114 力
その後しばらくしてルーナさんが食事の用意が出来たと呼びに来た。
なんか部屋のベッドが使われてないとブツブツ言っていたけどな。やはり下世話な所は素のようだ。
それから食堂へ移動する。
そこにはゼノンとジュリアさんもいた。
皆で食事をしながら話をするか。
「お。来たか。ゆっくりイチャイチャできたか?」
「お前もかよゼノン…?」
「ハッハッハ。まぁ心配しなくてもお前らがイチャつかないわけないか」
なんだよそれ。まぁあまり皆の前と二人の時と変わらない気がするけども。
「それで二人はどうだ?神器の力は?」
「安心しろ。ちゃんと二人とも神器に認められたよ。しかし…神器の力は凄まじいな。これまでもそれなりに自信はあったが、ここまでの力を得られるとは」
元々SSランクのジュリアさんがそう言うって事はとんでもないんだろうな。
「そうですよ。ですからこの神殿にて封印しているのです。誰彼構わずお渡しする訳にはいきませんので。この神器を使わなければいけない敵が現れた時…それはこの世界が滅ぶ危険が迫っている時なのです」
「神器が必要ない世界が平和ということだな。。まぁ過ぎた力は持つものではない。この戦いが終わったらルーナの元へ返すと約束しよう」
「そうだな。俺もこのフィングが無いと戦えない相手がいるってことが恐ろしいぜ。これは剣って言うより力そのものだ」
この二人がここまで言うのか…
神器凄まじいな。…俺のルインも同じなのか。
「お二人ならそのまま持っていても良いですけどね?悪用する事も力に飲まれることもないでしょう?」
と、ルーナさん。
精霊王が認める二人か。
まぁでもわかる気がする。
この二人なんて言うか…良い人代表って言っても言い過ぎじゃないんだよな。
「でもこれでここには4本神器があるんだよね?」
「そうですよハル様、そしてそれを扱うのは、女神の魂を受け継ぐ者、魔王の力を引き継ぐ者、次世代のエルフを統べる者、竜人族最後の竜の力を得た者、です。もう最強の布陣過ぎですね」
改めてとんでもないな…。
って気になることが1つあったな。
「ゼノンの最後のってのはどういう意味だ?竜人族自体はいるだろう?」
「あぁ。竜の力を求める事を禁じたんだ。この力は強すぎるし、得るための竜との戦いが危険すぎる。……犠牲を出してまで手にする力なんてなくていいんだ」
ゼノンが悲しそうな目をしている。
自分が竜の力を得るため…
「ゼノン。ミナトの件はゼノンのせいじゃ無いと思うぞ。きっと寿命を迎えてもミナトは同じ事をしたと思う」
「…ありがとな。そうであったとしても…な。それに結局は力って壊すものなんだよ。守るために使う奴だけじゃない。過ぎた力なんか無い方がいい」
過ぎた力か。そうなんだよな。
滅ぼす力はどこまで行っても滅ぼす力なんだ。
頑張ったって癒す力にはならない。
……ならないんだ。
「そうかもな。でも、それが考えられるゼノンは大丈夫だろ?」
「当たり前だ!って言いたい所だけどな。俺だって自信はねーよ。ミナトの立場だったら…ってな」
「大丈夫だ。さっきのミナトの話じゃないけど、例え同じ立場だったとしてもゼノンはゼノンのままさ」
「そうだよー!ゼノンもそうだし、ユウキだってそうだよ?」
と横からハル。
俺も?
「あぁ魔王の力か。…そうだな。俺も俺だな」
俺も俺だから…俺の意思で決めないとな。
「さて。これである程度の準備は揃ったな」
「後はミナトの野郎が何処にいるかだな。待つのも性にあわないからなぁ。こっちから向かってやりたいところだが…」
ゼノンはそう言うが、
仮に居場所がわかったとして行くのもどうなんだろうな。
「大体の場所であれば掴めています。もう少しお時間を頂ければ…」
「ルーナさん本当か?」
「はい。各地の精霊に探らせています。魔王の気配…魔力と言いますか、それが今濃い場所は南の孤島か、東の山脈ですね。なぜ2箇所になっているのかが怪しいですが…」
ミナトがいる場所可能性があるのが二箇所…。
じゃあ居ない方は何があると言うんだ?
「あ、ちなみに正確には三箇所になりますね」
「後一箇所はどこなの?」
ルーナさんにハルが質問する。
…これはわかったな。
「ここ神殿だろ?」
「え?ここに!??」
ハルが驚き身構える。
あー。素直だこの子。本当にこういう所可愛いんだよな。
「ミナトはいないって。俺がいるからだろ?」
「そういう事ですね。魔王の気配はユウキ様からも感じられますから。そういえば魔王の気配同士で感知することはできないですかね?」
「むー。ルーナさん!ユウキは悪い魔王じゃないんだからそういう事言わないでー!!」
「ふふ。申し訳ありませんハル様。その反応が見たくて思わず…」
本当にいい性格してるよなこの精霊王。
しかし魔王同士で感知か…。
「感知か…。どうなんだろうな。やり方はわからんが…」
「そんなに焦らなくてもいいんじゃない?少しゆっくりするのも…」
ハルが提案してくる。
ゆっくりか…。確かにミナトと戦うって事は最後になるかもしれないもんな。
…最後…か。
「ユウキ?どうしたの?」
「あ、いや。ゼノンとジュリアさんはどうだ?一旦様子見る形でもいいか?」
「あぁ。構わない。イグニスの練度も上げたいしな。休息も必要だろう」
「まぁ俺もいいぜ。待つのが性にあわないのも本音だが、闇雲に動き回るのもな」
二人は了承してくれる。
「後はルーナさんか。この神殿に滞在しても大丈夫か?最悪ミナトが襲ってくる可能性もあるが…」
「問題ないですよ?むしろここに来てくれる方が私が感知できますし、下手な所にいるより守りは完璧ですから」
確かに精霊王に守られているようなものか。
そりゃ下手な所で襲われるより遥かに安全だな。
「じゃあ少し様子見だな。ルーナさんお世話になります。ミナトの居場所がわかったら教えてもらえると助かる」
「はい!かしこまりました」
「じゃユウキ部屋行こー」
「ハル様。目一杯イチャイチャして大丈夫ですからね?」
「んー。そうするー!…かも?」
「あら。あらあらあら。」
えー。何その反応。
ハルがからかわれて恥ずかしがるのかと思ったら…。
ルーナさんも予想外の反応に戸惑ってるし…
え。何?何?
ハルさん?何するつもり…?




