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俺がラスボス?  作者: いぬちく


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124 守る

俺の胸の中でハルが泣いている。

「ユウキィ…ユウキィ…ずっと一緒にいてね?」

「もちろん。ハルから嫌われるまで傍にいるよ。最近ハルを泣かせてばかりな気がするな…」


「泣いてばかりでごめんね?でも今回のは悲しいんじゃなくて嬉しい涙だから…」


そう言ってハルが顔を上げる。

少し涙は落ち着いたのかな?


「……ユウキ。私の気持ちも話していい?…って興味ないかな?」


ハルが俺の腕の中から見上げながら聞いてくる。

いや、この角度のハルはね……可愛いのよ。


「興味あるに決まってるだろ?聞きたいよ」


「ふふふ。私の事大好き過ぎだぁ。…この世界に来てすぐはさっき話した通り。その時はまだ実感も無いし、ユウキと一緒に居られる!って気持ちしか無かったの」


「それは俺もそうだな。いきなりだったしな。今考えてもお互いよくパニックにならなかったよな」


俺はハルが一緒だったからな。

とにかくハルを守らなきゃって気持ちでいたからパニックにならずにいられた。


「私はユウキが一緒だったから。不安とか怖さとかよりユウキと一緒!って気持ちが強かったからかな。でもあの日ユウキの力が暴走した時…あの時は怖かった」


こっそり夜中に練習しようとして暴走させたアレか。


「あの時はハルに助けてもらったんだよな。俺は記憶ないけど…。思えばその後の魔力のダンジョンと言い助けて貰ってばかりだ」


「あの時も怖かったけど、それより最初の方が怖かったよ。まだ魔力も何も分からなかった時だもん」


そうかあの時はまだ色々と習う前…

ダンジョンの時は助けてもらったのは魔法だった。今思い出しても凄い火力だったな。


「今思えば俺の暴走を抑えた力も女神の力だったのかな?」

「そうなのかな?…ううん。きっとそうなんだと思う。それでね。ユウキが今決めた事を伝えてくれたように私も決めた事があるの」


「決めたこと?」

「うん。聖剣セイブにね、このままだと私はユウキか世界かどちらかを選ばなきゃいけなくなるって言われたの。選ばなかった方は滅びるって。私は…どちらかを選ぶことなんてできない。だから…ユウキも世界も両方救ってみせる」


ハルは【世界を破滅から救う者】

聖剣はやはり俺の存在を滅ぼすものと認識してるってことか…。


「…例え俺が世界に災いと認定されたとしても俺はハルと一緒に居たい。ついこないだまで災いとして滅ぼされようとしてたのに都合の良い考えだとは思うけどな…」


「私もだよ。大丈夫全てを救うって決めたから。聖剣もそれに力を貸してくれるって言ってたから」


聖剣は俺を排除する方向では無いって事か。


「そっか。それなら心強いな」

「うん。ユウキ…1つ変なこと言ってもいい?」

「ハルの言うことならなんでも良いよ」


「えへへ。…あのね。ミナトってもう助けてあげられないのかな?」

「……助けたいのか?どうしてだ?」

「うーん。なんて言うのかな。ミナトも初めから世界を滅ぼしたかった訳じゃないよね?マナカって最愛の人を亡くしたから…だよね」


ゼノンから聞いた話ではそうだ。

最愛の人を亡くし…蘇らせたく禁忌の術に手を出し…

それでも蘇らせられない事に絶望し…

その時手に入れた禁術で魔王の力を得た。


「理由はどうあれ、だから許すとはいかないだろう?」

「それは分かってる…だけどね。私がマナカさんの立場だったら…止めてあげたいと願うと思うんだ」


まさかのそっちか。この子の感性は…凄いな。


「マナカの気持ちか…。俺もミナト側でそれは考えてた。最愛の人を亡くして絶望しないかと…。でも俺は…」

「自分を犠牲にすることを選んでたんだよね?だからユウキはミナトとは違う選択を選べてるんだよ」


「でもその時のハルの気持ちは考えられてなかった…」


そうか。自分の選んだ事が周りがどう感じるのか…

俺は自分の事だけだった。

この子は…ハルはきっと周りの事を考えられるんだ。


「昔の女神様も魔王と分かり合おうとしたって言ってたでしょ?その時は上手くいかなかったって話だけど…。でもその時無理だったから今回も無理って決めたくないなって…」

「…ハル。わかったよ。ハルがそう願うなら俺は力を貸す」


正直命を狙われた相手を助けるってどうなんだ?って気持ちはあるけど。

でもハルの気持ちを無駄にしたくはない。


「ありがと!ユウキ!」

「でもあくまで俺の一番大事なことはハルだからな?ハルに命の危機があるようなら俺は…ミナトを…倒すぞ?」


そう。それは絶対だ。

あくまでハルの無事が一番。


「うん。もちろんユウキが危ないなら同じだよ?…ただ諦めたくはないなって」

「わかってる。ハルは全てを救うんだもんな?」


ハルの頭を撫でる。

この子は役割を与えられなくても、女神の力を持たなくても、きっと同じ選択をするんだろうな。


「えへへ!」


俺の持つ力は魔王の力。

守る力じゃない、壊す力だ。


それでも守るために使うことだって出来るはず。


…俺が滅ぼすのは、ハルを傷つけ、悲しませるものだ。

ハルの笑顔を守る。全てはハルのために。

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