47 ガールズトーク
翌日。
明後日起きるとハルの姿が無い。
「あれ?ハル?」
ベッドから降りて着替えて部屋から出る。
そう言えばこの世界に来てからハルがいない時間なんて本当にほとんど無かったな…。
どこ行った?何かあった?
ちょっと焦って下へ降りると…食堂から声がする。
「……だから……口……飲ませた。」
「えー!本当にー!?ハルちゃん大胆な事してる!!」
「だって、それしか助ける方法思いつかなくて…。意識ないから飲んでくれないし…。」
ハルとナツキさんが何やら楽しそう話をしていた。
ハルの姿を見て内心ホッとする。
「それは、本人には話したの??」
「言えるわけないじゃーん!」
「えー。言っちゃえばいい…あ。ユウキさん!おはようございます!」
「え!?あ!?ユウキ!?お、おはよー!…聞いてた?」
ナツキさんがこちらに気づき続いてハルも俺に気づく。聞いてた?今の会話?
「おはよう。聞いてたっていうか聞こえたっていうか、内容はわからなかったが、やけに楽しそうだったな。何の話、してたんだ??」
「…内緒。女の子同士の秘密の話なの!」
「ハルちゃん話しちゃえばいいのに。」
「無理無理無理!ダメダメダメ!」
ハルのこんな感じ見るのは…初かな。
きっと大学とかで友達と居る時はこういった感じなんだろうな。
普段俺といる時よりはしゃいでるっていうか、楽しそうというか。
…別に嫉妬とかじゃないぞ。うん。そりゃ友達といる方が楽しいだろう。うん。…うん。
「…ユウキ?どうしたの?」
「あ、いやなんでもない。それよりナツキさんと仲良くなったみたいだな。」
「うん!昨日ご飯の後少し話してて、もう少し話そう!ってなって今朝ちょっと早起きしたの!」
あー。昨日なんか少し喋ってたな。そういえば。
「そんな早起きしなくても今日は休養する予定なんだから日中でも話せただろうに。」
そう。今日は明日ラキアへ向かう前に1日のんびりする事に決めているんだ。何も早起きする必要もないはずだが。
「日中はユウキさんと過ごすからだよね?それにユウキさんに聞かせられない乙女の話もあるんですよ?ねーハルちゃん?」
「ちょっと!ナツキちゃん!」
ナツキさんがハルをからかう。
本当に仲良さそうだな。
「いや、俺も今日はゆっくりするから、別にナツキさんと話してても大丈夫だぞ?せっかくこっちで友達になったんだろ?」
「あー。ハルちゃんこうゆうことだよねー」
「うん。ナツキちゃんわかった?」
「でもハルちゃんにも責任あるかなーと思う。」
「えー?そう?そんなことないよぉ。」
なんか凄いジト目で見られた。
その後も2人の話は続いていた。
俺は2人の会話を邪魔しないよう、
食堂の奥に行きトオルさんに挨拶する。
「おはようございます。何か軽い食事もらえますか?」
「おう!おはよう!ちょっと待ってろ。すぐ出してやる。」
ハル達からは少し離れて厨房寄りの席に座る。
あちらのガールズトークは続いているようだ。
音量こそ、こちらに聞こえないぐらいになったが。
「ほい。お待たせ。」
「ありがとう。あの2人あんなに仲良くなったんだな。」
「まぁ女子にとって1番盛り上がる話題があったからな。」
「何かあったのか?あの2人の共通…?なんだ?」
はぁー。と溜め息をつかれる。
そして…
「恋バナってやつだよ。」
「あー。女子好きだよなぁ…………ん?共通?…ハルも?」
「くくく。早くしねーと誰かに取られちまうかもな?」
「な…。え?誰?誰だ?」
「カッカッカ。誰だろうなぁ。まぁそんな焦ってるユウキに良いことを教えてやろう。次行くラキアは女子に人気の街だ。服飾で栄えてる街でな。服ももちろんアクセサリーもかなりのもんだ。」
あー。ルーナさんもオススメって言ってたなぁ。
アクセサリーか。この腕輪は一応ペアルック的なもんだけどな。
「かく言う俺も嫁さんへの結婚指輪とかラキアで作ったんだよ。せっかく金が手に入ったんだ。ハルちゃんにプレゼントしてやれって。」
「…プレゼントか。こないだ助けてもらってるしな。お礼はしないとな。」
「お前なぁ。そうじゃねーだろ。もっと素直になれって。…まぁいい。オススメの店はエストだ。と言ってもハルちゃんが気に入るかどうかだがな。ちゃんとハルちゃんの欲しがるもの買ってやれよ?」
なんかゴリゴリくるな…。
素直にかぁ。
〜〜〜
ハルの事はこっちに来る前から好きだった。
飲み屋でたまたま話す機会があった時、
正直一目惚れだったと思う。
明るくて、話してて楽しくて、
1つ1つの動作が可愛くて仕方なかった。
歳聞いたとき固まったよ。
一回り違うのかと。向こうからしてみればおじさんじゃんと。
だから元の世界では、しつこく思われるのが怖くて2週間に1回ぐらいの頻度でしか誘ってなかった。しかも飲みだけ。
それが、こっちの世界来てからはずっと一緒だ。
離れたのは長くて数十分。…そう考えるとすげぇな。
最近はハルの距離感も…近いよな。腕組んでくれたりするし。お互い膝枕したし。
正直、…あれ?これってもしかしてって。ハルも俺の事を…?って考えちゃうけど。
でもハルから見ればおっさんだし。
何よりハルにとっての俺は…
きっとラスボスなんだ。
こっちで友達できたって向こうの世界には、親も、友達も…好きな人だっているだろう。
俺みたく惰性で生きてるだけじゃなく、将来もあるんだ。
仮にハルの気持ちが今俺に向いていたとしても。
きっとそれはこっちの世界に来て俺しか知ってる人間が居なかったからだ。
頼れる相手がたまたま俺だったって話だ。
もちろんそうであっても嬉しい。めちゃくちゃ嬉しいよ。例えそれが大人への憧れだったとしても。
だから役割なんて知らないでいれば、
元の世界に戻れる方法なんて無ければ…。
この世界でしか生きていくしかないってなってれば…。
でも、役割を果たせば元の世界に戻れる。帰らせることができる。
なら俺のするべき事は…。
ハルが世界を救う為の障害を滅ぼす。
それで世界が救われたとなればそれでいい。
ならないのであれば最後は…俺が。
ハルは俺の役割を知らない。
知ったらどうなるんだろうな?
最後ラスボスとして俺が立ち塞がったら…俺の事を許してはくれないかな?
きっとめちゃくちゃ怒るんだろうな。いや、泣いちゃうかな?泣かしたくは…ないなぁ。
でも。それでも。
俺にできることはきっとそれだけだ。
泣かしたとしても、怒らせたとしても、…嫌われたとしても。
最後のその時が来るまではハルのそばに居ても…いいよな。1番近くで過ごしてもいいよな?
…ハル。大好きだ。
ちょこちょこ出してましたが、どこかで書きたかったユウキの気持ち。ここからどうなっていきますかね。




