78 御伽噺
「もしかしたらってのは?」
「私も昔聞いた事がある御伽噺なんだがな。昔魔王を封印した勇者と呼ばれたものが、扱ったとされる力に女神の光というものがある」
「女神の光?」
「あぁ。たしか、闇を払い、闇を打つ。そして人々を癒し救う。だったかな。今回の話を聞く限りぴったりではないか?」
なるほど。確かに今回スケルトンをたおし、俺が闇に呑まれるのを止めてくれて、アクアを助けたか。
「確かに結果はしっくりくるが……御伽噺なんだろ?」
「それはそうだが…そもそもユウキの魔王の因子…要は魔王の魂だな。それだって御伽でしか聞いた事ないんだ。」
あー。そーか。既に俺がそうか。
今更、増えた所で不思議ではないか。
それにここは異世界だったな。
一人で納得して、ふとハルの方を見てみると…
「つまり私とユウキは御伽噺の存在?…お揃いってことかな?」
「お揃いって言うか…どちらかと言うと真逆の存在じゃないか?」
「えー?そうなの?」
「うん。だって魔王と勇者だろ?」
まぁそもそも世界を滅ぼすモノと世界を破滅から救う者だからな。そう考えれば魔王と勇者なんてしっくりくる所か、それしかないじゃないかって話だよな。
「えー。それじゃ私ユウキと戦わなきゃいけないの?イヤだよそんなの。絶対イヤ。」
ハルが暗い表情になる。
「ハル…。大丈夫だよ。あくまでお互いそういう力を持ってるだけだって。それに俺の力をコントロールできるようにしてくれたじゃないか。敵対するのであれば、そんな事はできないだろ?」
魔王と勇者としては……な。
「そっか。そうだね!それに…魔王と勇者だったとしたって仲良くしちゃいけないなんて事も無いよね!」
「フフフ。ハルのそういう考え方私は好きだな。その通りだ。魔王と勇者が仲良くしてはいけない理由などない。むしろ仲良くすることで世界が平和になるのかもしれないな」
ジュリアさんが笑いながらそう言う。
「問題はミナトの野郎がこの先どうするつもりなのかだな」
ここまで沈黙していたゼノンが発言する。
「ミナトの狙いか…。魔力のダンジョンの時はスケルトンを進化させて、タリスを狙った。その時は人々の魂をと言ってたか。」
「その時にユウキの力を知ったって事だよね?」
あの二回目のダンジョンで遭遇したのが、偶然ではない可能性もあるって事か。
「そして今回水の精霊を使ってきた。これはハルの適正属性に対応しつつユウキの力であれば倒せる存在で狙って行動した可能性があるな」
魔力のダンジョンの一件で魔王の因子を持つ俺に気づき、その力を持つ俺を狙って今回の行動。
そして今回ハルの力に気づいた…
『何なんだよ。お前。闇を払ったり、闇を貫いたり!!……まさかお前!まさか!』
あの時のミナトが言っていた。
そうすると……
「次にミナトが狙ってくるのはハルか」
「恐らくな」
「ユウキこの先は俺も2人と一緒に行動させてくれ。ミナトの動向を探るつもりだったが、ミナトがお前らに接触してくるほうが早そうだ」
「あぁそうだな。俺としてはゼノンが一緒にいてくれる方が心強いよ」
あの力を使わない前提であれば俺よりゼノンの方が強いからな。ハルを守るなら戦力は多い方が良い。
「2人きりの旅を邪魔しちまうのが申し訳ないがな」
そう言ってゼノンがニヤリと笑い、
それに対しハルは…
「ゼノンー。ユウキはあげないからね?」
「…なんでそうなるんだよ?」
「私のユウキだからね!?」
「……だからなんでユウキを俺が奪う前提なんだよ!?」
どうやらハルの方が1枚上手だったようだ。
しかし…私のユウキか……不意打ちにやられたな。
一人でニヤつきそうになるのを我慢していると…
「私も一緒に…と言いたいところなんだが…」
ジュリアさんが声をかけてくる
「ちょっと調べたいことがある。ハルはとりあえず土の精霊を探すことになるのだろう?」
「そうなるのかな。どちらにせよ4属性の精霊とは契約しないとだな。…ジュリアさんの調べたいことって?」
「ここまで御伽噺が実在するんだ。それならアレもあるんじゃないかと思ってな」
「あれ?」
「あぁ。勇者が使ったとされる聖剣を始めとする神器と言われる武具だ」
……いわゆる伝説の武器ってやつか。
あ、ちょっとそれは気になるな。
「本当に存在するのかどうかって所ではあるがな。ちょっとそれを調べにエルフの里へ行ってくる。ついでに魔王と女神の光についても何か記録があるかもしれないからな」
エルフの里!……それも気になるぞ。
「皆で一緒に行ってもいいんじゃないか?マリクさんの話では土の精霊は居場所分からないと言っていたし」
「それも考えたんだが……エルフの里は人を受け入れてくれないんだよ。」
「ジュリアのように人に協力的なエルフはほとんどいねぇんだ」
ゼノンがジュリアさんの言葉に続く。
「そうなのか。ジュリアさんしかエルフに会ってないから知らないだけなのか」
「恥ずかしながらな。いつまで古い決まりに縛られるのか。同じエルフとして恥ずかしいんだがな」
となるとエルフの里を見れることは無いのかぁ。
ちょっと残念だな。
「じゃあジュリアさんは別行動だね?…気をつけてね?」
ハルがジュリアさんに声をかける。
「あぁ。ハルも気をつけるんだぞ。何かあったらゼノンを盾にしていいからな?」
「おーい。俺の扱い酷くないかー?」




