でも、その目だけは笑っていなかった。
「ぁ、ぁあ?」
「何言ってんだ?おまえ。」
すると、フィールドの向こう側からレーラの声が響く。
「そこ!早く位置につけーっ。」
「急に話しかけて悪かったな。僕の名前はゼクト。君はジークよな?」
「ぁ、うん。よろしく…。」
ジークは少し、戸惑う。
「ほな!」
そう言ってゼクトと名乗る眼鏡をかけたボサついた黒髪の男の子は自分のフィールドに入る。
(あいつ、なんだったんだ?)
そう疑問を抱きつつも、ジークは自分のフィールドに入る。
ゴーレムは起動されていないのか、立った状態で止まっている。
(今回はどれだけ素早く的確にゴーレムに攻撃できるか。)
(機動力が試されるな…!)
ジークはそう考えて、杖を握りしめる。
フィールドの向こうからレーラがスタートの合図を出す。
「よーい…」
「どんっ!!」
『ガシャンッ』
ゴーレムの赤いひとつ目が光り、動き出す。
「前の生徒を見た感じ、狙い撃ちは無理だっ。」
「となると、予測撃ち!!」
ゴーレムは軽やかに移動し、ジークに近づいてくる。
「ここだっ!」
『ドオォォオンッ!』
基本攻撃魔法を放ったが、さすがに一発では当たらず、避けられた。
「ここっ!」
『ドオォォオンッ!』
「ここか!?」
『ドオォォオンッ!!』
全て避けられてしまう。
『ガシャン!!』
ゴーレムもジークの間合いに入り、拳を振りかざす。
「げっ!」
『ドオオォォォオンッ!!』
(強さも半端ね…ぇ!)
ジークはなんとか避けられた。
そして、ジークは息を継ぐ暇もなかった。
次の攻撃がくる。
ゴーレムの移動が速いせいで、ジークが体制をとるまでに次の攻撃がくる。
「くそっ…!!空気よ、固まれ!!!」
『ドォッオォォン!!』
固まった空気にヒビが入る。
「なんていう、力だ…!」
そう苦戦しているなか、隣のフィールドでは。
先ほどジークに話しかけていた、ゼクトも戦っていた。
『ドオオォォォオンッ!』
ゼクトは基本攻撃魔法で、ゴーレムの右腕の装甲が大きく砕けた。
それをたまたま見たジークは呆気に取られる。
「あいつ!えぐっ!!」
すると、ゴーレムは瞬く間にジークに迫ってくる。
「こいつ、隙を全く見せねぇ…!!」
(使うか…特殊魔法!)
「『緑裂瞬突』!」
尖り鋭い木の葉や枝が次々にゴーレムに突き刺さる。
それでも、ゴーレムは一瞬だけ動かなくなっただけで、すぐに動き出す。
「もぅ、なんなんだよっこいつ!」
ジークは次の攻撃に移ろうとする。
「先生、これ強く作りすぎたんじゃねぇの??」
ジークがゼクトの方を見る。
すると、ゼクトのゴーレムは、すでに膝をついて、やられていた。




