134 おかえり!
光に包まれ何も見えなくなった。
暖かい……
心地よい…
優しい力に包まれて…
俺の身体から何かが抜けていく感覚があった。
意識が遠くなっていくような、ハッキリしていくような。
…夢から覚める感じかな?
…目を開けるとハルが目の前にいた。
「ハル…」
「ユウキ…ユウキだよね?」
「あぁ。また助けてもらっちゃったな」
「ユウキ!!おかえり!!」
ハルが俺に抱きついてくる。
俺もハルの事を抱きしめて…
「ただいま」
「ユウキ様。大丈夫ですか?」
声の方を見るとアクアがいた。
右半身を黒く染めその手に魔剣を握りしめている。
「アクア…。ごめんな。かなり無理をさせてしまったよな。その身体…」
「ユウキ様とお揃いの力ですよ。むしろ嬉しいぐらいです!」
アクアが微笑みながら魔剣を渡してくる。
「ユウキ!よく戻ってきた!」
「アイツはどうなった?」
ゼノンとジュリアさんが近づいてくる。
「アイツは…ハルの力を借りて吹き飛ばしてやったよ…それで何か俺の身体から抜けていった感覚はあるんだが…」
白と黒の力で吹き飛ばして光に包まれた。
何かが抜けていったあれはアイツなのか?
すると上空から突然闇の…黒い炎が降り注いでくる。
「ハル!危ない!!」
咄嗟にハルを庇う形になるが…
黒い炎は俺達に届くことなく見えない壁に当たったかのように止まっていた。
【まだ終わっていないよ。今代の魔王さん?】
そこには光に包まれた女性がいた。
「…誰だ?」
「女神ルーナ様だよ!」
女神ルーナ??
ハルが聖剣の力を引き出した時に現れた残留思念のあの女神??
【説明すると長くなってめんどくさいから後で誰かに聞いてね。とりあえず貴方の身体からアレは抜けた。今上空にいるね。さぁ降りてくるよ!準備はいい?】
なんか随分フランクな女神だな。
「ユウキ…。二人で終わらせよ?」
「あぁ。アイツを倒して今度こそ終わりにしよう」
【フフフッ。いいね!魔王と女神の愛!私の時には叶わなかった。マルス!この二人の事ちゃんと導いてあげてね!】
「言われるまでも無いですよルーナ。…そろそろ限界ですか?」
振り返るとルーナさんがいる。
「マルス?って誰だ?」
「ルーナさんの昔の名前だって」
あ。なるほど。今この場にルーナが二人になっちゃってる訳だな。ややこしいな。
【私がこの場にいるのはもう限界。えっと…ハルちゃん?私は貴女の中に戻るから。後のことはお願いするね?】
「はい!でも…ルーナ様?消えちゃうの?」
【私は昔の存在だから…この世界の人々を護りたい
と願い消えたはずだった。でもこうして残留思念として残ってるのは…何か未練があったのかな。貴女の中に戻るけど消えきれないかもね】
女神ルーナが寂しそうに微笑んでいる。
「…未練。じゃあルーナ様の未練も一緒に何とかしよう!きっと何とかなるよ!」
ハルが笑顔で女神ルーナに応える。
【…ありがとう。でも今はアレを…ね?】
「うん!任せて!私とユウキがいれば大丈夫!!」
女神ルーナが光になりハルの身体に入っていく。
「さぁ!来るぞ!」
上空から黒い炎に包まれたソイツが降りてきた。
「我ハ全テヲ滅ボスモノ」
「なんだお前…もっとはっきり喋ってたじゃないか?最初の頃に戻ってるぞ?」
「我ハ…我ハ…滅ボス…我…滅…」
なんだ?俺の中にいた頃と何か…違う?
「ユウキ様。アレはもはや自我を失っているように見えます」
「ルーナさん…いやマルスさんか?」
「ルーナで良いですよ。マルスの名は捨てたって言いますか、この姿で昔の名前で呼ばれても…です」
困った顔をしているな。そりゃそうか。
「分かった。それでルーナさん。アレは自我を失っているって?」
「アレが結局なんなのかはわかりませんが、アレがユウキ様の中にあった力…【世界を滅ぼすモノ】そのものなのでしょう。ユウキ様の身体から弾き飛ばされ力だけの存在になったように見えます」
「んー。何か難しくてよくわからないけど…とにかくアレを倒せばいいんでしょ!やっちゃおう!」
ハルが聖剣を構えて言う。
何かよくわからないけどって…ハルらしいな。
でも…
「あぁ。俺の身体から出てきたものだけど…あんなよくわからん物はさっさと倒しちゃおうな」
俺は魔剣ルインを構える。
しかし…黒い炎?これまでアイツはそんなもの使っていなかったよな?
「ハル。あの黒い炎どう思う?」
「んー。何か私の白い炎に似ている気がするよ…」
そうなんだよな。全く逆なんだけど何か似てる感じはする。
「我ハ…全テ…」
アイツから黒い炎が放たれる。
「ユウキ!ここは私が!!」
ハルが白い炎を放ち迎え撃つ。
白い炎と黒い炎がぶつかり合った瞬間…
目が眩む程の光が起き立っていられない程の衝撃波が襲いかかってきた。




