76 覚醒?
ハルから発せられた光にその場の全員が包まれる。
「これは…!」
光が収まる。俺達の前に小さい青い髪の少女が倒れていた。
「アクア!無事か!」
マリクさんがその少女の元へ飛ぶ。
この子がアクア…水の精霊の本来の姿か。
「ユウキ…大丈夫?」
「あぁハル。ごめんまた助けられちゃったな」
「…なんだ?今の光は、闇を打ち払ったとでと言うのか…?」
少し離れた所でミナトが驚愕の表情を浮かべている。
「マリクさん!アクアは?」
「大丈夫じゃ。今の光は…」
どうやらアクアも無事のようだ。
俺も意識が落ちかけたが問題ない。
ハルの光は…以前暴走した俺を助けてくれたのと同じ…いやその時よりも…
「なんなんだ!その娘は!今の光は!…ボクの計画を台無しにしてくれたな………そうか…まずはお前からどうにかしないといけないと言うことか…」
ミナトが激高し魔力を高め始める。
「何をするつもりだ!ハルには指1本触れさせない!」
ハルの前に立ち塞がり声を上げる。
「僕の計画の邪魔をするものは…殺す!…【錬成】来たれスケルトンども!」
ミナトの言葉共に地面からスケルトンが現れる。
「またスケルトンかよ!芸が無いな!」
「ふん。そんな軽口叩いていられるかな?」
地面から現れたスケルトンは前回と同じく漆黒のもの。大きさは以前のように大きくなく人のサイズ。
しかし今回は一体では無かった。
「な!この数は…」
「君達には質より量で攻めた方が良さそうだからね。あぁ。と言っても性能は前回より上だよ?」
現れた漆黒スケルトンはざっと40体ほど。
コイツらはどっちだ?魔法効かないやつか?物理効かないやつか?
「ユウキ…。多いね…」
「あぁ。ハル…俺が守る!って言いたい所だけど、今さっき助けられたばかりだからな…二人で乗り切るぞ!」
「うん!…そういえばユウキのその剣は?」
言われて自分の剣を見る。
あれ?これは?
先程行った闘魔融合の際に漆黒に染まった後、ハルの力で収まったと思ったが…
刃の部分のみ未だ漆黒のままになっていた。
「ユウキ?それ大丈夫?」
ハルが心配そうに聞いてくる。
さっきのような身体の重さも無ければ、消耗も感じない。
「あぁ。なんでかわからないけど、問題は無さそうだ。これならあのスケルトンも切れる!」
「無理はダメだからね?なんか私も…なんかできそう」
「なんか?」
「うん!上手く言えないけど…やってみる!」
そう言ってハルが手をスケルトンに向けてかざす。
「…えいっ!!」
ハルの左手から放たれた光がスケルトンを複数体貫く。
「…なんか出来た!」
なんかって何なんでしょうね…。
本当にうちの子は可愛いだけじゃなく凄いんだから…。
「なんだそれは!コイツらは魔法無効なんだぞ!」
ミナトが声を荒らげる。
「そうかよ!うちのハルを舐めんなよ!!」
俺も負けられないな!
漆黒の刃を手に近くのスケルトンを切り捨てる。
よし!思った通りこの漆黒の刃なら切れる!
そのまま続けて切捨てていく。
「マリクさん!アクアと共にハルの近くへ!」
「わかっておる!…ハルちゃん守りは任せなさい。その光で攻撃するのじゃ!」
「わかったよ!…えいっ!えーい!」
ハルが放つ光で次々とスケルトンが倒れていく。
え?強すぎん?俺いらなくないこれ?
なら…俺は…。
スケルトンをハルに任せミナトに向かって走る!
「何故!その力を留めて平気でいられる!?魔王の因子に呑まれていない?」
「さぁな!なんの事かもよくわからんが、うちの姫のおかげだろうな!最高の女なんだよ!」
ミナトに向けて漆黒の刃を振るう。
残念ながら直撃はさせられず、ミナトの黒いローブを切り裂くだけだった。
「くっ!調子に乗るなよ?」
ミナトがそう言いローブを脱ぎ捨てる。
次の瞬間ミナトから漆黒の力が吹き出る。
「…これは!?」
「お前の力と同じさ。破滅させる力。僕も魔王の魂を持つのだからね!」
そう言いミナトの纏う漆黒のオーラが棘のようになり俺に迫る。
迫る棘は5本。
数が多くないか!?
慌てて剣を振るい棘を切り落とす。
ん?簡単に切れるぞ?
「大したことないな。同じ力って言うからヒヤッとしたじゃないか」
「何故だ!同質の力をそこまで簡単に…まさか貴様の方が格が上だとでも…」
その時後方から光が飛んでくる。
「ぐぅっ!!」
光はミナトの左肩を貫いた。
「ユウキ!こっち終わったよ!無事!?」
後ろを伺うとハルがこちらに来ていた。
終わったってあのスケルトン全部倒したのね。
「大丈夫だ!ハルこそ大丈夫か?消耗してないか?」
「大丈夫!元気いっぱいだよ!」
満面の笑みでハルが答える。
…戦闘中だってのにその笑顔は…最高だ!
「何なんだよ。お前。闇を払ったり、闇を貫いたり!!……まさかお前!まさか!」
ミナトが激高し更に魔力を高める。
「ハル…。迫る闇は俺が切り払う。ミナト本体は任せるぞ」
「うん!ユウキが無理しないならそれでいいよ!」
迫る棘を次々に切り払う。
何か戦闘前より身体がどんどん軽くなってきてるような…。力が溢れると言うか…
その隙にハルがミナト本体を狙う。
流石に簡単には喰らってくれないがミナトの全身を掠めてダメージを与えていく。
…しかしアイツ血とか出ないのか。
「くっ!くそぉ!」
そう言いミナトが大きく後方へ下がる。
「…次だ…次に会ったら絶対殺す!!」
「…キャラが変わってんぞ?何度来たところで俺達は負けない!」
「返り討ちだよ!」
「…覚えていろ!!」
ミナトの足元に魔法陣が浮かびそのまま姿を消す。
残されたのは俺達とアクア、スケルトンの残骸だけだ。
「終わったか…」
「…うん。あ!街の皆は?」
振り返ると街の門からマチスさんが走ってくるのが見えた。
「お前らー!無事かー!?」




