138 幸せにしてね
「わぁー。イケメンー」
突然現れたそれを見てハルが呟く。
この声はさっき聞いたな。
「創造神か…」
「その通り。君とはさっき少し会話したね。ルミナインを使いこなし、アレを倒してくれた事感謝するよ。アレはもはや太古の破壊神と同質のモノだった。まぁまだ力はそこまでじゃなかったけどあのまま放置してたら…ね」
「あんたの為にやった訳じゃないからな。別に礼はいらないよ。それで創造神のあんたが現れたってことは?」
「うん。そちらの女の子が役割を果たしたからね。元の世界に戻ることができる」
ハルの方へ向き創造神が伝える。
…しかしイケメンだな…ムカつく。
そのまま創造神はハルへ近づき頬に手を添えて話しかける。
「よく与えた役割を果たしてくれたね。君は元の世界に戻るって事で良いのかな?」
「え、えっと…」
ハルが顔を赤くしながら戸惑っている。
…近いだろ。ちょっと待てこのイケメン…
俺はハルと創造神の間に入り込む。
「ちょっと距離感おかしいんじゃないか?そんな近づかなくても話できるだろ?」
「…おっとーこれは…嫉妬ですね」
「えぇ。ルーナ様。ヤキモチ全開ですね!」
後ろで精霊二人がニマニマしながらなんか言ってら。
「ハハハ。安心しなよ。別に君から奪ったりはしないから。可愛らしかったからちょっとイタズラしたくなってね。で、どうするんだい?」
「元の世界…それはユウキも一緒に戻れるの?…ですか?」
ハルが質問をする。
その答えは何となく俺は予想がつくが…。
「別に敬語なんて要らないよ。僕はこの世界の人々からも敬われる存在のつもりは無いし、君達来訪者からすれば召喚された張本人だからね。…話を戻して…戻れるのは君だけだ」
「それは俺があんたのルールの外にいるからか?」
「その通り。さっき話した通り君は本来召喚される対象では無かった。その為僕の力の外にいる。だから元の世界に戻してあげることができないんだ。…もっとも…」
予想通りの内容だな。
さっき会話した時点でそんな気はしてた。
しかし何かあるのか?
「もっとも?」
「君はそのルミナインを使えたように僕と同等の力を持っている。まだ完全じゃないけどね。…いや魔王の力を持ってることも含めれば将来的には僕を超える可能性も…。って君は何故魔王の力も持っているのかねぇ?」
「知るか。俺が聞きたいぐらいだ。創造神ならわかるんじゃないのか?」
「んー。創造神…神なんだけど別に全知全能の神って訳でもないからね。それは他にいるのさ。詳しく知りたいなら話してあげるけど…めちゃくちゃ長くなるよ?」
神々の話か。興味ないって言ったら嘘になるけど…。
別に聞かなくてもいいか。
「知りたくないわけじゃ無いが、それは今じゃなくていい。で?何かあるんじゃないのか?」
「あぁそうそう。君は僕と同等かそれ以上の力を秘めている可能性がある。その力を使いこなせれば元の世界へ帰ることも出来るかも…しれないね」
なるほど。
創造神はその力で異世界へ行き召喚の力を持つあの光る石を置いてくるだったか。
同じ力を使えば飛ぶことも出来ると。
「でもそれは今すぐじゃないんだろ?」
「そうだね。力を完全に使えるようになるには…何千…何万年の時が必要かもね」
「長過ぎるだろ。そんな生きてられるわけないだろ」
人の身なんて100年生きれば長過ぎる。
この世界のエルフや竜人族のような種族でも何百年だろ。
「ん?あぁまだ気づいてないか。君は最早、人の身を超えてるよ?」
「は?」
「だから。君は…君の肉体は神と同じってことさ。寿命なんて無いに等しい。勿論滅びようとすれば滅ぶことも出来る。さっきのアレのようにね」
え?俺もう人じゃないってことか?
「つまりユウキは神様になったって事??」
「正しく言うとちょっと違うけどね。って君もだよ?君は女神の魂が覚醒してるからね」
「ふぇ!私も?………ユウキィ……」
ハルがこちらを向いて…なんだその表情は…?
「…お揃いだね。えへへ」
…喜んでいたようだ。
本当にポジティブねこの子は。
「アクア…見てください。こんなとんでもない事が判明してるのに…」
「えぇ。それすらイチャイチャに繋げるんですか?もう…勝ち目がどんどん無くなっていく…」
はい。外野は少し黙っていようね。
「さて君達の事は簡単に言えばそんな感じだ。その上でもう一度聞くよ?君は元の世界に…」
「帰らない!」
創造神の言葉にハルが食い気味に答える。
「ハル?」
「良いのかい?彼が力を持ったとしても何万年先になるかわからないんだよ?」
「うん。だからだよ。私は元の世界に戻るとかよりユウキと一緒に居ることが大事なの。私だけ戻っても意味が無い。何万年先にユウキが帰ってくるとしたってそんなに離れていたくない。ユウキと共に居たい」
ハルの言葉を受けて創造神が真面目な表情になる。
「この世界に残るってことはさっき言った通り寿命の無い生活を送らなきゃいけない。元の世界に戻れば普通の人としての生活を送れる。永遠の命…それは決して幸せとは限らないんだよ?」
永遠の命…つまり周りの皆が寿命を迎え亡くなっていっても自分は残されるって事か。
チラッとルーナさんの方を見てみる。
あの人も転生と言うちょっと違うけど永遠に近い時を生きていく人だよな。
「創造神様の仰っていることは私には分かります。出会いの数と同じだけ別れを経験することになる。親しい人が先に逝ってしまう。決して幸せとは言えませんよ?」
「それを踏まえてもう一度考えてごらん?時間は上げる…」
「いらないよ!大丈夫!」
「ハル?良いのか?」
「うん!ルーナさんの言ってることはわかるよ。ゼノンやジュリアさんと永遠に一緒にいられないってことは…でもね…」
ハルが俺の方へ近づき…
「ユウキとはずっと一緒に居られるってことでしょ!」
満面の笑みでハルが言う。
「きっと悲しい思いもするんだと思う。元の世界に全く未練が無いとも言えない。でも私にとってはそれよりユウキと一緒に居られることの方が幸せだから。だからユウキ…」
「ハル…なんだ?」
「幸せにしてね!!」




