132 待っててね!
「ハル様!?いきなり何を!?」
「ハハハっ!良いじゃねえか!そうだユウキはハルのモノだ!あんな奴に良いようにされてちゃダメだよな!…なぁ!ユウキ!聞こえてんだろ!!」
アクアちゃんとゼノンに突っ込まれた。
…なんか…なんか勢いで変なこと言っちゃった…。
「…やっぱ今の…無し!…って訳にはいかない…よね?」
「ふふふっ。ハル様良いんですよ。きっとユウキ様を助ける鍵はハル様の愛です!そう!愛の力なんです!!」
なんかルーナさんがニマニマしながらテンション高くなってる…。
「あぁ……やはり二人を見てると最高ですね!…力が湧いてきます!ハル様!もっとイチャついていいんですよ!?」
「えーっと…」
「ルーナ様…。今そんな事言ってる時ではないですよ?ハル様この人のこと無視していいですからね?」
ルーナさんのテンションに戸惑っている私をアクアちゃんが助けてくれる。
「何ヲふざけてイル!!愛など二何ノ力があル!?…そんなモノ我ノ滅びノ力の前にハ無力ダ!!」
「そんな事はありません!!そもそもこの世界の人々がここまで生きてこれたのは女神がルーナが!人々を愛したから!…そして今の女神ハル様が、貴方からユウキ様を救う!愛の力で!!」
ルーナさんが珍しく感情的に叫んでる。
愛…あんまり言われるとちょっと恥ずかしくなってくるなぁ。
「…黙レ。もうイイ。次ノ一撃で終わり二してヤル」
そう言うと右手に溜めた黒い力がより一層黒く…禍々しく集まっていく。
見るからになんかヤバそうな感じか…する。
「これガ何千年とかけテ溜まっタこの世界ノ悪意…失意、悲しミ…全てノ負ノ力ダ」
全ての負の力…。
あれが世界を滅ぼすモノの全て。あれをどうにかしないとユウキは助けられないってこと…。
「ハル様。大丈夫です。ご自身の力を…女神の力を信じて下さい。ハル様の気持ちを力に込めて…。きっとユウキ様には届きます。ハル様の心が届けばユウキ様は応えてくれる。そうでしょ?」
「アクアちゃん…。うんそうだね。ユウキは私の事無視したりできないよね!」
「本当に勝ち目の無い戦いを選んだ事ちょっと後悔してますよ。…でもお二人が一緒にいないのは嫌です。さぁハル様来ますよ。ユウキ様が戻るまで私が魔王の力でお助けします」
アクアちゃんが魔剣を携えて私の横に来る。
「私もいるぞ。イグニスの炎は守る力。きっとハルの力の助けになる」
「俺は…さっきから何もできてねぇんだがな…。まぁ身体を支えることはできる。最悪盾にでも何でもしてくれ」
ジュリアさんとゼノンも来てくれる。
うん。
ユウキ…皆ユウキのこと助けたいんだよ。
「私は皆さんを信じて力を溜めます。あれを凌げば必ずもう一度縛り上げてみせます」
「うん。ルーナさん頼むね。そしたら私がユウキを取り戻してみせるよ」
直接触れて女神の力全開にして……そしたらきっと上手くいく!!
「さァこれで デ終わりダ…。我の障害二なるモノ達ヨ!!消え去レ!」
ユウキ?が右手を振るいその力を解放した。
放たれた漆黒の力がこちらに向かってくる。
まるで真っ黒な津波。
地面を抉りながら迫ってくる。
「聖剣セイブ!力を貸して!」
私は聖剣を構えて全力で真っ白な炎を放つ。
「イグニスよ!私に皆を守る力を!」
ジュリアさんもこれまで見た事ない規模の炎を放つ。
「魔剣ルインよ!今だけでいい!私に災いを滅ぼす力を!」
アクアちゃんの言葉に反応して魔剣ルインが黒い力を放つ。
3人の放った力が滅びの力とぶつかる。
「そんナものデ!我ノ滅ビの力を防げルわけガナイ!!」
ぶつかり合った力は互角…ううん。少しこちらが押されてる…。
「くっ!!まだだ!ハル!アクア!踏ん張れ!諦めるな!」
「もちろんです!魔剣よ!私の魔力も使いなさい!!」
アクアちゃんが魔剣の力に自分の魔力を乗せる。
剣から放たれる黒い力が真っ黒な水流になる。
ぶつかり合う力はそれでもようやく拮抗してる状態。
「ハハハハ!我が力ハ無限!いつまデ持つかナ!!」
「くっ。魔力が尽きる前に押し返さねば…」
「クソ!ダメ元だ!俺の闘気も全部持っていけ!……オラァァァァァァァァァァァァァ!!」
ゼノンが放った闘気の塊が漆黒の力にぶつかり少しだけ押し返す。
「チッ!こんなもんしか効果無ぇか。…ユウキ!テメエもいつまで引きこもってるつもりだ!!約束しただろ!ハルを守るんだろ!!」
ゼノンがユウキに向かって呼び掛ける。
すると心無しか黒い力の勢いが弱まったような気がした。
きっとユウキに声は届いてる…
「グッ…この男ノ魂ハ消えタはズ…。ただノ人間ごとキが我ノ力に抗っテいるト言うノカ…何ノ役割モ持たなイこの男…」
「役割なんか必要ない!ユウキはそんなもの無くても…皆のこと助けてくれる!私の事幸せにしてくれる!!」
「グッゥゥ…押シ返さレていルだト!?」
私達の力が黒い力を押し返して行く。
後ちょっと…
「もう…少……し!!…聖剣!お願い!後…少し……もう少し力を…私の大切な……世界で1番大切な人……ユウキを助ける為に!!」
私の声に応えるように聖剣の光が私の身体を包み込む。
「この…光は…まさか…」
聖剣の光を見てルーナさんが驚いている。
この光これまでと違う?…1度見た事ある…ような。
すると光が私の身体から離れ集まっていき人の姿になる。
「…女神……ルーナ…。貴女は残留思念だけ残っていただけなのでは…」
【…久しいですね…マルス。今はルーナでしたか。私の力…魂を強く受け継いでくれた者が純粋な心で願うので……】
「そんな…そんな奇跡が…」
ルーナさんの昔の名前はマルスって言うんだね。
【人の願い…私の愛した人の心。それこそが奇跡を起こすもの…なんて堅苦しいのはここまでにしましょ!】
「え?」
【ルーナ…んー。名前がややこしい!しかも何?その姿?私より可愛くしてるじゃない!!…マルスって呼ぶからね?】
女神ルーナ様の口調がめちゃくちゃフランクだ。
私もゼノンもジュリアさんも唖然としてる。
「…いけない!力抜いたら…」
【大丈夫よ。私が抑えてあげる!】
女神ルーナ様が力を振るう。
これは…
私と同じ白い炎…ううん。私のなんかよりもっと…もっとキレイで力強い炎。
【マルス!用意はできてる?私の力じゃああの男の子ごと吹き飛ばしちゃう!力を打ち消したら捕らえるんだよ!?】
「全く…ルーナ。貴女は変わりませんね。皆驚いてますよ?」
【ん?女神だから堅苦しくなんてしたくないからね!ほら!いくよ!】
「いつでもどうぞ!!」
ルーナさんが嬉しそう…
ん?マルスさんって呼んだ方が良いのかな??
【ハァァァ!これで!!】
女神ルーナ様が力を強くすると…
黒い力の波動は全て白い炎に飲まれ消え去った。
「バ…バカナ!!!」
【マルス!】
「わかっていますっ!!」
マルスさんの放った力がクリスタルの鎖になりユウキの身体を縛り上げる。
女神ルーナ様が私の方へ向き直り…
【彼を助けるのは貴女しかできない。今の私は残留思念を貴女の女神の力で実体化させてるだけの存在。貴女の力…心で彼に力を与えてあげて】
「はい!」
私はユウキに向かって走り出す。
待っててね!ユウキ!




