113 助ける
ハル達がいる修練場へ向かっていると突然とてつもない光が見えた。
「なんだ!?修練場の方か!」
今の光とてつもなかった。
ハルの身に何かあったのか!?
俺は修練場へ向けて走り出す。
「精霊王様…今の光は…」
「えぇ。セイブが全ての力を解放したようです。あの光…女神が使っていた時より強く感じました」
修練場につき扉を勢いよく開ける。
「ハル!無事か!何があった!」
扉を開けるとそこには…
聖剣セイブを携え全身に優しい光を纏うハルの姿があった。
その姿はとても神々しく、思わず目を奪われた…
「……綺麗だ…」
「ユウキ?…ふふ。どうしたの?ボーッとしちゃって。…もしかして私に惚れ直しちゃった?」
こちらを振り返りハルが声をかけてくる。
「あ、いや。どうしたんだその…光は?」
「むー。答えてくれてないー!もうっ!…これね聖剣セイブがね、私に力を貸してくれるって。世界を…全てを救う力を」
ハルが聖剣見て微笑む。
こんな短時間で聖剣の力を引き出したってことか??
相変わらず…この子は凄いな。
しかし惚れ直すって…うん。惚れ直したかもな。
めっちゃ綺麗だった。
それこそ女神かと…恥ずかしくて本人には言えないけど。
「ハル様…聖剣セイブの声は聞こえたようですね?」
そこに遅れてルーナさん達が現れる。
「うん。聞こえたよ。…色々話をしたの。それで力になってくれるって」
「そうですか…聖剣セイブは救う為の剣、救う為の力だと女神が以前言っていました。そして見たところ、ハル様は女神より聖剣セイブの力を引き出したように見えます」
つまり…女神を超えたってことか?
「…ゼノン。ここで何があったんだ?セイブとの会話って…」
「俺達には聖剣の声は聞こえなかったからなぁ。まぁハルは最初から飲み込みの速さが異常だったからな。ってお前もそうだったな」
飲み込みが早いとか、そういう話なのか?
そんな簡単に女神を越えられるのか?
(ククク。それを言うなら貴様も既に以前の魔王を超えているのではないカ?)
突然リクの声が頭に響く。
(うぉ!突然なんだよ。しかし…そうなのか?)
(今の貴様とあの娘が戦えバ、この世界で過去に無いレベルの戦いになるだろうナ)
……物騒な事を言うな。
まぁ俺はハルを倒すつもりなんて無いけどな。
でも、ハルがそれだけの力を手にしたのなら確実に俺を倒せるだろうか。
「ふふふん!ユウキ!私は超強くなっちゃった!…かも?」
「なんだよ。かもって。聖剣セイブに認められて力を手にしたんだろ?強くなってるんだろう」
「えへへ!これでユウキの隣にいる事ができるかな?」
笑顔でハルが俺に近づいてくる。
俺の隣…。
ミナトを倒してその時が来るまで…
「しっかし、結局お前らの方が俺らより全然上なのな。ジュリア、俺達も置いてかれる訳には行かねーぞ?」
「無論だ。ユウキ、ハル二人は部屋で休んでてくれ。私達も神器の力をモノにしてみせる」
「わかった。でも2人も無理しないでくれな?」
ジュリアさんとゼノンを残しハルと部屋へ戻ることにする。この神殿で貸してもらってる部屋…久しぶりだな。
「あれ?そういえば収納の腕輪でしまった荷物ってあの部屋へ入るんだよな。結構な数収納した気がするけど大丈夫か?」
「それならちゃんと整理してますのでご安心を。魔石は正直多すぎるので別の倉庫にしまってありますが…」
俺の疑問にルーナさんが答えてくれる。
…つまり精霊王に部屋の片付けをさせていたということか。
「では私はお食事の用意をしておきますので…。ごゆっくりお休みになってくださいね?」
「ありがとう…って精霊王にそんな雑用させていいのか?」
「お気になさらずですよ。それぐらいしかやる事無いんですから。どなたか召喚されないと暇なんです」
それでいいのか精霊王…。
「わかった…お言葉に甘えさせてもらうな」
「はい!…実際甘えるのはハル様にしてくださいね?」
「ふぇっ!?ルーナさん!?」
あぁこの人は精霊王だとわかっても変わらないのな。
…なんか変な安心感あるな。
ルーナさんが食事の用意に向かい、ハルと部屋に2人になった。
部屋は確かに整理されており、部屋のど真ん中には例のハート型ベッドが鎮座していた。
「このベッドも最近使ってないねー」
「…まぁな。あ、この瓶は」
棚にある瓶を手に取る。
瓶の中には光る葉っぱが入っている。
「あ、魔源草だね!なんか懐かしいね!」
「今思えばあの時が1番ヤバかったな。…いやあの時からずっとハルに助けて貰ってばかりか」
あの魔力のダンジョンでの戦いが1番死ぬかと思った。そしてあの時からずっとハルに助けられてるんだよな。ことある事にハルの力がどんどん目覚めていった。
アクアの時も、ミナトと初めて戦った時も。
毎回ハルの力で何とかなっていた。
「結果ハルは女神の力を受け継いでたってな」
「実感は…ないけどなぁ。まぁ私の力はユウキを救う為にあったってことだね!……ユウキを助けたいっ!て思った時に使えるようになったから」
「ありがとうな。でもカッコつかないなぁ。もっとこう俺がヒーローのようにハルを助ける!とかさ」
「ふふふ。大丈夫だよ!ユウキはちゃんとかっこいいから。……私の力はユウキを助けるため…助けるためにあるんだからね?」
ハルが話しながら後ろから近づいてきて俺の背中に抱きつく。後半声が力無くなっている。
「…ハル?どうした?泣いてるのか?」
「ううん。泣いてないよ。…でももう少しこうしていさせて」
女神の力を持つ事がわかって何かプレッシャーを感じているのかな…?
そのままハルに後ろから抱きつかれたまましばらく過ごしていた。




