77 なんかがなんか
「マチスさん!そっちは大丈夫か!?」
駆け寄ってくるマチスさんに声をかける。
「あぁ!さっきの光はなんだったんだ?あの水の化け物はあの光の後水になったぞ」
なるほど。ハルの光でアクアが悪霊じゃなくなり、気を失ったから、アクアの生み出したあのミズノムカイも消えたってことか。
「怪我人はいないか?」
「多少傷を負った者はいるが、命に関わるようなやつはいないな」
そうか…。良かった。
「しかし何が起きてたんだ?」
「水の精霊が何者かに操られていたようだ」
ここでミナトの事を話していいのか分からなかったので、そこは濁して伝える。
まぁ必要であればジュリアさんが話すだろう。
「そうか。詳しい話を聞きたいがここでって訳にもいかんな。とりあえず街へ戻ろう。2人はまずは休んでくれ。話は明日で構わん」
「いいのか?」
「あぁ。2人はこのエルバを救ってくれた。英雄だ。まずは休んでもらわないと…な」
「英雄なんてもんじゃないよ。今回の件だって俺達のせいで街を巻き込んだようなものだ」
「そうなのか?まぁそうであっても撃退してくれたのは事実だろ?英雄に違いないさ」
英雄か…タリスでもそうだけどなんか…
「むず痒いねぇー」
ハルも同じ気持ちのようだ。
とは言えここでゴネても仕方ないので、
お言葉に甘えて宿屋に向かう。
戦闘の後だったこともありそのまますぐに寝てしまった。
〜〜〜
翌朝起きてからギルドを訪れた。
中に入ると…
「お。来たな!昨日はありがとうな!」
マチスさんが迎えてくれた。
「あっちの部屋で待っててくれ。先客もいる」
「わかった。…先客?」
部屋へ入ると、ジュリアさんとゼノンがいた。
「おー。お疲れ!すまんな。まさかこんなに早くミナトが次の行動を起こすとは思わなかった。こんなことなら一緒に行動するべきだったな」
ゼノンが頭を下げる。
「いや、ゼノンに責任はないだろう?まぁこのタイミングで水の精霊を操って来るとは思わなかったよ。今回のアイツの目的は…」
話をしていると扉が開きマチスさんが入ってくる。
「待たせた。そのミナトってのがジュリアさんから報告が上がっていた、魔力のダンジョンで起こった件の黒幕だな?」
「そうだ。タリスの時はアイツの目的は街を襲うことだったようだな。今回は…おそらくユウキだろう」
「俺か?今回も街じゃないのか?」
ジュリアさんが厳しい表情になる。
「いや、アイツが魔王の魂は未完成と言っていた。そしてユウキのあの黒い力、ルーナから聞いたがあれは禁術だろう?…その…」
そう言ってハルの方をチラッと見る。
ハルの前で俺の力の事を話すのを躊躇ってるのか。
「ジュリアさん。言いにくいのは魔王の因子の事か?」
「あぁ。そうだ。……いいのか?」
「ハルは知る必要がある…と思う」
そう言ってハルの方へ向き直る。
「ハル。どうやら俺の中には魔王の因子ってやつがあるらしい。それが何なのかわからないが。闘気と魔力を合わせるアレを使えるのはその因子のおかげらしい」
「…ユウキは…魔王なの?」
「いや、そんな事は無いよ。魔王になんかなりたくないし」
魔王では無い。嘘じゃない。
むしろもっとヤバいモノだ。
…いや魔王だから世界を滅ぼすモノなのか?
「それなんだがな…」
ジュリアさんが話し始める。
「ギルド所有の資料とかも確認したんだ。どうやら魔王の因子って言うのは、昔魔王を封印した際に漏れ出た力の事らしい」
「…よくわからないんだが、魔王の一部って事か?」
「封印しきれなかった力であったり、魔王の持つ知識だったり、様々らしいが、魔王の一部という言い方で合っていると思う」
「ユウキは大丈夫なの?…それ良くないものなんじゃないの?」
ハルが心配そうな表情で俺を見る。
「良いものでは…ないな。ユウキの場合はおそらく闘魔融合が使えるのが、魔王の因子の影響なのだろう。力と言うよりは知識寄りのものを持っているのだろう」
アレを使えたのは過去の魔王だけだって話だったか。
まぁそうなるとそうなんだろうな。
「話を戻すが、ミナトは魔王の魂を完成させるためにユウキの持つ因子を狙ってきたのではないか?
「因子って奪えるものなのか??」
「……わからん。だがマリクから聞いたが操られたアクアを倒すとしたらユウキの力を使うしかなかったのだろう?そうなるようにミナトが仕向けたのであれば……」
「…狙いは俺ってことになるか。」
「ああ。だが今回の件で少し変わるかもしれないな」
「変わる?」
「ユウキが闇に飲まれかけた時にハルの力で抑えたのだろう?結果漆黒の刃として残った。魔王の力を暴走させない力。ミナトがその力を放っておくことはないだろう」
狙いがハルになるってことか……。
「ハルを傷つけるようなことは絶対に許さない。何があっても守ってみせる」
「ユウキ…。でもあの力に頼るのは嫌だよ?アレを使う度ユウキが…なんて言うか……遠くに行っちゃう感じがするの」
ハルの言うことはきっと正しいんだろうな。
アイツに近づいていっているのだろう。聞き取りにくかったアイツの声もはっきり聞こえるようになった。
そして使う度闇に呑まれやすくなっている感じはしている。
「しかし、今回ハルの力で呑まれなかった事を考えると、二人で力を合わせればコントロールする事も可能なのかもしれないな」
「ハルの力か…そう言えばあのスケルトンを貫いた光はなんだったんだ?」
そうあの時ハルの力は凄まじかった。
火の上級魔法すら効かないミナトにすら効いていた。
「あー。あれ?……わかんない。なんかできそうって感じたんだよねぇ。でそしたらなんかできたの。アレなんなんだろうね?」
なんかがなんかでなんかできた。
何一つわかりませんね。
「それなんだが、もしかしたらって言うのはあるかもしれん」




