125 4度目?
~翌朝~
昨晩は泣き疲れたのかハルはそのまま寝てしまい、俺もつられるように一緒に寝てしまった。
麻起きてとりあえず2人とも風呂に入る。
…もちろん別々にな。
風呂から出て部屋で寛いでいるとハルも戻ってきた。
「お待たせー。皆のところ行く?」
「そうだな。ハル…大好きだ」
「ふぇっ!!急過ぎるよ!?どうしたの?」
「いや、ミナトと戦う前に言いたくなった」
なんかこういうのベタな展開なんだけど、本当に言いたくなるものなんだな。
「むー。最後みたいな言い方は嫌だなぁ。……でも私もユウキの事大好きだよ。でも大好きな気持ち伝えきれてないから…だから…」
「わかってる。必ず皆で生きて戻ってこような」
この世界で生きていくって決めたんだ。ミナトとの戦いが終わっても全て終わるわけじゃない。
皆揃ってなければ意味が無い。
「うん。まだまだ行ってみたいところいっぱいあるもんね!皆とも冒険したい!もちろんユウキが居てくれないとダメだからね?……自分を犠牲にとか絶対だめだからね!」
改めて釘を刺されたな。
でももう俺にその気は無い。ってより本当は最初からわかってたんだと思うけどな。
「大丈夫。俺はハルと一緒に居ることを選んだよ。もうラスボスになるつもりなんてない」
「うん!それなら良し!さぁ行こう!」
それからみんなが集まっている場所へ向かう。
昨日の話では水晶の間にいるって言ってたか。
ルーナさんが一番力を使い易いところだと。
「…っと。ここか。もうみんないるかな?」
扉を開けて中に入る。
どうやら皆揃っているようだ。
「お。来たな?2人とも…大丈夫そうだな」
「あぁ。問題ないよ。正直まだこれから戦いに向かうって実感はないけど」
「それでいいさ。戦いなんて慣れる必要も無いしな。ただ覚悟は必要だ。まぁ二人なら今回もサクッと終わらしちまうんじゃないか?これまでみたいにな」
確かにこれまで数回の戦いはサクッと終わったな。
まぁ、主にハルのおかげではあるのだが。
「こっちには魔王と女神と精霊王がいる。向こうは魔王だけだ。大丈夫さ」
「ゼノンとジュリアさんだって十分すぎる程の実力者だろ?頼りにさせてもらうよ」
「さて。では皆さんそろそろよろしいでしょうか」
ルーナさんが声を掛けてくる。
「大丈夫だ。皆もいいな?」
「もちろん!ユウキと一緒ならいつでも!」
「私も問題ない」
「俺はいつでもいいぜ」
「では行きます…。ハァァァ…精霊の王が命ずる。扉よ開け!!」
ルーナさんの言葉と共に部屋の中央から光が放たれる。
その光は俺達を包み込む。
目を開けていても何も見えない光。
それでも眩しいとかは感じない。
ただ真っ白に世界が見えるだけ。
やがて光が収まると…
「ここは…」
「ユウキ。油断するなよ。もうここはミナトのテリトリーだ」
ゼノンから注意される。
周りを見てみると岩山に囲まれた地になっている。
少し先に館が見える。
「あそこにミナトがいるってことか」
「そうじゃ」
声に反応して振り返るとマリクさんがいた。
「マリクさん!無事だったか??」
「ほっほっほ。まぁ遠巻きに見ていただけじゃからのぅ。気をつけるんじゃ。あの建物は普通では無いぞ
。何度か中を確認しようとしたのじゃが無理であった。恐らく異空間になっておる。」
大精霊ですら確認できない空間…。
それを作り出しているミナトは…
「皆気を引き締めよう」
「その必要は無いよ」
皆に注意を促したところ声が聞こえてくる。
この声は…
「ミナト!」
「まさか君達の方からここに来るとはね。しかも転移とは。この地には魔力阻害の術式を組んでいるのだけれど…大神官お前は何者だ?」
そうか。ミナトはルーナさんの正体を知らない…。
なんならマリクさんが大精霊だと言うこともか。
「私は…この世界を導く大神官ですよ?」
「ククク。まぁ答えないか。何者だ?なんて聞いたけどね。知っているよ?女神を失った愚かな原初の精霊さん?」
「なっ!」
「ミナト!てめぇ!」
「んー。何故貴方がそれを知ってるのかは気になりますが…。その程度の挑発で揺れるほど私弱くないので」
驚き、憤る他のメンバーとは違いルーナさんは落ち着いている。
「この程度の挑発じゃ乗ってくれないか…まぁいいや。でいきなり押しかけてきてなんの用だい?」
「ミナト!てめえを倒しに来たんだよ!」
ミナトの言葉にゼノンが吠える。
…あまり良くない気がするな。
「これはこれは僕の最愛の人を犠牲に力を手にした竜のなり損ないじゃないか。今度は僕をその力の犠牲にするつもりかい?」
「ぐっ!てめぇ!」
「ゼノン落ち着け。私の知っているゼノンは誰よりも穏やかで冷静な男だ。そうやって熱く燃え盛るのは…」
ジュリアさんがゼノンを止めに入り1歩前に出る。
「燃え盛るのは…私だ!」
その言葉と共にジュリアさんからとてつもない魔力が放たれ俺達を包む。
「これは…炎…」
「でも熱くないよ?なんだろう心は熱くなる感じ」
ハルがジュリアさんの炎を感じている。
「ミナトよ。くだらない挑発はそれぐらいにして出てこい。…その屋敷を肺にしたくなければな」
「無理だとは思うけどねぇ。とは言えせっかく来てくれたんだおもてなしはしてあげないといけないね。……いでよ我が眷属!」
ミナトの言葉に反応して地面から黒い闇が湧き上がる。
その闇が形を作り…
「またスケルトンか!?ほんと骨が好きだな?これで4回目か?」
「ククク。これまでのモノと同じだと思ってもらっては困るなぁ。コイツらは魔王の魂を分け与えた特別製だよ」
漆黒のスケルトンが6体。
大きさは以前のバカでかいサイズではない。
手にした漆黒の剣を携えこちらに向かってくる。
「おもてなしをすると言いながら骨野郎を出してくるだけかよ。ユウキ!とっとと片付けるぞ!」
「そうだな。……ってハル?どうした?」
「…え?……うん」
俺の問いかけに答えてるわけではなく、なにか独り言を言っているハル。
これは?どうしたんだ?
何かと会話をしている?
「……うん。わかった。……聖剣セイブよ!私に力を!…えーいっ!!」
ハルの振るった剣から放たれた光で2体のスケルトンが消滅した。
「…またこの展開か!ハル!」
「えへへー!どう凄い?」
聖剣を手にしたままハルが笑顔でこちらを向いている。
「あぁ!凄い!…ゼノン!負けてられないぞ!」
「おう!行くぞ!」
そして残りのスケルトンへそれぞれ向かっていく。




