88 過去
それから数時間経ちアクアが呼びに来た。
「ユウキ様ー!もう到着しますよ!…ハル様?そろそろ独り占めの時間も終わりですよ?」
「今行くよ。呼びに来てくれてありがとうな」
「アクアちゃん?ユウキは元々私のものなんだよ?」
ハルがよく分からないことを言っている。
いやまぁ違わないんだけど…
付き合ってないぞ?まぁゼノンからも何が違うのかと言われるけどな。
「ハル様?こちらの世界では一夫多妻制と言う制度もありましてね…」
「むー私達の世界はありませーん!」
そんなやり取りをしていると船が止まる。
到着したようだな。
「ほら。2人とも船から降りるぞ。アクア、シルフここまでありがとうな」
「ユウキ様の為であれば大したことではないですよ!」
「僕も問題ないよー。さて僕は1度戻るねー」
そう言ってシルフが光に消える。
「シルフちゃんバイバーイ!またね!」
ハルが光に向かって声をかける。
「さて。ゼノンここから目的地の施設はどれくらいだ?」
「魔物が居なければ3時間と言った所だな。出来れば日が暮れる前に着きたいな」
「OKだ。俺とゼノンで切り開いて、ハルとアクアに援護してもらおう」
「わかった。それで行こう」
と、ゼノンと今後の動き方を決めた。
…決めたんです。決めたんですよ?
「ユウキ様!魔物です!えーい!」
水の刃が現れた魔物を切り捨てる。
「ユウキ!危ない!はぁ!」
ハルの放った火の槍が魔物を消し炭にする。
「ユウキ様!私の方が魔物倒してます!」
「ユウキ!私が倒した魔物の方が魔石大きいでしょ!?」
ハルとアクアが何故か競い合っている。
「なぁ?ユウキ?」
「ん?どうしたゼノン?」
「俺らって魔石回収しかしてないよな」
「あぁ。切り開くってなんだろうな?」
「まぁこのペースなら日が沈む前に目的地には着けそうだな」
「…ならいいんじゃないか?…いいと思うことにしようぜ」
「あぁ…そうだな。しかしユウキ大変そうだな…この後も」
「…言うな」
それからハルとアクアの競い合いは終わらず施設まで、俺とゼノンは魔石拾いを続けていた。
〜〜〜
「…着いたな。ここが施設だ。まずは受付をしよう。2人ともギルドカード用意してくれ」
言われて収納からカードを取り出す。
そのまま受付へ行く。
「はい。カードの確認完了致しました。3名…様でよろしいでしょうか?」
受付の方がアクアとマリクさんを見ながら聞いてくる。
「ワシらは精霊じゃからの。部屋は必要ないので大丈夫じゃよ」
「私はユウキ様と同じへ…もごっ」
アクアがマリクさんに口を抑えられ連れていかれる。
なんか精霊のイメージ変わるよなぁ。
「お部屋の割り方はいかがしますか?」
「2部屋で!私とユウキ!」
食い気味にハルが伝える。
やっぱりそうですよね。
「…かしこまりました。ではこちらが鍵ですね。こんな場所ですので他には冒険者も居ませんのでごゆっくりと」
こんな場所って言ってるけど、そんな場所で受付してるこの人は何者なんだ?
「ユウキ。この人受付してるけどSランクだからな?」
そんな俺の疑問に気づいたのかゼノンが教えてくれる。
やっぱりそうなのか。
「昔の話ですよ?今は引退してここの管理ですから。SSになってもおかしくないゼノンさんに言われたくないですよ?」
「そう言えばゼノンはそうだったな。SSランクには上がらないのか?」
「興味がねぇのよ。もう冒険することも無いと思ってたしな。お前らに会うまではな」
「…そうなのか?…ミナトの事も関係してるのか?」
そう言えばゼノンの昔の話よく知らないな。
アクアから魔王の因子繋がりで少し聞いたけど。
「そうだな。この先ミナトと戦う事になるのを考えるとユウキには話しておくべきかもな。とりあえず部屋へ行くか」
宿泊予定の部屋へ向かう。
なるほどテラスハウスような感じなのか。戸建てを半分ずつ使う的な。平屋だけども。
「ユウキ少し酒でも飲みながら話すか。ハルはどうする?」
「私はユウキと一緒だよ!」
「だろうな。お子ちゃまが飲める酒あるかな?」
「むー。私も飲めますー!元の世界ではユウキに飲みデート連れて行ってもらってたんだからね!」
それはデートという必要はないんじゃないだろうか。
まぁデートのつもりだったけどさ。
そんな話をしながらゼノンの泊まる部屋へ入る。
「適当に座ってくれ。…と。ホイ。ユウキ。…これはハルだな」
それぞれに酒を配ってくれる。
ウイスキーみたいな香りだな。
ハル飲めるかな?
「さて。どこから話すかなぁ。まぁ俺とミナトが出会ったのはミナトが召喚されて半年ぐらい経った辺りかな…」
「どれくらい前の話なんだ?」
「そうだな…もう100年ぐらい前か」
100年…思った以上に昔の話だった。
それにしてはミナトは年取ってるようには見えなかったな…。
あれ?それにルーナさんもミナトのこと知ってたよな?
「アイツの見た目か?まだ会えてないからアレだが聞いた感じだとあの頃から変わってないんだろうな。恐らくそれも魔王の魂の力なんじゃねーか?」
「ミナトが魔王の魂に手を出したのは…?」
「あぁ。マナカって仲間がいてな。ミナトとは恋仲だった。ちょうど今のお前らみたいにな」
「そのマナカさんはどうなったの?」
「死んだ。そしてその原因は…」
そこでゼノンが言葉を止めグラスの酒を一気に飲み干す。そして…
「…俺のせいだ」
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