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俺がラスボス?  作者: いぬちく


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52 ラキアの夜

「こちらは彼女さんと同じ指輪の男性用になります。」

そう言って店員さんが指輪を出してくる。

...彼女さん。いい響きだ。彼女ではないんだけども。


「効果は同じで風と火の効果を若干高めるものですね。」

「うーん。デザインはもちろん同じだからそれはいいんだけどなぁ。」

ハルは何か思うところがあるようだ。


「何か違うのか?」

「んー。デザインはいいんだけどね。...すみません。効果だけ変えることってできたりするんですかね?」

「こちらの石を他のものに交換すれば出来ないことはないです。ご希望の効果が出る石があれば...ですが。どういったものがご希望でしょうか?」

なるほど。あの石が効果を出していると。


「出来れば少しでも受けるダメージが減るとか、自然に回復するとかって効果がいいんです。ありますか?」


「は!それはつまり彼氏さんの事が心配ということ!なんて尊い!なんて健気!あぁ生きてて良かったぁ。」


完全に自分の世界にイッちゃってるね。この人。

これいちいちこの反応する感じ?


「あのー?どうですか?」

「.....あ。ごめんなさい!えっとその様な効果の石...ありますね。ちょうど受けるダメージを減らす、治癒効果が高まる。両方ございます。ちょうど石は2つ付けられますので!」

あるのか。

それを聞いてハルが嬉しそうに答える。

「じゃあそれでお願いします!」


「かしこまりました!誠心誠意を込めて石を交換させていただきます!!」

...そんなに込めなくてもいいんだけどなぁ。

普通にやってくれればいいのよ。普通に。


「交換させて頂きました指輪のお渡しが明日になってしまいますがよろしいでしょうか?明日の朝イチには完了してると思います。」


交換には少し時間がかかるのか。そりゃそーだよな。


「明日の昼にラキアを出発する予定だったので大丈夫です。」

「では...こちらが交換表になります。明日お持ちください。」

「わかりました。」


指輪の予約をして店を出る。

「へへへー。明日が楽しみ!」

「うん。正直俺も楽しみだよ。そもそもペアリングどころか、指輪なんて初めてするんだよね。」

「え!そうだったの??それにしてはこの指輪のデザインとかいいじゃん!センスあるね!」


それは...あの店員さんのおかげなのよ。

ありがとう店員さん...。


「それにしてもハル。指輪の効果は...?」

「だってユウキ無理しそうだから...。ユウキに何かがあったら...イヤだもん。」

ハルが少し寂しそうにそう言う。


「ハル...。ありがとな。ハルに心配かけないように俺もっと強くならなきゃな。」

「うん。でも本当に無理はしないでね?私も戦えるんだからね?二人でだよ?」

「あぁ約束するよ。」

「うん!」

やっぱりハルは笑ってるのが1番可愛いな。

心配かけないようにしないとな。


「さて、そろそろ夕飯だな。ハル何食べたい?」

「んー。お肉かな?さっき美味しそうなお店あったよ!」

「じゃあそこにしようか。場所覚えてる?」

「もちろん!もうこの街の事は完璧だよ!」

まぁ3日間歩き回ったもんな。

これタリスまでの道のりより歩いてないか?

「じゃあ案内よろしく!」

「任された!」


...そこから目的のお店に着くまで同じところをグルグル回ることになるであった。


〜〜〜

食事が終わり...

「ふー。食った食った。美味しかったな。ラキア来て1番良かったかも。ハルのセンス完璧だな。」

「でしょ?まぁトオルさんの料理の方が美味しいけどねぇ。」

「あの人のは特別だからな。でもあの店もかなりだったよ。直前にいっぱい歩いて腹減らしたからかな?」

「むー。迷ったのはごめんだよー。」

ハルが少し膨れっ面になる。

「ふふっ。大丈夫そんなハルも...か、可愛いからな。」

「...いきなりそれはズルいよぉ。...ありがと。」

ハルが顔を真っ赤にする。

もっとスマートに言えればカッコつくのになぁ。

世の中のイケメン達はなぜそんなに簡単にサラッと言えるのだろうか。

...わからん。


そんなこんなで宿に着く。

「さて、黒猫亭に泊まるのも最後だな。明日は指輪受け取ってタリスへ戻ろう。」

「うん!でもまたラキア来ようね?タリスも二人で冒険して初めての街だけど、このラキアも...特別な街になったからね。」


あー。可愛い。なんでそんな可愛い事言えちゃうのこの子は?

その上目遣いも、セリフも全部ヤバイって。


「もちろんだよ。また来ような。」

「うん!」


「ちなみにタリスへ向かう際はちゃんと途中で1泊します。お姫様抱っこで走ることはしません。」

「えー。そーなのー?ちょっと楽しみにしてたのにー。」

「歩こうな?この先まさかどこに行くにもアレのつもりだったのか?」

「流石に毎回じゃないとは思ってるけど、アレ幸せ感じるんだよねー。」


いや、俺も幸せなんだけどね。

でも今、あんなに密着と言うか抱きつかれると...

俺の理性が飛んできそうなんですよ。はい。


「んー。ユウキー。どこかでまたやってねー。」

「...検討しときます。」

「あー。ズルい大人になってるー!」

「大人なんだから仕方ないだろ?」


などと他愛の無い話をしながらラキア最後の夜を過ごした。


あー。幸せってこういう事を言うんだな。


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