67 火の精霊
火の祠へは何も問題なく到着した。
火の精霊イフリートにも問題なくあえた。
契約もハルはすんなり終わった。
なんなら精霊石もサクッと貰った。ハルが。
どうしてこうなる?
「よーし。準備はいいな?」
「準備も何もなんで俺は戦わないといけないんだ?」
そう。今俺はイフリートの用意した炎を纏ったゴーレムと対峙していた。
「お前の中の魔力が気になってなぁ。まぁ、マリクの爺さん、シルフの小僧が認めてんだから問題はねぇんだろうけどなぁ」
「ならいいじゃないか?」
「個人的にお前の強さに興味がある。なんて言うか魔力関係なくお前が気になるのさ」
んー。よく分からんが…。
まぁ、やるしかないのか。
「ユウキー!頑張れー!」
ハルが後ろで応援してくれる。
うん。そうだな。命かけての戦いってわけじゃないし、ハルの前で良いとこ見せられるチャンスじゃないか。
「よし。やろうか」
そう言って俺は闘気を高める。
ついでに左手でいつでも魔法を放てるよう意識だけする。
「よーし!ゴーレムよ!いけ!叩き潰せ!!」
「グォォォォォォ!!」
叩き潰せはダメだろ…。命かけちゃってるじゃん…。
正面から突っ込んで来るゴーレムのタックル?をサイドステップで躱す。
フライの魔法の応用で軽くステップするだけでちょっとした高速移動になるようになった。
「おー!ユウキ速い!かっこいい!!」
ハルの声援が届く。
……悪くないな。
「よし。こっちから行くぞ!」
そう言って左手からウインドカッターを4発放ち、ゴーレムの両手両足を狙う。
とりあえず足止めだな。ても狙ったのはガードと反撃が少しでも遅らせるためだ。
着弾と同時にフライで飛び上がり、
ありったけの闘気を込めた剣でゴーレムの核を狙う。
キッィィィィン!!
俺の振り抜いた剣はゴーレムの核を真っ二つにしていた。
「勝負あり!だな」
ジュリアさんが声をかけてくる。
「ふむ。お前やはり強いな。その嫌な魔力持っていたら心ごと呑まれてしまいそうなものだけど、呑まれずにいるだけあって芯が強いな」
イフリートが褒めちぎってくれる。
「そーだよ!ユウキは強いんだよ!かっこいいでしょ!?」
ハルがなんか言ってますね。
あの指輪の一件以来ハルがすごいんです。
なんて言うか我慢しなくなったというか。
いや嬉しいんだけどね。おじさんちょっと恥ずかしくもあるのよ。
「…青春かな?」
「ああ。羨ましく思うところはあるよな」
「えへへ!ユウキ!カッコよかったよー!」
そう言ってハルが走ってきてそのままの勢いで抱きついてくる。
「ちょっ!ハル?」
「これでユウキも火の魔法使えるね!パワーアップもこれで完了?」
「いや、あの黒いスケルトン…てよりミナトが今襲ってきても正直俺達だけじゃな。ジュリアさん、昨日ルーナさんとも話をしたんだけど、大精霊に会うことはできないかな?」
「やはり、そこに行き着くか」
「あぁ。魔力で戦うなら大精霊との契約かなって」
昨日調べた結果、
通常の精霊は契約を交わせば、魔法を使いやすくなる、適正属性以外も使いやすくなるといったのに対し、
大精霊は契約する事さえ出来れば魔力そのものの大幅なパワーアップが見込めそうだった。
「なんだ?お前ら大精霊に会いたいのか?」
イフリートが声をかけてくる。
「あぁ。どこに行けば会えるのかな?」
「ん?なんだ?お前らもう会ってるだろ?」
「え?」
「マリクの爺さんだぞ大精霊は」
は?いやマリクさんは魔力の精霊…。
「え?マリクさんはこの辺りの精霊の1番上の精霊なだけじゃ?」
「あぁ。この辺りの精霊の言わば長だ。つまり大精霊だな」
「あ、そーなのね。ジュリアさん知ってた?」
「いや私も初めて聞いたぞ……イフリートなんで教えてくれなかった?」
「あん?別に聞かれてなかったからなぁ。むしろ神殿から来ててマリクの爺さんのこと知ってるんだから、知ってるもんだと思ってたぞ」
「まぁそう言われるとそうなんだが…」
「いいんじゃね?大精霊探す手間が省けるってことだろ?しかもマリクなら力貸してくれるのも確実じゃねーか?」
「そっか!そうだよね!マリクさんはもう助けてくれてるもんね!」
ゼノンとハルが二人で盛り上がっている。
…そうなんだけども。じゃあなんで精霊の力を借りる、契約してもらうって話の時に、本人から自分が大精霊って話が無かったんだ?
「ユウキー?難しい顔してるよー?大丈夫?」
「あ、いやマリクさんのこと考えてた」
「何か気になるの?」
ハルが俺の顔を覗き込んでくる。
「そんな簡単にいくかなぁって。まぁマリクさんだからな。悪いようにはならんだろう」
「そうだよ。それに何かあっても私とユウキなら大丈夫!これまでだってどうにかなってきた!」
ハルの笑顔はやっぱり良いよなぁ。なんでもできる気になれる。
「あぁ。そうだな。とりあえず神殿に戻ってマリクさんに話をしよう。何かあったら…二人で何とかしよう」
「うん!」
そうしてイフリートとも契約出来た俺たちは神殿へと戻るのであった。




