118 友
ゼノンと共に皆の所へ合流した。
ハル、ジュリアさん、ルーナさん、アクアがいた。…マリクさんは居ないみたいだな。
「あ、やっと来たー。話は終わったのー?」
ハルが笑顔で迎えてくれる。
「あぁ。終わったよ。…ところでアクアはなんでそんなにむくれてるんだ?」
「…あはは…それがね…」
明らかに機嫌が悪いというか表情がキツイというかのアクアがこちらへ来る。
「結局ハル様と添い遂げる事を選んだのですね。…私という存在がありながら!」
なんか怒られた。
「アクア?…この場合は…ごめんって言うのが正解か?」
「知りませんよっ!私に聞かないでください!」
更に怒られた。
「ふふふ。アクアは怒ってるようですけど別にお二人の事を祝福してない訳じゃないですよ?ただ自身の気持ちにモヤモヤしてるだけですね?」
「ルーナ様…だってこんな気持ち知らなかったから…」
「それが失恋の感情ですね。今精霊でその感情を知っているのは私とアクアだけでしょう。ふふ。大丈夫ですよ。それも含めて恋愛というのは楽しいのですから」
「さて。二人が収まるところに収まったのは、とても喜ばしい事だが…話を進めないか?ルーナ?」
とジュリアさん。
皆喜んでくれてるのか。…なんか照れるな。
ふとハルを見てみると同じような感情なのだろう。照れているのがわかった。
お互い目を合わせて微笑み合う。
「あー。早速イチャついてますね?なんですか?見せつけてるんですか!?」
「はいはい。アクアそれは後にしましょうね?そもそもこの二人がイチャイチャするのは今に始まったことではないのですから」
…そんなにイチャイチャしてたかなぁ?
「ルーナ。それで何かわかったのか?」
「…はい。ミナトの居場所です。やはり東の山脈にいるようです」
そっちか。となるともう片方は?
「南の孤島には何がいるんだ?」
「それが…わからかいのです。魔王の気配に似たものは感じるのですが…」
精霊王にすら正体がわからない魔王に似たもの…。
「…今は正体の分からないものを気にしても仕方ないか。それでミナトはどうする?こちらから攻め込むか?」
「んー。ミナトの野郎が何か仕掛けてる可能性もあるからな…。敵の懐に入るのはリスクが高い気がするぞ」
「だがいつ来るかわからない相手に警戒し続けるのも良くないだろう?」
うーん。どうしたものか…。
ゼノンの言うこともわかる。罠を仕掛けて待ち構えてる可能性は十分あるだろう。
「ここは…こちらから行ってみませんか?」
ゼノンとあーでもないこーでもないと話しているとルーナさんが提案してくる。
「こちらから?何か勝算でもあるのか?」
「普通に行けば確かに危険はあるかもです。なのでここは裏技使っちゃいましょう!」
「「裏技?」」
思わず俺とハルの声が綺麗にハモる。
「くっ。そんな所までイチャイチャするなんて…」
なんかアクアが悔しがってるな。…放っておこう。
「裏技を話す前にまず現状の確認をしましょう。あちらは不完全な魔王です。それに対しこちらが有利なのは同じ魔王の力を持つユウキ様、女神の力を持つハル様。更に神器を手にしたジュリアさんとゼノンさん。そして…」
「アクア達精霊か。確かに戦力としてはこちらの方が…」
「ユウキ様?まだ忘れてますよ?」
俺の言葉を遮ってルーナさんが迫ってくる。
いや何この圧力…
「…忘れてる?…ルインとセイブか?」
「それはお二人の魔王と女神の力でしょう!…なんでいつもなら察してくるのにこういう時に限って…。もう!私ですよ!」
「わたし?」
「…本気で言ってます?クリスタルで封印しますよ?」
「ダメだよ!ルーナさん!ダメ!」
ルーナさんが冷たい目をして脅してくるのに、
ハルが慌てて止めに入る。
「冗談だ。いやそれは考えてたけど…いいのか?精霊王が…」
「私は神ではありませんよ?過去にも女神と一緒に魔王と戦ったこともあります。この世界を守ることは私の使命でもあります。そして裏技とは私の力を使って…」
「いきなり転移するってことか」
「あーーー!なんでそこはちゃんと察するんですか!?何なんですか!?最後まで言わせてください!」
ルーナさんの言葉を遮り答えを言う。
よし。正解だったようだ。
「ルーナさんが一緒に来てくれるのか。それは色んな意味で安心だな」
そう例え俺の力が暴走するような事があっても…。
「色んな意味ってそんな雑に言うのやめてくれませんかねー?なんかユウキ様私の扱い変わってませんか?私精霊王なんですけど」
自分でそこアピールするのか…。
「いや…それだけルーナさんと打ち解けたってことさ。別にハルとの事でニマニマされてた事の仕返しではないぞ?」
「完全にそれじゃないですか…。と。そうですね。それもはっきりさせておきましょうか」
ルーナさんが真面目な表情になる。
「…コホン。精霊王としてではなく、1人の友人としてユウキ様に問います。以前貴方はこの世界で暮らしていくということを断りましたね?改めてお聞きします。貴方はこの世界で生きていきますか?」
友人としてか…。以前も精霊王としてではなく怒ってくれたな…。
あの時とは答えが違う。
俺はハルに近づき手を取る。そしてルーナさんの方へ向き直り…
「あの時はハルを帰らせることが一番だった…その覚悟もしていた…つもりだった。だけど…だけど俺はハルと離れたくない。ハルと…この世界で出会った友人達と生きていくつもりだ」
「…ユウキ」
見るとハルが涙目になっている。
「迷いは消えましたか?」
「…正直不安はある。そしてその事をハルに、仲間達に話せていない。…まだ迷いがあるんだと思う」
ルーナさんの問に正直な気持ちで答える。
ルーナさんが何かを言いかけた時…
「いいの!」
ハルがストップをかけた。




