92 世界樹
ジュリアさんの案内で世界樹へと進む道のりにて。
「そういえばジュリアさんの調べ物は何かわかったのか?」
「あぁ、それも話そうと思っていたんだ。まだ私も2日ほどだからな、全て調べきれた訳ではないが。まず、神器についてだが、封印されている神殿がある。場所については確実なことがわからなかったが…」
「それなら私がわかりますよ?案内できます」
「じゃから…そんな簡単に…」
「さすがは理の外だね!」
アクアの暴露にマリクさんが呆れ、それにハルのよくわからないツッコミが入る。
うん。マリクさんの気持ちは分かるけど、理から外れた精霊って正直便利だな。
「そ、そうか。それであれば調べる必要なかったな…」
ジュリアさんがちょっとガッカリしてる。
「ま、まぁアクアはちょっとインチキみたいなものだから…」
「そ、そうか。うん。ありがとうユウキ」
俺のよくわからない慰めに礼を言われる。
「それとなハルの力だがやはり女神の力だろう。こればかりは詳しいことはわからないが…これもアクアならわかるのか?」
ジュリアさんがアクアをチラッと見ながら言う。
そうだよなぁ。調べてくる!って意気込んで飛び出した里に戻ったのに調べなくてもアクアに聞けばわかるとかなぁ。
まぁジュリアさんが出発した時はまだアクアと契約もしてなかった訳だけど。
「ハル様の力に関しては私もはっきりとはわかりません。こればかりは女神の力を実際に見た事ある方に聞くしかないでしょう」
「見た事ある方?」
「はい。精霊王様であればご存知かと。その昔魔王を封じた戦いに参加されていたはずですので」
「じゃから…」
「マリク様?もう諦めてくださいね?」
「…ワシも闇堕ちしちゃおうかな…」
「そしたら私が救ってあげるね?」
「…それも悪くないのぅ」
いや大精霊それで良いのか?
「話を戻しますね。精霊王様がいらっしゃる場所はわかります。女神の事を聞くのであれば土の精霊ノームと契約した後にご案内します。どちらにせよお2人はお会いする資格を持つことになりますので。そうですね?マリク様?」
アクアがマリクさんに話を振る。
精霊王に会う資格?
「…うむ。それも土のやつと契約してからの話なのだがの。まぁ順番を変えたのはワシか。まぁそういうことじゃの。ユウキ殿とハルちゃんにはその資格があるのぅ」
「それは…つまり4精霊と契約し大精霊にも認められた者がってことか?…あ。魔王を封印する術も精霊王が絡んでるってことか?」
俺の言葉にマリクさんがデカイため息をつきジト目になる。
「ユウキ。お前相変わらず察するのが早すぎんだろ?マリクに説明させてやれよ」
「いいのじゃよゼノン。ユウキ殿はこういう奴じゃ」
え?なんで俺呆れられてる?
「まぁユウキ殿の言う通りじゃの。なのでノームと契約終わってからなのじゃが。いや本来は4精霊と契約できて、大精霊と会うためには精霊石が必要で…という流れなのじゃがな」
あー。色々すっ飛ばしてんな。でもそれだと…
「そもそも大精霊が精霊石くれてんだよな。飛ばしてるのマリクさんもじゃないか?」
「…否定はできんのぅ」
「まぁいいじゃん!じゃあノームちゃんに会ったらその後は精霊王?それとも神器ってやつ?」
「精霊王の方が近いかもしれませんね」
「じゃ精霊王か。まぁとりあえずはノームに会わなきゃな。ジュリアさん後どれくらいだ?」
「…なんかもうユウキとハルに全て任せた方が何もかも早い気がしてきたぞ。私いらなくないか?」
ジュリアさんが遠い目をしながらブツブツ言っている。
「おーい。ジュリアさーん?」
「…!あっすまない。世界樹は後ちょっとだ」
世界樹のイメージだとめちゃくちゃデカイって感じなんだけどな。今のところそういったものは見えないな。
そこから数分歩き…
「着いたぞ。これが世界樹だ」
「え。これなのか?」
「…これって…木なの?」
そこにあったのは想像していた大樹ではなくと人の背丈程の若木であった。
「あぁ。世界樹はこの世界の負のエネルギーを吸い成長する。今世界樹が成長するほどの負のエネルギーがこの世界に無いということだろう」
なるほどな。それだけこの世界が平和って事か。
「それで土の精霊はどこにいるんだ…?」
そう言いながら世界樹に近づく。
…すると突然世界樹が光り輝き始める。
「…っ!」
「これは!?」
「…なんだ?身体から…何かが…抜けて…」
「…ユウキ!?どうしたの!?」
「ゼノン!ユウキ殿を世界樹から離すのじゃ!」
「おう!」
マリクさんの言葉でゼノンが俺を抱えて世界樹から距離を取る。
「ハァハァハァ…」
「大丈夫か?ユウキ?」
「…あぁ。ゼノンありがとう。しかし、一体何が…」
「世界樹が君の負のエネルギーを吸収しようとしたんだよ」
世界樹の傍に光が集まりそこから小さな戦士のような姿をしたものが現れる。
「お久しぶり、マリク様、アクアも。それでその闇の存在と何故2人は一緒にいるんだい?」
「久しいの。ノームよ」
「ノーム。ユウキ様は闇の存在ではないです」
「闇の存在ではない?世界樹が反応したんだ。何も無いって事はないでしょう?見たところ禍々しい魔力を持っている。この世界に災いをもたらす存在だ」
ノームが厳しい口調で責め立ててくる
「ユウキは!災いなんかじゃない!良い魔王なんだよ!」
…ハル。そこで良い魔王はちょっとおかしいぞ。
「は?良い魔王って何さ?魔王に良いも悪いもないでしょ?」
「ノームよ。お主の言いたいことはわかる。じゃが話を聞くのじゃ」
「マリク様がそう言うなら…」
どうやら話を聞く気はあるようだ。
って多分なんとなくなんだけどノームの反応が正しい気がしてきたな…。




