137 選択肢
残り3話!
俺はルミナインを両手で持ち上段に構える。
「ルミナイン!終わらせる力を!!」
俺の言葉に反応して刀身から光が空高く伸びていく。
「この世界に来てからずっと共にいた仲だけどな…。ここで終わりにしよう。そしてここから改めて始めさせてもらう……ハルとの物語をな!!」
俺は剣をそのまま振り下ろす。
上空から振り下ろされた光は【全てを滅ぼすモノ】を呑み込んでいく…
「我ハ……全……滅ボ……………」
振り下ろした光に呑まれ塵となって消えていく。
「じゃあな……」
光が消えたそこには…何も残っていなかった。
「ふぅ。…終わった…かな?」
「ユウキーーー!!」
振り返るとハルがこちらに向かって走ってきている。
「ハルッ!!」
俺も剣を手放しハルに身体を向け両手を広げる。
俺の胸にハルが飛び込んできて勢いでそのまま地面に倒れ込む。
「ユウキ!!お疲れ様っ!!カッコよかったよ!」
「ハル…ありがとな。これでまだハルと一緒に過ごしていけるかな」
「過ごせるよ!って言うよりユウキがどこかに行っちゃうとか許さないから!!!」
地面に倒れ込みハルを抱きしめたまま話をしていると…
「ちゃんと終わらせたな。ユウキ。諦めなくて良かったじゃねーか。ハルにとってのラスボスになんかなる必要なかっただろ?」
「ゼノン…。あぁそうだな。もっと早くハルに…皆に全てを話していれば良かったかな?」
「まぁ…な。でも終わり良ければいいんじゃねーか?これからもハルの事ちゃんと護ってやれよ?ラスボスさんよ?」
「言われるまでもないさ。俺はハルにとってのラスボスじゃなくてハルに害をなす者達にとってのラスボスだ」
「それでいいさ!!」
ゼノンが満足そうに笑っている。
ゼノン。
本当に良い奴だ。
本人はミナトとマナカの件の贖罪だって言ってたけど、きっと元々良い奴なんだろう。
悲しい事件はあったけど、それが無ければきっとミナト達ともずっと上手くいっていたんだろうな。
この世界において俺にとっては兄貴のような存在だ。
続いてジュリアさんが声をかけてくる。
「しかし、魔力のダンジョンの一件からこんな事になるとはな…。タリスの英雄だったのが世界の英雄になってしまったな」
「世界の英雄なんてつもりはないさ。そもそもアレは俺の中にいたモノだ。結局なんで俺の中にいたかはよくわからないけどな」
「謙遜するな。経緯はどうあれユウキが倒した事には変わりない。しかしそうすると…」
ジュリアさんが何かを悩み始める。
「どうしたのジュリアさん?」
ハルも心配そうに聞いている。
「純情カップルの英雄では弱いな…何か異名を新しくつけないとな…」
おい。そうだこの人そういう人だったな…
でもギルド長で、エルフの長の娘で、この世界最強クラスの炎使い。
でも気持ちいいぐらいあっさりしている人で、俺達をちゃんと評価してくれた。
この人居なかったら詰んでた時あっただろうな。
しかし…
「やめてくれ。それもプリキャリ…だったか?アレもめちゃくちゃ恥ずかしい思いをさせられたんだぞ?」
「何を言うんだ!めちゃくちゃ人気出てるんだからな?……魔王と女神の愛の結晶……いや、光と闇を愛で超えし者。…うーん何がいいか…」
そこにルーナさんが加わってくる。
「ジュリア。それはちゃんと会議して決めましょう?」
「会議ってなんだよ…。誰がするんだよ?」
「え?私とジュリアと…アクアもしますよね?」
「勿論です!」
え?なんなの?その当然です!って流れは?
俺がおかしいってこと??
「異名の事は一旦置いておいて…お疲れ様でした。そして願いを叶えて頂きありがとうございました」
「願い?」
「言ったじゃないですか。ハル様とユウキ様の愛が起こす奇跡を見せて下さい。と」
そういやそんな話もしていたな。
「これで良かったのかな?」
「えぇ。しっかりとお二人の愛を見せてもらいました!今この場に置いても抱きしめ合う二人…もうイチャイチャするのに何の障害もないですね!」
おっと…。そういえば抱きしめたままだった…。
冷静なるとすごい絵面だな。
地面に倒れて抱き合ってる俺達を皆が囲んでいる。
慌てて俺とハルも離れて立ち上がる。
「えーもう終わりですか?良いんですよ?そのままイチャイチャ、チュッチュッしても」
「なんだよそれ…ここでそんなことする訳ないだろ?」
「…つまり帰ってからはすると?」
「…ノーコメントだ」
本当にこの人は初めから変わらないな。
まぁ…めちゃくちゃ世話になったのも間違いないか。
この世界に来て最初に会った人。
正体は原初の精霊で精霊王。
昔女神ルーナと共にその代の魔王と戦って、
それから転生を繰り返しながらこの世界をただ一人守り、導き続けている存在。
俺の持つ役割を最初から知っていた唯一の人。
封印することも最初の時に出来ていたはず。
でも俺とハルの事を信じてくれた。
今更こうして居られるのはこの人の判断のおかげだな。
「ルーナさんありがとな。俺の…俺達の事を信じてくれて」
「ふふふっ。お二人がお互いの事を愛していることに最初から気づいていましたからね?お二人同士よりも先に。…昔女神が言っていた愛の力。これまで私はどこかそれを受け入れきれて居なかった。お二人を見て本当の意味でそれを知れたと思います」
「だからそのキャラになったと?」
「色恋が好きなのは愛を知りたいが為…なのでしょうね。ですが、今はお二人の愛を知り更に好きになりました。…さぁこれからも私に愛を見せてくださいね!?」
きっとこの人はこのままずっとこうなんだろうな…。
まぁそれはそれで平和な感じがして良いのか。
「あ。そういえば…」
ハルが何かに気づいたようだ。
「どうした?ハル?」
「うん…。全てを滅ぼすモノを倒した事で、この世界は救われた…って事だよね?」
「あぁ。そうだな……あ。そうか!」
「うん。そうすると私の役割は達成したって事?」
「その通りだね。さぁ役割を果たした者よ。君に選択肢を与えよう」
声のする方へ向き直ると…
金髪で長身の超絶イケメンがそこにいた。




