56 フワトロ
ハルを残して部屋に戻ってきた。
「ふー。そんな長いこと住んでるわけでも無いけど、この部屋が、落ち着くな。」
ペガサス亭で借りている俺達の部屋。
特に変わったものもなく、ベッドとソファー、テーブルがある簡単な部屋。
俺はソファーに腰掛ける。
「さて。この先どうするかな。」
最終目標はハルの役割を果たし元の世界へ帰らせること。
とはいえ【世界を破滅から救う者】ってな。
ラスボスはここにいるとして、いきなり俺を倒した所できっと終わりじゃないと思う。
いやこれで俺さえ倒せばだったら…どうしよう。
「1度神殿に戻ってルーナさんに相談してみるか。」
唯一俺の役割【世界を滅ぼすモノ】を知っている大神官。
知ってる上で自由にさせてくれている。
俺の覚悟を改めて話した上でハルの今後を相談してみるか。
「明日1度ギルドに行ってだな。神殿方面の何か依頼とかあればちょうどいいんだけどな。」
ギルド長にまず英雄扱いの件を文句言わなきゃな。
しかもなんだ純情カップルの英雄とかプリキャリとか。クレーム案件だろ。
などと一人で考えていると。
「ユウキー!ご飯だよー!」
ハルが呼びに来てくれた。
「お。もうそんな時間か。今行くよ。」
ソファーから立ち上がり部屋を出る。
と、そこにはハルが待っていた。
「お?わざわざ上まで来てたの?」
「うん。…やっぱ少し離れると寂しいなぁって。ナツキちゃんと話すのは楽しいんだけどね。」
少し離れるってほんの1、2時間。しかも同じ建物に居たんだけどな。なんて言うのが良くないって事は流石にもうわかります。成長したんです。
「ハルは寂しがり屋だな?大丈夫だよ。一緒にいるから。」
さぁこれでどうだ?
「うん。ずっと一緒に居てね?」
そう言って手を繋いでくるハル。
あー可愛い。その表情はね。ほんっとうにズルい。
いつもの笑ってるハルからのギャップがね。
などと内心一人で悶えつつ、2人で食堂へ降りる。
「おー。来たな。ほれ。お姫様ご希望のオムライスだぞ。」
そこにはふわふわトロトロのオムライスがあった。
「わーい!トオルさんありがとー!大好き!」
「美味そうだな。やっぱトオルさんの飯が1番すぎるな。よし。ハル食べようか。いただきます。」
「いっただきまーす!!」
2人でオムライスを食べる。
こんな美味いオムライスがあるのかと感動してしまった。
オムライスに感動できる日が来るとは思わなかったな。
〜〜
「ふー食った食った。」
「もう食べられませーん。」
「なんかこのくだり前もやらなかったかお前ら?そんな無理して食べるもんでも無いんだぞ?」
トオルさんが呆れ顔で言う。
「いや美味すぎるのが悪い。」
「そーだそーだ。」
「なんだよそれ?」
苦笑いのトオルさん。
「で、明日はどうするんだ?ギルド顔出すのか?」
「あぁ。そうするつもりだ。あのスケルトンの事は気になるしな。ダンジョンも含めて何かわかったかなと。」
「そうか。じゃあ後でジュリアに明日お前らが行くこと伝えておくよ。ちょうど近く行くからな。」
「お父さんまた飲みに行くつもり?昨日も行ったじゃん。」
どうやらトオルさんは飲みに行くようだ。
「飲みかー。」
「ん?ユウキも行くか?」
正直ちょっと行きたい…が。
「んー。今日はやめておくよ。お姫様が…な。」
ハルを横目に見ながら答える。
ハルが照れながら笑ってくれた。
「んへへー。…でも本当に行きたかったら行ってもいいよ?」
「ん。その時はちゃんと言うよ。」
2人を見ながらトオルさんが不思議な顔をして言う。
「…これで付き合ってないんだろ?まぁラキア行く前よりお互いの気持ち分かってるんだろうけど。え?本当に付き合ってないのか?」
「お父さん。2人には2人の世界があるんだよ。ちゃんと暖かく見守ってあげないと。」
「お、おう。まぁ2人が幸せならいいんだけどよ。」
〜
部屋へ戻り。
「んー。我が家って感じだねぇ。」
ハルもどうやら俺と同じような間隔らしい。
「そうだな。」
「ねぇねぇユウキ?これってさ。もはや同棲だよね?」
「ゴホッ!…まぁそうだけど。」
「ふふっ。動揺してるなぁ?あのね…元の世界戻ってからも…その…一緒に暮らしたいなぁって。」
…可愛すぎか。
「…そうだなぁ。もう一緒に暮らさないって断る理由はないよなぁ。っていってもウチ狭いからな。」
「じゃあ部屋探しからだね!」
「その前にご両親に挨拶じゃね?流石に同棲は…。」
「えー?そう?ユウキ真面目すぎるよー。」
「そうかな?」
…帰ってからの話をすると心が痛いな。
ハルの幸せそうな顔見ると…。いっそ全てを捨てて2人でこの世界で…。
いかんいかん。ダメだ。覚悟を決めたんだ。
ハルの幸せは元の世界にあるんだ。
〜〜ハルサイド〜〜
やっぱり元の世界に帰った後の話を出すとおかしい。
何がおかしいって、上手く言えないけど、
ユウキの反応が何か…変。
帰りたくないって訳じゃないと…思う。
私の事…好きなんだと思う。自惚れじゃないと…思う。
やっぱユウキの役割のことなのかな?
ユウキ…私はね。この世界でユウキと生きてく事だってアリかなって思ってるんだよ?
この世界に来たことはユウキのせいじゃないんだよ?
そんな責任負う必要ないんだよ?
なんて今の私が言っても届かないかなぁ。
わたし子供じゃないけど、まだユウキにとっては大人じゃないんだよね。きっと。
早く大人になりたいなぁ。
次回更新予定5月9日15時となります。




