64 風の精霊
「愛の力ねぇ…。」
「あー。信じてませんね?愛の力は絶大なんですよ?」
大神官が熱弁してる。
いや、まぁいいけどさぁ。
「それにしたって精霊に会いに行くべきだよな?俺正直そんなに魔法得意じゃないし。確か精霊と契約するとその辺も改善されるんだよな?」
「…愛の……コホン。はい。その通りですね。神殿近くには風の精霊がいます。そしてタリス近くには火の精霊がいます。」
「ちょうどいいな。とりあえずハル達と合流するか。」
二人で資料室を出る。
魔法の事やってるなら…マリクさんの所かな?
マリクさんの部屋へ向かっているとハルとジュリアさんと鉢合わせる。
「あ、ユウキ!いまそっちに行こうとしてたんだ。」
「ちょうど良かったな。飯でも食べながら午後の話をしようか。」
「うん!」
4人で食堂へ移り各々食事を用意し席へ。
「ハル様もジュリアさんから融合魔法については聞きましたか?」
「うん。聞いたよ。ユウキと私の魔法を掛け合わせてってやつでしょ?」
「そうです。ユウキ様とハル様の愛の力を魔法にするのです!」
「へっ!?あ、愛!?」
「はいはい。そのくだりはもういいから。話し進まないから。それをやるにしてもまずは精霊だなと。この神殿近くが風だったよな?今日午後行ってしまおうかと思うんだけど、現実的かな?」
愛のくだりを邪魔されて少し悲しそうな大神官が答える。
「…1時間も歩けば風の洞窟着きますので問題ないかと。洞窟内も特にダンジョンになっていませんし。」
思ったより近かったな。
「よし。じゃあハル午後行こうか。これはジュリアさんにも同行お願いした方が良いのかな?あ、火の精霊じゃないからダメか?」
「いや一緒に行こう。風の精霊も面識はあるし、2人の護衛の意味も含めて…な。」
流石にこんな短期間にミナトがやって来るとは思えないが…。まぁジュリアさん一緒なら心強いは強いな。
その時食堂の扉が開き声が聞こえてきた。
「俺も一緒に行くぞ。」
「…ゼノン!」
「おう。久しぶりだな。」
「しかし、一緒にってのは?」
「昨日ルーナと話をしてな。しばらくの間俺も2人の護衛…というより仲間として行動させてほしいんだ。」
ゼノンって確か闘気で戦えば最強クラスだったよな?
めちゃくちゃ心強いが…。
「また、どうしてだ?俺達がそんなに頼りないか?」
「はっはっは。笑わせるなって。そりゃ1体1なら流石に2人に負けない自信はあるが、お前らが強いのはよく知ってる。…個人的に一緒に行きたい理由があるんだよ。」
ふむ。何か訳ありかな?
まぁ話してくれるまで深く突っ込まない方が…
「個人的理由ってなーに?」
はい。突っ込んでいきました。
「ん。あぁ。…そうだな。2人には話しておこう。お前らが戦ったミナトだが、俺の昔の仲間なんだよ。一緒に旅をしてたな。」
「…そうなんだ。」
「あぁ。で、アイツが魔王の魂を錬成したとか、スケルトンを街に解き放とうとか。良くないことをしてるって聞いちゃ…な。元仲間として止めてやらないとな。」
ミナトがゼノンの元仲間…。
何故災いを起こす側に回ったのか…。
「まぁ、そーゆー訳で俺が勝手について行きたいだけだからよ。邪魔はしねーよ。ついでにユウキを鍛える事もできるしな!」
「確かにそれはありがたい。それに俺達としては断る理由は無いよ。…ゼノンよろしく。」
「おう!任せろ!」
〜
俺、ハル、ジュリアさんにゼノンを加え4人で風の洞窟へ向かうこととなった。
ちなみにゼノンはランクとしてはS。
ジュリアさん曰くSS認定できる実力があるが、ここ最近依頼を受けることもせず、神殿にいるだけだったのでSのままになっているらしい。
つまりこの4人パーティーは
SSランク2人(1人はSSランク相当)
世界を破滅から救う者
世界を滅ぼすモノ(魔王の因子持ち)
うん。無駄に豪華だな。
この4人でその辺の魔物に苦戦する訳もなく、
風の洞窟へ到着した。
「ここが風の洞窟…。なんか穏やかな所だな。」
「そうだな。ここの風の精霊シルフの性格が影響しているのだろうな。」
4人で洞窟の中へ進んでいく。
「んー。なんだろう。凄く優しい感じがするなぁ。」
ハルには何か感じる所もあるようだな。
かく言う俺も何も無いわけでは無く…
ただきっとこれは…警戒されてるな。
そのまま進んで行くと…声がした。
「そこまで。一旦止まって欲しい。」
声の方を見ると淡い光から、
緑色の髪をした男の子が現れる。
「久しぶりだな。シルフ。私だジュリアだ。」
「ジュリア。お久しぶり。そっちはゼノンだったっけ?…後の2人は初めまして…だね?」
「おう。久しぶり。この2人はユウキとハルだ。この2人がシルフに会いに来たんだよ。」
ゼノンが紹介してくれる。
ってゼノンもシルフ会ったことあるのか。
「ユウキにハルだね。…うーん。ハルは良いのだけれど。」
シルフが俺を見て明らかに警戒している。
「キミ…なんでそんなに禍々しい魔力も持っているの?」
「ユウキは禍々しくないよ!」
ハルが庇ってくれる。
しかし、今シルフはなんて言った?
魔力「も」だったよな?
「うーん。いやそれはわかるんだ。ユウキだっけ?キミ自体は禍々しくない。キミ風の適正あるよね?そのせいかな僕には感じ取れちゃうというか…君さ。2つ持ってるよね?」
「2つ?」
「うん。魂を。」




