129 そういう事
アクアちゃんの魂と繋がっていく感じがわかる。
あ、この子本当に心の底からユウキの事大好きなんだね…
「アクアちゃん…その…」
「フフフ。ハル様私の心を覗いてしまいましたね?大丈夫です。私はユウキ様と同じぐらいハル様の事もお慕いしています」
「アクアちゃん…。ありがとう。私もアクアちゃんの事大好きだよ」
「ハル様…なんて純粋なお心をお持ちなのでしょう…ここまで想ってもらえるユウキ様は幸せですね」
「アクアちゃん…そんな事ないよ?私は…」
アクアちゃんにも私の心が伝わってるのかな。
ちょっと…恥ずかしいかも。
「さぁハル様。ユウキ様へ繋ぎます。恐らく闇の侵食があると思います。ですが、私の事よりユウキ様の事を。よろしいですね?」
「…うん。わかったよ」
私が答えるとアクアちゃんはユウキ向かって手を向ける。
「……ユウキ様!これで繋が…る……あっ!ぐっ!」
「アクアちゃん!?」
見るとアクアちゃんの右手の指先から身体が黒く染まってきている。
これが闇の力の侵食?
「アクアちゃん!手が!?」
「…だ、大丈夫で…す!繋がりました…、さぁハル様ユウキ様を助けに行きます…よ!」
「…!わかった。でもアクアちゃん私の力を…」
アクアちゃんと繋いでいる手に私の力…女神の力を優しく流し込む…。
右半身まで進んでいた侵食が治まったように見える。
「…あ…ありがとう…ござい…ます。ハル様…。ユウキ様を…」
「うん!」
私は目を閉じてユウキの事を感じようとする。
アクアちゃんを通して感じるユウキは真っ黒な闇。
…きっとこの中にユウキは居る。
どうやって助けるのかわからないけど…
(ユウキ…ユウキ………ユウキ!!)
どこ?どこにいるの?
(ユウキ!……ユウキ!!)
…もしかして遅かった?
ううん。ユウキはそんな弱い人じゃない!!
必ず…必ず見つけ出して助けるんだ!
(ユウキッ!お願い…聞こえてたら返事をしてぇっ!!)
~~~
何も見えない。
何も聞こえない。
匂いも、感触も何もない。
自分が今どういう状態なのかもわからない。
全部黒い。
黒しかない。
俺は…どうなった?
ハルは…?
皆は…?
目を開いてみても光が全く無い暗黒の世界。
アイツは俺の魂は消えるって言ってた。
このまま闇に溶けていくんだろうか。
…結局俺はハルのラスボスになっちゃったのか。
でもきっとハルなら倒してくれるかな。
そしてハルは元の世界に帰って……
ハル…幸せにしてあげられなくて………ごめん。
一緒に居るって約束したのに……ごめん。
俺は……
(……キ………ウキ)
ハルの声が聞こえる気がする。
俺の心を暖かくしてくれる最愛の女の声。
(…ユウキ…ユウキ!)
もう会えない……
(…ユウキ!)
会いたい…もう一度会いたい
(…ユウキ!……聞こえてたら返事をしてぇっ!!)
ハル………!
「ハルッ!!」
ハルの呼び掛けに俺が叫ぶと真っ黒な闇の中に小さな…でも力強く輝く光が現れる。
「…これ…は?」
(ユウキ!!大丈夫!?)
光の中からハルの声が聞こえる。
「ハル?どうなっているんだ?」
(アクアちゃんと協力してユウキを助けに来たんだよ!ってここからどうしたらいいのかわからないんだけど…)
「ハル…俺はもう…何もできないんだ…この闇の中から動くことも…外の状況も分からない…。きっとアイツが世界を滅ぼそうとしてるんだろ?…ハル……俺ごとでいい。アイツを……」
(ダメ!!)
「え?」
(ユウキはこの世界で私と一緒に生きていくって決めてくれたんでしょっ!私の事好きだって言ってくれたでしょっ!…私の…私の大好きな……私の大好きなユウキはそんな簡単に諦めたりしないっ!!)
「ハル…」
(方法は…これから考える!!でも…必ず助ける!だからユウキも戦って!!)
結局この世界に来てから俺はハルに助けてもらってばかりだ。
力を暴走させ止めてもらって、
強敵と戦ってやられそうになった所を助けてもらい、
また、力が暴走しそうになるのを助けてもらい…。
今も助けてくれようとしてる。
それに対して俺は…
ハルの為と言って自分を犠牲にしよう覚悟を決め、
ハルの為と言ってその決めた覚悟を曲げて、
そのくせ今ハルに自分を倒させようとした。
何も…何もこの子に返せてないじゃないか…。
このまま何も出来ないまま消えて……
良いわけないだろっ!!
「ハル…本当に俺には勿体ないと思うよ」
(…ユウキ?)
「俺にもどうしたらいいのかわからない。でもきっとアイツから身体を取り戻す方法があるはずだ」
(ユウキ!うん!そうだよ!)
「今は…どうやってるんだ?」
(わ、私とユウキ様の…つ、繋がりを…)
「アクアか!?…苦しそうだが大丈夫なのか?」
(アクアちゃん少し闇の侵食を受けてるの…。私の力で侵食を少し抑えられているみたいなんだけど、右半身が黒くなっちゃってる…)
「アクア!?なんて無茶な事を!」
(ふふ…ユウキ様に心配して貰えるなら本望ですよ?…今ユウキ様が囚われてる闇が私の身体を侵食しているものと同じなのであれば…ハル様の力でどうにか出来るのではないでしょうか?)
「ハルの力…」
(そうだね!きっとそう!ユウキの身体が今【全てを滅ぼすモノ】になっているのなら……私は世界を救う者じゃなくて…【全てを救う者】になってみせるよ!)
「…本当に良い女だよハルは」
(えへへ!ユウキがいるからだよ?)
(…ハ…ル様…そろそろ…限界かもです。これ以上繋げる…のは…)
「アクア!無理をするな!」
(アクアちゃん!…じゃあユウキ!そういう事だから!)
何がそういう事なのかわからない…が
「あぁ!わかった!ハル!大好きだ!」
(私も大好きだ……ょ)
そこで繋がりは切れた。




