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俺がラスボス?  作者: いぬちく


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116 大好き

風呂から上がって部屋へ戻る。


ハルはまだ戻ってないか。まぁ女子だもんな。

とりあえずベッドに腰をかける。

何かを感じふと目を向けるとそこには魔剣ルインがあった。

「…呼んでいる?」


ベッドから立ち上がり魔剣ルインを手に取る。


(魔王の魂を受け継ぎ、破壊の力を宿す者よ)


「これは…魔剣の声?」


(そうだ。我はルイン。魔王の為の剣だ)


「魔王の為の剣…。セイブは女神の為の剣か?」


(そうだ。その昔に創造神が魔王、女神に与えたのが我々だ)


「それで魔剣ルイン…俺を呼んだのは何故だ?」


(汝に聞きたいことがある。これまで魔王として力を得た者はこの世界を滅ぼす事を願い私を手にした。汝はそうではないな?それは何故だ?)


魔剣ルインから質問が来る。

なるほどな。これまでの魔王と魔剣の使い方が違うと言いたいのか。


「俺に滅ぼす気がないか理由か。…簡単だな。滅ぼす理由がないからだ」

(ふむ。滅ぼす意思が無いのに魔王の力に目覚めているのか…汝は異常な存在なのか…それとも汝の中にいる存在の影響か…)


つまりなんだ?滅ぼす意思が無いと本来は魔王の力に目覚めることは無いのが普通なのか?


(まぁそれは良い。1つだけ聞かせて欲しい。汝は我を手にして何を望む?破壊する、滅ぼす力しかない我に)


「魔剣へ望むことか…。ハルを…愛する人を害する相手を倒す力が欲しい。俺以外のこの世界の災いを全て滅ぼす力を」

(全てを…か。そうなると汝の中にいる存在はどうするのだ?汝以外の災いなのだろう?)


リクの事か。

それは…決まっている。


「…悪いが俺と一緒に滅んでもらう。ハルを…この世界の人々を滅ぼす可能性のあるものは…全てな」

(汝は愛する人と共に居ることより、自身が滅ぶことを求めるのか?)


「俺だって魔王なんだろ?この世界の災いになる可能性があるのならば…滅ぶ」


(どこまでも不思議な魔王だな。…わかった。我はどちらにせよ破壊する力だ。汝の不思議な希望に力を貸そう)


どうやら魔剣に認められた…のか?

不思議な魔王か。まぁそうかもな。

ハルにも良い魔王とか呼ばれてるしなぁ。


魔剣ルインとの会話が終わったところでハルが戻ってきた。

「ふー。やっぱりお風呂はこの神殿が一番かなぁ。広いしキレイだし。あれ?ユウキ剣なんて持ってどうしたの?」

「おかえりハル。いや、魔剣に呼ばれた気がしてな。どうやら俺に力を貸してくれるみたいだ」


詳しくどんな会話をしてたかは話せないけど。


「そっか!これでみんな準備は出来たってことだね!」

「そうだな。明日ミナトが見つかれば明日が最後の戦いになるな」


最後…そう。最後だ。

今夜がハルと過ごせる最後になるのかもしれない。


「さぁそろそろ寝ようか。おいで…ハル」

ベッドに入りハルを呼ぶ。

…別にやましい事をするつもりはないぞ。

ただ一緒に寝るだけだ。


「…ユウキから一緒に寝ようって言ってくれるなんてどうしたの?お腹でも痛い?」

「なんだよそれ。俺は子供か?…いやなんか最後の戦いって考えたら…な。ちょっとセンチになってるのかもな」


いや本当にそうなんだろうな。これがハルと過ごす最後だとしたら…。

こんなこと言ったらハルにからかわれちゃうかな。


ハルがベッドに入り込んでくる。

そのまま俺の胸の中に来るかと思いきや…


俺の顔を抱きかかえる。

そして…


「…大丈夫だよ。私はユウキのそばに居る。この世界とか元の世界とか関係ないよ。例え違う世界であろうと…ミナトに負けて死んだとしても来世でも必ず一緒に居るよ」


「ハル…。ありがとう。でもミナトに負けることはない。ハルが死ぬなんてことは絶対に無い。俺が守ってみせる。この命に替えてもだ」


「ユウキが死んだら意味が無いんだからね?……ねぇユウキ?私と一緒にこの世界に召喚されてくれてありがとう。私に幸せを教えてくれてありがとう。…好きにならせてくれてありがとう」


「ハル…」


「約束破っちゃった…。でもこの気持ちだけはユウキに伝えたい。…ううん。これだけじゃ足りない。この先ずっと…一生をかけてユウキにこの気持ちを伝えたい。…だから…だから」


ハルが俺を抱きしめたまま泣き始める。


「だから……自分を犠牲にする事を決めないで……。ユウキが何を考えて何を決めたのかはわからない。けど…ユウキは自分を犠牲にしようとしてる。なんでって言われたら答えられない……。けど……けど!」


ゼノンの言う通りだな。

ハルは勘づいている。

証拠も理由も無い。だけど俺の覚悟に気づいている。


「ハル…俺は…」

「…お願い。私を1人にしないで。ユウキさえ居てくれるなら私は…私は…」


ハルが泣きながら俺を強く抱きしめる。


「泣かせちゃってごめんな。ハルには笑顔でいて欲しいんだけどな。結局泣かせちゃってる…」

「ううん。私が弱いから…」


ハルが1度少し離れて俺の胸に顔を埋めてくる。


「ユウキの匂いが一番安心する…。ねぇ?ユウキ?一つだけ約束して欲しいの」

「約束?…なんだ?」


「私の事…離さないでね?」


「…わかったよ。俺は……」


言葉とは裏腹にハルの身体を少し離す。

いきなり身体を離されたハルが困惑の表情を浮かべている。


俺は、ハルの顔を正面から見つめ…


「ハル…大好きだ」


「…え。ユウキ?」


「さっきハルが1度約束破ったからな。これでおあいこだ」


次の瞬間ハルの目から大粒の涙が流れ落ちる。

「ユウキィ…嬉しい…嬉しいよぉ。私も…私もだよぉ」


律儀に約束を守るんだなこの子は。

もう愛おしくてたまらない。


「ハル…また泣かせちゃったな」

「これは嬉し涙だからいいの…」

「そっか…」


俺は優しく微笑みながらハルに顔を近づける。

ハルもそれに応えてくれる。


そして…



口づけを交わした。

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