51 お返し
ラキア3日目の朝を迎えた。
「おはよー!ユウキ!」
「おはよう。ハル。」
昨夜ある種の告白をした訳だが、
ハッキリと好きとか付き合おうとかって話では無かったので、特に関係は変わってない...こともないか。
お互いに1番特別な相手。
今はそれでいいんだと思う。
「さて、今日はどうするんだ?明日にはタリスに戻るわけだけど。ハルの買い物は昨日結構したよね?...まさかまだ欲しい物が?」
「無いわけじゃないけど...。今日はユウキの服を買おうと思います!ユウキこっち来て何も買ってなくない?」
そう言われてもな。元の世界でも仕事で着るスーツ以外私服なんてほとんど持ってなかったからなぁ。
「んー。この冒険者の服あれば...。」
「ダメでーす。私が選んであげるからね!」
...ハルに選んでもらえるならいいか。
しかし、今日も買い物長くなりそうだなぁ。
朝食を済ませた後ラキアの街へ繰り出した。
自然と手を繋いで歩けるようになっていた。
やっぱ関係が変わって無くはないってことだな。
...手汗ヤバイけど。
〜〜〜
疲れた...。
あんなにハルが俺の服で悩むとは思わなかった...。
「これ着てー!あ、これもー!」
「うーん。こっちの色だと合わせるのが...」
「これユウキに似合うんだけど、そーすると私が合わせるのが...」
「あー。これいいなー。めっちゃ似合う。でもこっちも...」
と完全に着せ替え人形でした。
まぁ結果ハルも満足したみたいだからな。
「ユウキー。夕飯までまだ時間あるからもう1個行ってもいい?」
「...あぁいいよ。どの店行きたいんだ?」
疲れを隠して答える俺。
「疲れてるね?まぁこれだけ買い物付き合ってくれたもんね!ありがと!」
隠せてないね俺。
「まぁ普段これだけ買い物することないからなぁ。で、どこ見たいんだ?」
「...んっとね。ユウキが買ってくれたこの指輪のお店行きたいの。」
ハルがちょっと照れくさそうに指輪を触りながら答える。
「エストか。どうした?指輪のサイズは例のごとく自動で合ってるはずだけど...。」
「ううん。そうじゃなくてね...。私からもユウキにプレゼントしたいなぁって。...指輪を。」
ハルの頬が真っ赤だ。...可愛すぎか。
「ありがとう。本当はさ、その指輪買う時ペアリングもありますよって言われてたんだよね。でも流石にいきなりペアリングをプレゼントは...重くない?」
「あー。それはねー。でもユウキ本当に私が...何とも思ってないと思ってたの?」
「...うん。いや最近距離近いなぁ。とかはあったけどね。こっちの世界来て他に頼れる人居ないからだなって思ってた。」
ハルが頬を膨らませながら、
「鈍感。こっちの世界来る前からなんだからね。他にいないからなんて理由じゃありませーん。」
「それは俺だってそうだよ。...さてエスト着いたよ。」
話していたらあっという間にエスト着いてしまった。
ちょうど良かった。
あのまま話してたら好きだ!って口に出しちゃう所だった。
いや、もう言っているのと何も変わらないんだとは思うんだけどね。
あくまで役割果たす時まではお互い1番特別。って関係でいようって、昨日部屋に戻ってから2人で話をした。
(ちょっと心は痛いけど...な。)
「いらっしゃいませー。あっ!昨日の...。上手くいったみたいですね!」
昨日店員さんが俺に気づき、ハルの指輪を見て察してくれる。あ。これ結構恥ずかしいやつだ。
「...はい。おかげさまで。」
「えへへー。今日はこの指輪のお返しを買いに来ました!」
二人で顔を赤くしながら答える。
「あぁ...尊い。付き合いたてのホヤホヤカップルのお手伝いができるなんて...この仕事してて良かったぁ...。」
なんか自分の世界入って涙流してるよこの人。
「あ。すみまさん。その...付き合ってはいないんですよね...。」
ちょっと申し訳なさそうに伝えると、
「はっ!つまり友達以上恋人未満。好きだという気持ちを持ちつつお互いの距離感が。でも指輪をプレゼントしあう仲。それはつまり!!.......お任せください!同じものでちょっとデザインが男性用になってるペアリングもありますし、全く他の物でもご用意できます!...ご希望はございますか?」
なんか一人で納得して捲し立てて来る店員さん。
気合すげーな。まぁ納得してくれてるならいいか。
詳しく説明するのも恥ずかしいしな。
「んー。ユウキは...ペアリングでもいいの?」
ハル。その上目遣いは破壊力が高すぎるんだ。
そんな目で見られると正直に答えちゃうじゃないか。
「...生まれて初めての経験だな。」
「ペアリングでお願いします!!!」
「かしこまりました!!!」
...なんなの?君たち?なんでそんなに気合入れてんの?32歳までペアリングの経験が無い俺を哀れんでるの?
「えへへー。ユウキの初めてのペアリング!...私も初めてだからね?」
...どうやら本当に喜んでくれて力が入っていたようだ。
まぁ正直俺もめちゃくちゃ喜んでいるんだけどな。




