54 タリス再び
これまで2回同じベッドで寝た事はあった。
だが2回とも寝ている間にハルが入り込んで来た為、実質俺にとっては今回が初なのと変わらない。
結論。
寝られるか!
ハルもハルでさっさと寝息をたて、
寝返り打ってどんどんこちらに近づいてくる。
挙句の果てには背中に抱きつく始末。
生殺しにも程があるわけですよ。
という訳でほとんど明け方ようやく眠りに着いたため寝不足なんです。
「ふぁぁぁ。」
俺はタリスへ向かう道のりで大きなアクビをしていた。
「眠そうだねぇ。大丈夫?」
ハルが俺の顔を覗き込んでくる。
「まぁ少しは寝れたし。元の世界の時は毎日3時間睡眠だったから問題はないよ。」
「そっか。あの頃のユウキ疲れ果ててたもんね。会う度に大丈夫かな?って思ってた。」
二人で会話をしながら歩いていくと、
何体か魔物が現れる。
姿を見たハルが、
「この辺の魔物もなんか懐かしい感じだねぇ。」
「ほっ!...ほんの数日ぶりなんだけどな。...はっ!」
魔物を剣で倒しながら俺も答える。
タリスを出てラキアへ向かい、今日戻ってくるまで5日程。なのに何かとても久しぶりの感覚。
んー。やっぱりラキアの出来事が大きいからかなぁ。
「タリス着いたらとりあえずはペガサス亭?」
「とりあえずも何もタリスでの俺達の家みたいなもんだからな。」
「そーだね!...トオルさん達元気かなー?あ、そーだ。ユウキ1つ聞いておきたいことがあるんだよね。」
ハルが俺の顔を覗き込んで質問をしてくる。
「どうした?」
「あのね。...ナツキちゃんに私達のこと話してもいいかな?タリスにいる間色々相談乗ってもらってたから...。」
「ん?俺達のこと?んー。まぁ隠す必要もないし。いいけど...。相談ってなんの?」
俺の返事に対し、ハルがジト目になる。
「鈍感王子様のこと。...そーゆーとこだよ?」
「あ、そういう事ね。あー。あの時のガールズトークの時ね。あ...そーか。恋バナってそーゆーことか。...俺の事話してたってことか。」
今更気づく俺。
あー。そう考えると...
皆がニマニマしてたのってそーゆーことか。
「今更?私結構わかりやすかったと思うよ?なんで気づかないかなぁ。」
「いやいや。ハルだって俺のに気づいてなかったじゃん?お互い様でしょう?」
「ユウキは...誤魔化して、隠してたって言ってたじゃん。私は誤魔化しても隠してもいませーん。子供扱いもしてませーん。」
「まぁそれはそうなんだけど...。でも20歳の子が一回りも上をなんて思わないよ。それもこんなパッとしないおじさんをなんて。」
そう。嫌われていないとは思ってたけどね。
だからと言って好かれてるなんて思いもしません。
「えー?パッとしないなんてないよ?年齢聞く前から私は...す...じゃなかった。特別だったよ!」
ハルが勢いで「好き」って言いそうになる。
「そうだったんだ。それは嬉しいな。...ってハルが先に約束破りそうだな?」
俺はニヤニヤしながらハルを見る。
2人で決めた事がある。
もうお互い告白したも当然の状態ではあるのだけれど、元の世界に戻れるまで、『お互いが1番特別』な関係でいようと。
『好き』って事は口に出さないでいようと。
俗に言う友達以上恋人未満ってことだな。
表向きは...
それを我慢しないと世界を救うってハルの目的を目指せなくなるんじゃないかと。
目標は元の世界に戻ることだと。
まぁ本当は...最後の別れが辛くなるから。
俺の覚悟がブレてしまいそうだから。
「もー。ユウキの方に約束を破らせるのが目標でーす。」
「なんじゃそりゃ?」
「アハハなんだろーねー!」
そんな感じで気づけばタリスの街が見えてきた。
「んー。やっぱりユウキと話してると時間経つのあっという間だなぁ。もうタリス見えちゃったね?」
「そうだな。俺もハルと話してるの...楽しいよ。」
「んー?んんー?んー??」
ハルが下からニマニマ顔で覗き込んでくる。
「なんだよ?何か言いたい感じだな?」
「私と話すの楽しい?」
「うん。楽しい。」
「楽しいだけ?」
「いや、楽しいだけじゃないよ。」
「だけじゃないなら??」
あー。言わせたいってやつか。
まぁ好きとは言えないしなぁ...
「...幸せだよ。」
「んふー。んふふー!」
なんだよその笑い方は...。
一人で悶えてるぞ?
「はぁー。私も幸せ!もっと早くに生まれたかったなぁ。」
「なんで?やっぱり歳の差??」
「歳の差は気にならないけどユウキの若い時って見てみたかったなぁって。」
「そんな大したもんでも無いから。今とほとんど変わってないよ。...今より10キロぐらい痩せてたけど。」
「えー。見たーい。これは...ダイエットだね!」
「勘弁してくれ。ほら。タリス着いたぞ。」
「んー!久しぶり!まずはペガサス亭だね?」
「だな。」
二人で手を繋ぎ、ペガサス亭へ向かって歩き出す。
道行く人達にやけに見られているような...。
「見られてる...よね?」
「見られて...るな。やっぱあれだよな。...英雄とかってやつ。」
「だよねー。」
とりあえずペガサス亭へ着いた。
扉を開けて中に入る...
「いらっしゃ...あ!おかえり!おとーさーん!帰ってきたよー!」
ナツキさんがいつも通りトオルさんを呼ぶ。
「おとーさーん?プリキャリの2人だよー!!」
...頼むプリキャリはやめてくれ。




