74 襲来
エルバの街へ戻ってきて門番に挨拶をする。
「おう!お前らちゃんと戻ってきたな!いい子だ!」
めちゃくちゃ笑顔で迎えられた。
そんなに喜んでもらえるものなのか…。
「あぁ、ちゃんと忠告は守ったぞ。ただ……」
森の様子があまり良くないことを伝える。
「そんな事はこれまで無かったな…。情報ありがとうな。ついでに悪いんだがギルドにこの事を伝えてもらえるか?俺はこの北門の守りを固めるよう上に伝えてくる」
俺の話を疑いもせず直ぐに行動に移してくれるのか。
やっぱりこの人めちゃくちゃ良い人だな。
「わかった。マチスさんには俺達が伝えに行くよ。…何か起こるかもわからないがアンタも気をつけてくれな」
「あぁ。気を引き締めておくよ!」
門番と別れギルドへ向かう。
あ、名前ぐらい聞いておけば良かったかな…。
そのままの足でギルドへ向かい、
受付に緊急事態だと伝えマチスさんを呼んでもらう。
こないだと同じ部屋で待っていると直ぐにマチスさんが来た。
「北の森の異変と聞いたが?」
世間話も無しに本題へ。
この人も動きが早いな。
「うむ。ワシから説明しよう」
「貴方は…ルーナ様の所にいらっしゃるマリク様ですね?」
「いかにも」
おや?ルーナさんもマリクさんも様付けなのか?
え?偉いのこの人達?
よく考えてみると神殿の立ち位置って…?
と考えたが、本題の話が優先だな。
後でタイミングあったら聞いてみよう。
そこからマリクさんが状況を説明した。
「魔力の異常な高まりか…。魔力のダンジョンの件はジュリアさんからも聞いている。…マリア!マリア
ちょっと来てくれ!」
扉の外の誰かを呼ぶマチスさん。
…ジュリアさんはさん付けなのか。
「はい!マスターどうしました?」
現れたのは受付の女性だった。
あ、この人がマリアさんね。
「ギルド長権限で今エルバの街にいるCランク以上の冒険者を集めてくれ。内容は…北の森の異変調査防衛だ。」
マリクさんから聞いたとはいえ、このタイミングで防衛まで決めるのか。
「かしこまりました!」
そう言ってマリアさんは走っていく。
「マリク様、そしてユウキ、ハル君達も手を貸して貰えるだろうか?一旦朝まで北門の防衛力を最大にする。その後日が登ったら実力者で北の森へ向かう」
「そこまで即決してしまうのか?まだ何かが起こるかもわからないんだぞ?」
「タリスの英雄と、神殿から出ることのなかったマリク様が持ってきた情報だ。その辺のチンピラなら鼻で笑ってやるがな。それに何も無いなら俺がビビりすぎたチキン野郎で笑われるだけで終わる」
おー。カッコイイじゃないか。理想の上司だな。
「何かがあってから動いたんじゃ守れるものも守れなくなるかもしれん。その後悔をするぐらいなら俺のプライドなんぞクソみたいなもんさ。…2人は腹ごしらえしてから北門へ頼む。…夜通し付き合わせてしまうかもしれんが…すまない」
それでも飯は食べて来いって言ってくれるのか。
「わかった。すぐに向かう。ハルも勝手に決めちゃったけどいいか?」
「私はユウキの決めたことなら問題ないよ!」
この子もいい子だわ。
「よし。では後ほどな!」
〜〜
それから近場で簡単な食事を済ませて北門へ向かう。
結局宿屋とる必要無かったか。まぁ緊急事態だもんな。
北門に到着すると門番の兵士と冒険者が合わせて30人ほどいた。
「お!来てくれたか。すまんな!」
マチスさんに声をかけられる。
「状況は?何かあったか?」
「先程Aランク冒険者に偵察に行ってもらったが、やはり魔力の高まりが以上だな」
「マリクさん、ゴーレムの様子は?」
「ふむ。対魔物ゴーレムじゃがあの辺りに元々いる野良の魔物以外は現れていないようだのぅ」
と言うことはまだ何もないと…。
このまま朝まで何事も無ければいいんだが。
「ユウキ…なんだろうあの悲しい気持ちが強くなってる…。近づいてくるよ」
ちょっと待て。森で感じたものを何故ここで感じる?
「マリクさん!」
「ゴーレムの反応はない。…まさか!」
ゴーレムは反応していないと言うことは…
「…魔物じゃない!?…マチスさん!何かが来るぞ!!」
「全員気を抜くな!!戦闘態勢だ!」
マチスさんの号令で皆武器を手に持つ。
「マリクさん…行くぞ!ハル!離れるな!?」
マリクさんとハルに声をかけて門へ向かって走り出す。
「ユウキ!待て!!お前らだけでは…」
マチスさんに声をかけられるが止まっていられない。
…わからないけど、ここに居てはダメな気がする!
俺達が走り出すと門の中に何かが現れる。
「なんだ!コイツら!」
「水の魔物!?」
地面から半透明の何かが現れる。
「なんだコイツらは!…全員一人になるな!必ず複数でかかれ!!」
マチスさんの号令が響く。
「ユウキ殿!最悪のパターンじゃ!コイツらはミズノムカイじゃ!これを召喚できるのは限られておる!」
「簡潔に教えてくれ!」
「敵はアクアじゃ!」
は?水の精霊!?
「コイツらは水の精霊が使役するものじゃ!」
「と言うことは…」
門の外に出るとそこに…ソイツはいた。
「コイツが水の精霊…」
「そうじゃ。何者かに操られておるな…」
「…悲しそう…」
「…タスケテ…タス…ケ」
そこに居たのは人の3倍程ある水の大蛇だった。
「来るぞ!」




