84 アクアの気持ち
とりあえずエルバの街へ戻ることになったが…
「あ!魔物ですね!えい!」
アクアの水魔法で現れた魔物が貫かれる。
「あ!あっちにも魔物だよ!えーい!」
今度はハルの火魔法魔物が燃え尽きる。
道中現れる魔物はハルとアクアの魔法によって瞬殺されていた。
まぁ楽なんだけどね。
アクアは俺の右肩に座っており、ハルは俺の左腕に抱きついている状態。
…なんだこれ。
「モテモテだなユウキ」
「…茶化すなゼノン」
ハルが俺のことを…好きなのはまぁ知ってる。
アクアは…なんでなんだ?
確かに助けはしたが実際闇から救ったのはハルの力だ。
「アクア。改めて聞くが…その…なんで俺なんだ?実際助けたのはハルだぞ?」
「そうですね…ユウキ様は誰かを好きになるのに理由はいりますか?」
おっと…なんか地雷踏んだかこれは?
「…いや、それは理由とかは…な」
チラッとハルの方を見て答える。
「ふぅ。なかなか手強いのはわかってます。まぁ理由ですが…」
アクアがそう言って言葉を止める。
(こちらでお伝えしますね。声に出すのはユウキ様恐らく困ってしまうので)
頭の中にアクアの声が響く。
(これは…)
(ユウキ様と私は今繋がりが深くなってますので、言葉に出さずとも伝えられるようになっているのです。完全に深層心理に潜ればこの間のようになりますが、石を伝えるぐらいなら通常時も可能です)
なるほど。テレパシー的なものか。
(それで伝えることとは?)
(はい。私がユウキ様を好きになった理由です)
どストレートに来たな…。
(フフフ。照れてます?もっと照れてもらっていいですよ?)
(アクアそんなキャラだったのか?マリクさんから人と関わるのが苦手としてたと聞いたが…)
(そうですね。それも含めです。まず私が魔王の魂の力で闇堕ちした事が1つの原因でしょう)
(闇堕ちが?)
(はい。精霊はそもそも、恋愛などの感情はありません…古代の精霊は違ったものも居たようですが。私も持っていませんでした。ですが、闇堕ちした際にそう言った感情も得たようです)
(なるほど…?なのかなんかよくわからないな)
(まぁ私もそうだろうな。ぐらいですので。そしてユウキ様の事をと言うのは魔王の因子を介してユウキ様の事を知ったからです)
(俺の事?)
(はい。こんなに優しくて、自分を犠牲にすることができる方。そしてとても深い悲しみと、寂しさを持つ方。その寂しさを埋めてあげたいと思いました)
(どういう意味だ?そんな寂しがってるつもりはないぞ?)
(そうでしょうか?ユウキ様は自分を犠牲にしてハル様を元の世界に戻そうとしてますよね?ユウキ様の役割も私は知ってしまいましたので)
そこまで伝わってるのか。
(そうすると俺が災いをもたらすかもしれない存在だとわかって居るのだろう?)
(はい。ですがユウキ様にそのつもりはありませんよね?全てはハル様の為。自分がどうなろうと構わないと。)
(あぁ。それはそうだ)
(そんな方が世界を滅ぼすなんてありえないでしょう。そしてそれを誰に理解してもらわなくてもいいと考えてらっしゃる)
(…そうだ)
(そんな人なので私は好きになりました。貴方と共に居たいと。もし。もし仮にユウキ様がこの世界に失望し、役割を果たすと言うのなら、それすらも私はご一緒します)
(おいおい…精霊はこの世界を守る側の存在じゃないのか?)
(その理からも私は外れておりますので。…ユウキ様がご自身の望み通りハル様の為の最後を迎えると言うならそれにも私はご一緒します)
(…アクアまで滅ぶ必要はないだろう?)
(ユウキ様がハル様に行おうとしている事と変わりませんよ?)
痛いところをついてくるな…。
(だが…)
(わかっています。ですから私が言いたい事は他にあります。ハル様を元の世界に戻らせるのにユウキ様が倒されなくても済む方法を探してみませんか?)
(そんな事が…あるのか?)
(わかりません。ですが私達は理から外れた存在です。そしてハル様だけ元の世界に戻りましたら私を伴侶としてください)
「…なっ!」
思わず声が出てしまう。
「わっ!ビックリしたぁ。ユウキどうしたのー?」
ハルが驚いてしまう。
「あぁ、いやなんでもないよ」
「変なのー?」
(声を出してはダメですよ?)
(いや驚いてしまってな)
(フフフ。ユウキ様がハル様と一緒に戻れるなら私は諦めます。こちらの世界にハル様と残られるならハル様と勝負します)
(いや…そう言われてもな)
(まぁそうなった場合ハル様に勝てないだろうなとは思いますし、ハル様と敵対するつもりも無いですが)
(ならなんで今煽ったりしてるんだ?)
(諦めた訳でもないですよ?それにハル様からかうと可愛いので)
(随分と俗っぽい精霊なんだな?)
(闇堕ちしましたからね。断りから外れた精霊なんてこんなものなのでは?それに恋させたユウキ様のせいかもしれませんよ?)
(そう言われてもなぁ)
(まぁ今は特に無いです。ただユウキ様がハル様の事を何より一番に考えるように、私もユウキ様の味方でいるということを忘れないでください。きっとハル様も同じように考えてますよ?)
(…心には止めておく)
わかってはいるんだ。
俺の選択してるものがハルを喜ばせるものでは無いということは…。
でも、そうか。そうじゃない手段もあるかもしれないか。
「さて。ユウキ様、ハル様まずは土の精霊に会いに行きましょう。恐らく今いるのは世界樹の森でしょう」
いきなりアクアが声に出して話し始める。
「世界樹の森?」
「はい。通称エルフの森です」




