第四章 第二十五話 「天使、堕天」
みなさま、大変長らくお待たせしました。
PCが起動しなくなり、新しいPCを購入してようやく出来ました。いや、PC高けぇ・・・・。
「……認めない、認めないわ! 私は、私の名はガブリエル!至高たる神の座を支える四柱、熾天使の一柱大天使ガブリエルよ。そんな私がこんな神の意志に逆らう下界の者なんかに!!」
籠の底に叩きつけられたガブリエルは、美貌をゆがませながら半分ほどから断ち切られている自らの翼に手をかけ引き千切る。
「貴様は、私が倒す!」
覚悟と言葉と共に引き千切った翼が光と化し、それは美麗なレイピアへと変化する。
半ば断ち切られていた熾天使の格を持つ天使の翼。神格を宿した翼が変じたそれは神々しいまでに力を宿す白銀の神器となっていて。
「っ!」
地を蹴るガブリエルの飛翔は一直線に空を駆けるそれはまさに流星のようで。以前の颯天であれば受けきるのは困難といえる一撃。
しかしその切っ先を颯天は余裕をもって柄の部分でその一撃を泰然と受け止めた。
「いい攻撃だ」
「なめるなっ!」
上から目線の言葉に対してのガブリエルは空いた手に収束させた光を至近距離から颯天にめがけて放つ。
「なっ!?」
しかし光はまるで見えない壁にぶつかったかのように颯天の肌にあたることなく霧散し、もとより防御の構えすらとっていなかった颯天は既に次の動作に移っており。
「ごふぅ!?」
痛みに歪むガブリエルの口から血の塊が溢れ、腹部には横一線の斬撃を証明するかのように溢れ出る。動きが止まったガブリエルに対して颯天は容赦なく足を鞭のようにしならせた蹴りを叩き込み。ガブリエルはまるで逆再生かのように先程と同じ軌道を描き地へと叩きつけられた。
「こいつは・・・・予想以上だな」
叩きつけた衝撃で立ち上る煙を気にすることなく颯天は思わずまじまじと自分と手を見る。そこにあるのは見慣れた自分の手だが、そこには今までは抑えることしかできなかった力を扱えているという全能感に似た感覚ががあった。
そんな傍から見れば隙だらけの颯天の隣に転移したガブリエルは目に見えないほどの刺突を幾つも放つ。もはや目視すら難しい星の瞬きのような煌めきの刺突。その全てを颯天は【黒鴉】を抜くことすらなく鞘に納めた状態で捌く。
(馬鹿なっ!?)
ガブリエルの神器であるレイピアはただの武器ではなく、触れたものは空間ごと削り取るという恐ろしい力を宿していた。だというのにレイピアに触れた颯天の持つ剣に破損した個所は一ヵ所もなくて。
さらに言えば颯天は一瞥もすることなく片手間でその全てを捌き切ってのけた。
それはもはや神業という言葉すら生ぬるい絶技というに相応しいもので。
ガブリエルの中に確かな”恐怖″を植え付けるのには十分すぎるものだった。
「お、お前は一体・・・・」
絶対的な強者を前に、恐怖にのまれたガブリエルは思わず一歩引いてしまう。だが、そこは最高位の熾天使の一角。
歯を食いしばり、何としても必ず神の前に立つ存在にわずかでも食い下がらんとガブリエルは武器を構えようとして。
「終わりにしよう」
その言葉をつぶやくと同時に雷切を鞘から抜き黒鴉と二刀の構えをとり、颯天はそのまま黒鴉を振り上げ、黒鴉と雷切。二振りの刀へと漆黒の魔力が収束していく。それの様子はまるですべてをかみ砕かんとする牙のようで。
「な、なんだ、この力は・・・・!?」
圧倒的なまでの魔力によって周囲の空間は歪みガブリエルは立っているだけで精一杯になりながらも目にしたそれは貪欲な竜の顎の様で。
「黒の顎」
刹那の交差、ガブリエルの胴体に刻まれた剣閃を起点に発生するは次元を崩壊させたことによって発生した全てを呑み込み食らわんとするブラックホール。ガブリエルの全身には裂傷が走り端からボロボロと崩壊を始める。
「い、嫌だ、わ、たしは…」
恐怖に歪み伸ばされたに何者も答えることなく、ガブリエルの身体は空間に呑み込まれて消え去った。
「…さて、取り敢えず外に出るとするか」
黒鴉と雷切を鞘に収めて結界の外へと出るために颯天は地を蹴った。結界の外で起こっていることと、その覚悟を見届けるために。
白色のベールをくぐり抜けた先には先程までと打って変わった喧騒や怒号に包まれていて。
「ふむ、どうやら終わったようじゃの」
そんな状況の中で、上から戦況を見守っていた白夜が外に出てきた颯天に話しかけてきた白夜に颯天も自然体で応えなが地を蹴る。
「ああ、そっちはどんな感じだ?」
「結構粘っておるが、やはり神の獣と言われるだけあっての、押されておるよ」
白夜と隣に到達し視線を追った先では煙が巻き上げられ、魔法が炸裂し硬い物がぶつかり合う音が絶え間なく響していて。
「あの子らも、頑張っておるよ」
「みたいだな」
白夜の視線を追った時、既に見つけていた神獣との戦いで躍動する三人の少女達の姿を颯天の目は確かに見ていた。
そんな颯天に白夜は不思議そうに見ていて。
「なんだ?」
「いやなに、力の加減も出来るようになったんじゃから。あそこに交じりたいのではないかと思ったのじゃが」
違うかの? と視線で尋ねてくる白夜に颯天は戦場から視線を逸らすことなく応える。
「その辺りは弁えているさ、この戦いは俺達の戦いじゃない。だから、お前も手を出していないだろ?」
「どうかの?」
はぐらかすように言いながらも口元を手で隠す、それでもその声音は喜色を隠し切れていなかった。
「まあ、それでも最悪の場合は動くがな」
そう言いながら、神獣ラドゥーンとの戦いから視線を外さない颯天の横顔を見た後、白夜は何も言わずに戦いを見守る。
颯天が口にした「最悪」。それが何なのかをそしてその後に起きるであろう事に気が付きながらも白夜は何も言わず。
二人が見守る中で戦いは最終局面へと至ろうとしていた。
次の話は少しづつですが書き続けて投稿をしていきますので、待っていただけると嬉しいです。




