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俺がラスボス?  作者: いぬちく


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79 そばに

「まぁゼノンは頑丈そうだもんな」

「ユウキまでそんな事言うのか?」


そう言って皆で笑い合う。


「でもゼノンが一緒なのが心強いのは本当だよ。…さて次は土の精霊かってそういえば水の精霊も契約してないよな?」

「あ、そうだね。気を失ってたもんね」


あの時ハルの力で操られてたのは解除できたようだけど、そのまま意識は無かったはず。

マリクさんがついていてくれたんだっけか。


「ハル、マリクさんは?召喚したのは解除されてるのか?」

「んー。特に何もしてないよ?」

「ワシはここにおるぞー」


マリクさんの声が聞こえ、部屋の隅に光が集まる。

その中からマリクさんが現れる。


「ちょうど良かった。水の精霊…アクアの様子はどうだ?契約まだしてなかったって話をしてたんだ」


「うむ。消耗はしておるが、大事にはなっておらんのぅ。今は精霊の泉で休ませておる。迷いの森の中の本来アクアがおる場所だのぅ」


「そうか。そうすると契約するなら会いに行かないとダメか」

「そうじゃの。まぁ元々そこには行かなければいけない訳だからの。後数日は休ませておいた方が良さそうじゃがのぅ」


まだ消耗した分回復はしてないってことか。


「数日ってどれくらいだ?」

「まぁ3日もすれば契約するのには問題ない程度にはなるであろう」


となると、俺達も数日はここに留まる必要があるか。

まぁ急ぐ旅ではないしなぁ。


「そういえばマリクさんの召喚ってこんな長くいられるものなのか?」

何となく戦闘中だけってイメージあるんだよな。

元の世界のゲームとかの影響か。


「普通の精霊だと数時間程かのぅ。召喚されてる間も魔力は消費するからのぅ。ワシは魔力の精霊じゃからの、その辺は普通とは違うのじゃ」


さすがは大精霊って所か。


「もちろん戻ってもいいのじゃが、今回の件で思うところがあるのでな、しばらく共に行動することでハルちゃんとの繋がりを強くしておこうかとな」


「繋がり?昨日の戦闘でも言ってたな。それが強くなるとどうなる?」

「ワシ本来の力を出すことができるようになる。本体として来てるのに近づく訳じゃな。……昨日も本来の力が出せればアクアをもっと早く助けてやれたかもしれん」


マリクさんが少し落ち込んでいるように見える。

語尾も普通だしな。


「とはいえ今回ハルちゃんの力で助けてもらったからのぅ。改めて礼を言わせておくれ」

「ううん!気にしないで!私の役割でもあるはずだから」

頭を下げるマリクさんにハルが言う。


「そうだ。マリクさん女神の光って知ってるか?」

「女神の光か…話に聞いたことはあるのぅ。じゃが申し訳ない詳しい事はわからんの、精霊王なら知ってるかもしれんが、かの御方ももう数千年姿を見せておらん」


精霊王…か。マリクさんの更に上ってことか。


「ワシが知ってる範囲では、その昔魔王と戦う際に、精霊王が共に戦ったものが女神の力を使っていたと言うことぐらいかのぅ。その時は人、エルフ、精霊が共に戦ったと言われておる。が誰がどんな力を使っていたかまではわからぬ」


「そうか。そうなるとやはり……」

「あぁ、私がエルフの里で調べてこよう」

ジュリアさんが頷く。


魔王と戦った、人、エルフ、精霊か。


エルフとしてジュリアさん、

人としてゼノン、

精霊の力を行使でき、女神の力を使えるハル。

俺にしろミナトにしろ魔王を倒す者は揃っているとみていいのかな。


「ねぇユウキ?魔王ってなんなのかな?」

「そもそもだな。でもまぁそうだよな。この世界の魔王ってなんなんだ?」

ハルの疑問に、俺も乗る。

ジュリアさんやマリクさんを伺ってみる。


「エルフに伝わっているのは、世界を闇に閉ざす者。とだけ。それがどのような存在なのかはわからんな」

とジュリアさん。続けてゼノンが…

「人に伝わっているのは、魔王の魂を持つ者は神殺しの力を持つと言われてるな。御伽噺レベルの話だが。過去に魔王と呼ばれる者が居たという記録はあるようだが、詳しい事は…な」


「精霊には破滅を司る存在として伝わっておる。この世界に生きる者達の天敵。とだけ」


ふむ。精霊がいちばん知ってそうで知らないのか。

人に伝わっているのは俺もルーナさんに聞いているからそんなものなのだろう。


後はエルフに何か詳しい記録があればいいが…。


「まずは、俺達はアクアと契約をし、土の精霊を探すってのが目標か。ジュリアさんはエルフの里で神器や魔王ら女神の光について調べてもらう。でいいかな?」


「あぁ。そうだな。道中ミナトが襲ってくる可能性がある。…ユウキよ。ハルの事を守ってやるんだぞ?」

ジュリアさんに真剣な表情で言われる。


「もちろんだ。ハルを傷つけるやつは許さないよ。どんな手を使ってでも守る」

そう。それが例え魔王の力でも、アイツに存在が近づいてしまったとしても。

最後には俺も倒される運命なのだから……。


「むー。ユウキ?また一人で抱え込もうとしてるでしょ?何度も言うけど私はユウキと一緒に戦うんだよ?…あの力は使わないで欲しいよ。私もっと頑張るから…」

ハルが泣きそうな顔になる。


…守るために泣かせてちゃダメか。


「うん。ゴメンな。でも今回ので暴走せずにコントロールできそうな気がするんだよ。きっとハルのおかげなんだと思う。…でも、むやみやたらに使うことはしないよ」


「うん…。それでも使って欲しくはないんだよ?なんかよくわからないけどあの力を使うとユウキが遠くに行っちゃう気がするの」


ハルの力が光だとすれば俺の力は闇だろうからな。

正反対なのだからその感覚は多分間違ってないんだろうな。


「大丈夫だよ。俺はハルのそばに居るから」

(最後の時までは……)


「…うん。約束だからね!」

「あぁ、約束だよ」


……泣かせたくは…ないよな。

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