135 俺の役割
発生した衝撃波で一面砂埃が舞っている。
吹き飛ばされた俺は軽く意識が飛んでいたようだ。
「…ぐっ。痛…う、ハル…?ハル!」
近くを見渡しハルを探す。
「痛ぁ…。何が起きたの?」
どうやら無事のようだ。
他のみんなは…
少し離れた所にゼノン達はいた。
「ゼノン!無事か!?」
「何とか…な。ちょっと俺とジュリアはダメージがキツイな…」
「…すまない」
ゼノンとジュリアさんは命に別状は無いようだけど、動くのは辛いようだ。
「ユウキ様…今のは?」
「わからん。アイツの放った黒い炎とハルの白い炎がぶつかった瞬間大爆発したような感じだな…」
相殺されたってよりは誘爆したというか反応して爆発したような…
「皆!無事?怪我大丈夫?今回復するね!」
ハルの回復魔法の光に皆包まれる。
「助かった。ありがとうなハル。だけどちょっと俺らは戦力外っぽいな…」
「悔しいが…」
思った以上に二人のダメージは大きいのか…。
そうこうしているうちに砂煙が晴れていく。
「なんだよ…これ?」
爆発が起きたであろう場所には何も無かった。
文字通り何も。
大地が消滅したかのようにキレイに半円形にエグれていた。
「爆発したって言うより…消滅したって感じ?」
「そうだな…あの黒い炎のせいか?あの黒い炎はなんなんだ?」
するとハルの持つ聖剣が光出す。
【あの炎はもしかしたらだけど…】
女神ルーナの声が聞こえてくる。
「女神ルーナ様!何か知ってるの?」
【私もちゃんと見た事ないんだけどね。神話の時代にいた破壊神が使った滅びの炎ってやつかも?】
滅びの炎?
【創造神が倒したってされてる存在ね。私達女神って呼ばれてる存在は創造神が特別に力を与えた存在で元は人なの】
「なるほど。神と付くけど神では無いと」
【うん。そういう事。で、創造神がこの世界を作る際に倒した存在が破壊神。伝承では破壊神の力に対して正反対の力を私達女神に与えたってされてるのよ】
つまり破壊神力を参考に力を与えたのが女神。
黒い炎が似ているのではなく、白い炎が似ているって事か。
「それで今の爆発は何が起きたんだ?」
【うーん。ここからはあくまで推測になっちゃうんだけど…。真逆の性質を持つ力を合わせると特別な力になる事があるのよ。多分あの黒い炎とこっちの白い炎を合わせると全てを消滅させる力になるんじゃないかな】
なんだよその物騒な力は…。
「そうするとあの黒い炎をハルの力で防いではダメだってことか…」
「少しであれば私のクリスタルで防げるかもしれませんが…」
ルーナさんのクリスタルもきっと何度も喰らえばマズそうだな。
【…1つ手があるよ】
女神ルーナが少し言いにくそうに伝えてくる。
「何か含んでそうだけど…教えてくれ」
【その魔剣ルインと聖剣セイブは元々一本の剣だったの。創造神が二本に分けて魔王と女神に与えたのよ】
「ちょっと待ってくれ。その言い方だと…」
【そう。魔王ももちろん創造神が創った存在よ。と言うよりこの世界に存在するものは創造神が創り上げた存在。だって創造神だからね】
そうか。そりゃそうだよな。創造神が創った世界でもんな。
「それでこの剣をどうしろと?」
【アレが破壊神と同質のものだとするなら…こちらも創造神と同質の力で対抗するしか勝ち目は無いかなって。だから…その二本の剣を一本にするの】
「魔剣ルインと…」
「聖剣セイブを一つに…」
俺とハルの言葉が続く。
「ダメです!創造神の力を使う…創り出すなんて危険過ぎます!人の器で耐えられるわけがない!」
ルーナさんが止めに入ってくる。
神の力…人が持つには強過ぎる…大き過ぎる力か。
【わかってる…普通なら有り得ない。だけどこの彼…ユウキだっけ?はあの存在を身体に宿していた。あれか破壊神なのであれば、人の身でありながら神の力で消滅しなかったってことよ?】
「それは……そういう事…なの?」
ルーナさんが何かに気づいた素振りを見せる。
「どうしたんだ?ルーナさん?」
「ユウキ様はこの世界に召喚された人の中で役割を持っていなかった…いえ…本来創造神が役割を与えているはずなのです」
「世界を滅ぼすモノは?」
「それはユウキ様の中にいたあの存在の物だった…と言いますかあの存在を指していたのでしょう。私の力は神の力には及ばない…ですのであの水晶の力ではそこまで読み取れなかった…ですので他に役割を持っている可能性はあるかと」
俺の中にいる存在を感知したけどそれを俺の役割として水晶が認識していたって事か。
「じゃあ俺の役割は…」
「それは…」
【もう一度ここで調べちゃえば?神様とか出るかもよ?】
女神ルーナが軽い感じで言ってくる。
「そんな余裕は…」
穴の向こうを見るとアイツの姿が見える。
だけど動く素振りがないな。
【大丈夫さっきの余波は向こうの方が喰らってるから。もう少しは動かないんじゃない?わかんないけど】
軽いんだよなぁ…。
なんかルーナさんが軽い感じなのもこの人の影響なのかなって思ってきたぞ。
【ほら。マルス出して出して。すぐ出せるでしょ?】
「全く……ユウキ様こちらでいいですか?何が出るかもわかりませんが…」
「調べてみて意味がなかったら…まぁいいさ。二つの剣を一つにする方法もわかんないけど俺とハルなら何とかなるだろ。とりあえず調べてみよう」
俺はルーナさんから水晶を受け取り手に持つ。
「えっと…水晶を持って祈る。だったか?」
手にした水晶に意識を集中する。
水晶が輝き出す。
あの時の黒い光ではなく。澄んだ輝き。
「これは…」
「あ!水晶に文字が浮かんで来たよ!」
ん?あれ?今回はハルも見えるのか?
あの時は俺のは見えなかった。
本来は自分だけにしか見えない物じゃなかったか?
水晶に映し出された文字は…
【ラスボス】
………おい。




